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3.謝罪の裏側で:男の手のひらを思い出す夜
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翌朝、台所に立つ絵里奈の指先は、心なしかおぼつかなかった。
結(むすめ)の弁当を作り終え、弟夫婦の朝食を並べていると、背後からスリッパの音が近づいてくる。
「……おはよう、姉さん」
低く落ち着いた声。かつて自分の胸元で、もっと幼く、情欲に震えていたあの声。
振り向くと、仕事着に着替えた弟が、寝癖を少し残したまま立っていた。
「あ、おはよう……。今、ご飯並べるわね」
絵里奈は努めて冷静を装い、味噌汁の椀を差し出した。だが、差し出す指先が、昨夜自分の体を弄び、限界まで追い込んだあの指であることを思い出し、急に指先が熱くなる。
弟が椀を受け取ろうとした瞬間、指先がわずかに触れ合った。
ほんの一瞬の接触。けれど絵里奈の脳裏には、昨夜の妄想――天井から吊るされ、何人もの男に蹂躙されていた自分の姿――が、フラッシュバックのように鮮明に蘇る。
(……見られてないわよね。聞こえてないわよね)
弟は無言で椅子に座り、淡々と箸を動かし始めた。
その横顔は、昨夜の淫らな叫びなど微塵も知らない、真面目な一家の主そのものだ。
だが、時折彼が向ける視線が、絵里奈の豊かな胸元で一瞬だけ止まるような気がして、彼女は反射的にエプロンの上から胸を隠すように腕を組んでしまう。
「姉さん、どうかした? 顔、赤いけど」
「えっ……? ああ、ううん。少し、のぼせたのかも」
弟の真っ直ぐな問いかけに、絵里奈は喉の奥が乾くのを感じた。
昨夜、自分がその胸で弟を抜き去る過去をなぞりながら自慰に耽っていたなど、口が裂けても言えない。
弟夫婦の幸せな食卓の音と、結の「おはよー」という明るい声。
それらに囲まれながら、絵里奈の体温だけが、昨夜の余韻を孕んだまま、いつまでも冷めることを知らなかった。
パート先の廊下ですれ違いざま、新しく赴任してきた若い男性マネージャーと肩がぶつかった。
「あ……っ!」
彼がバランスを崩しかけた絵里奈を支えようと伸ばした手は、あろうことか、エプロン越しに彼女の豊かなFカップを真正面から鷲掴みにしていた。
「あ、申し訳ありません! 決してそんなつもりでは……!」
顔を真っ赤にして平謝りする彼に対し、絵里奈は「いいえ、大丈夫ですよ。うっかりですものね」と、大人の余裕を見せて微笑んだ。
けれど、指先に食い込んだ肉の感触、一瞬だけ伝わってきた男の掌の熱。それは、離婚して以来、久しく忘れていた「生身の男」の感触だった。
そして、その日の夜。
「……はぁ、はぁ……っ」
薄暗い寝室で、絵里奈の指先は昼間のアクシデントを正確に再現していた。
脳内では、あの若くて初々しいマネージャーが「うっかり」ではなく、激情に任せて自分を押し倒す光景が広がっている。
(あの手……あんなに大きかったんだ……)
昼間は「気にしないで」と聖女のように振る舞った自分が、今はその接触を糧に、シーツを足の指で掴むほど激しく悶えている。
あのマネージャーが、実はわざと触ったのではないか。謝りながらも、心の中では私の胸の柔らかさに興奮していたのではないか——。
妄想はさらに飛躍し、いつしか彼だけではなく、昨夜の「男たちの列」に彼も加わり、代わる代わるその胸を蹂躙し始める。
実家で弟夫婦や娘と過ごす、窮屈で真面目な絵里奈という殻が、湿った音を立てて剥がれ落ちていく。
「……っ、ん、ああ……っ!」
昼間の「事故」を無理やり「凌辱」へと書き換えた妄想の中で、絵里奈は昨日よりもさらに深い、底なしの快楽へと突き落とされた。
結(むすめ)の弁当を作り終え、弟夫婦の朝食を並べていると、背後からスリッパの音が近づいてくる。
「……おはよう、姉さん」
低く落ち着いた声。かつて自分の胸元で、もっと幼く、情欲に震えていたあの声。
振り向くと、仕事着に着替えた弟が、寝癖を少し残したまま立っていた。
「あ、おはよう……。今、ご飯並べるわね」
絵里奈は努めて冷静を装い、味噌汁の椀を差し出した。だが、差し出す指先が、昨夜自分の体を弄び、限界まで追い込んだあの指であることを思い出し、急に指先が熱くなる。
弟が椀を受け取ろうとした瞬間、指先がわずかに触れ合った。
ほんの一瞬の接触。けれど絵里奈の脳裏には、昨夜の妄想――天井から吊るされ、何人もの男に蹂躙されていた自分の姿――が、フラッシュバックのように鮮明に蘇る。
(……見られてないわよね。聞こえてないわよね)
弟は無言で椅子に座り、淡々と箸を動かし始めた。
その横顔は、昨夜の淫らな叫びなど微塵も知らない、真面目な一家の主そのものだ。
だが、時折彼が向ける視線が、絵里奈の豊かな胸元で一瞬だけ止まるような気がして、彼女は反射的にエプロンの上から胸を隠すように腕を組んでしまう。
「姉さん、どうかした? 顔、赤いけど」
「えっ……? ああ、ううん。少し、のぼせたのかも」
弟の真っ直ぐな問いかけに、絵里奈は喉の奥が乾くのを感じた。
昨夜、自分がその胸で弟を抜き去る過去をなぞりながら自慰に耽っていたなど、口が裂けても言えない。
弟夫婦の幸せな食卓の音と、結の「おはよー」という明るい声。
それらに囲まれながら、絵里奈の体温だけが、昨夜の余韻を孕んだまま、いつまでも冷めることを知らなかった。
パート先の廊下ですれ違いざま、新しく赴任してきた若い男性マネージャーと肩がぶつかった。
「あ……っ!」
彼がバランスを崩しかけた絵里奈を支えようと伸ばした手は、あろうことか、エプロン越しに彼女の豊かなFカップを真正面から鷲掴みにしていた。
「あ、申し訳ありません! 決してそんなつもりでは……!」
顔を真っ赤にして平謝りする彼に対し、絵里奈は「いいえ、大丈夫ですよ。うっかりですものね」と、大人の余裕を見せて微笑んだ。
けれど、指先に食い込んだ肉の感触、一瞬だけ伝わってきた男の掌の熱。それは、離婚して以来、久しく忘れていた「生身の男」の感触だった。
そして、その日の夜。
「……はぁ、はぁ……っ」
薄暗い寝室で、絵里奈の指先は昼間のアクシデントを正確に再現していた。
脳内では、あの若くて初々しいマネージャーが「うっかり」ではなく、激情に任せて自分を押し倒す光景が広がっている。
(あの手……あんなに大きかったんだ……)
昼間は「気にしないで」と聖女のように振る舞った自分が、今はその接触を糧に、シーツを足の指で掴むほど激しく悶えている。
あのマネージャーが、実はわざと触ったのではないか。謝りながらも、心の中では私の胸の柔らかさに興奮していたのではないか——。
妄想はさらに飛躍し、いつしか彼だけではなく、昨夜の「男たちの列」に彼も加わり、代わる代わるその胸を蹂躙し始める。
実家で弟夫婦や娘と過ごす、窮屈で真面目な絵里奈という殻が、湿った音を立てて剥がれ落ちていく。
「……っ、ん、ああ……っ!」
昼間の「事故」を無理やり「凌辱」へと書き換えた妄想の中で、絵里奈は昨日よりもさらに深い、底なしの快楽へと突き落とされた。
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