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彼女たちの最寄駅に到着したので、女子高生二人は電車から降りていった。その様子を、先程まで隣に座っていた男性が、何となく横目で見送る。
「まさか、痴漢に遭おうとしていたなんて、考えもつかなかった」
この男性、尚也はボソッと独り言ちた。彼は大学生で、朝のラッシュ時に、時に帰りの電車で一緒になる清佳に好意を抱いていた。一目惚れだったが、なかなか話しかける機会には恵まれなかった。
朝は清佳の乗り換え駅よりも先まで電車に乗っていなければいけなかったし、帰りは一緒になったとしても大体彼女は友達と一緒にいる。いつか話しかけたい、まずは知り合いになりたいと、好意を自覚してからは朝の電車は一限がなくとも毎日同じにしたし、帰りは彼女の乗り換え駅で待ち伏せて姿を確認してから乗った。
今日、隣に座ったのは出来心だったけれど、彼にとっては思わぬ話を聞くことができた。
清佳は多くの“痴漢対策”をしているのだ。本当のところは彼女が痴漢に狙われていない訳ではなかった。尚也が、正義感から彼女が痴漢に遭わないようにとこっそり守っていたのだ。それがまさか、痴漢に遭おうとしていたなんて彼には想像もつかないことだった。
彼は自分の降りる駅までの間、電車に揺られながら考えを巡らせた。
──痴漢から守ろうとしていたのは、彼女に嫌な思いをしてほしくないという俺の勝手で、それで恩を売ろうとか、彼女のヒーローになろうとか、そういうつもりではなかったんだ。でも、それが余計なお世話だったとは……。
いや、だからといって痴漢にいいようにされるのを黙って見ているのか? 例え、そのあとソイツを締め上げたとしたって、彼女を穢らわしい手で触ったっていう事実は到底許すことなんてできない……。
尚也はうぅんと、腕組みをした。今までずっと話しかけられなかったというのに、いきなり“痴漢に遭いたいなんて考えはやめろ”なんて言えるわけがない。気持ち悪い奴だと思われるだけだ。
──自分にできる事は何かないのだろうか。まだ知り合ってすらいないのに出来る事などあるわけがないとはわかりつつも、考えのまとまらないまま、電車は尚也の最寄駅に到着した。
「まさか、痴漢に遭おうとしていたなんて、考えもつかなかった」
この男性、尚也はボソッと独り言ちた。彼は大学生で、朝のラッシュ時に、時に帰りの電車で一緒になる清佳に好意を抱いていた。一目惚れだったが、なかなか話しかける機会には恵まれなかった。
朝は清佳の乗り換え駅よりも先まで電車に乗っていなければいけなかったし、帰りは一緒になったとしても大体彼女は友達と一緒にいる。いつか話しかけたい、まずは知り合いになりたいと、好意を自覚してからは朝の電車は一限がなくとも毎日同じにしたし、帰りは彼女の乗り換え駅で待ち伏せて姿を確認してから乗った。
今日、隣に座ったのは出来心だったけれど、彼にとっては思わぬ話を聞くことができた。
清佳は多くの“痴漢対策”をしているのだ。本当のところは彼女が痴漢に狙われていない訳ではなかった。尚也が、正義感から彼女が痴漢に遭わないようにとこっそり守っていたのだ。それがまさか、痴漢に遭おうとしていたなんて彼には想像もつかないことだった。
彼は自分の降りる駅までの間、電車に揺られながら考えを巡らせた。
──痴漢から守ろうとしていたのは、彼女に嫌な思いをしてほしくないという俺の勝手で、それで恩を売ろうとか、彼女のヒーローになろうとか、そういうつもりではなかったんだ。でも、それが余計なお世話だったとは……。
いや、だからといって痴漢にいいようにされるのを黙って見ているのか? 例え、そのあとソイツを締め上げたとしたって、彼女を穢らわしい手で触ったっていう事実は到底許すことなんてできない……。
尚也はうぅんと、腕組みをした。今までずっと話しかけられなかったというのに、いきなり“痴漢に遭いたいなんて考えはやめろ”なんて言えるわけがない。気持ち悪い奴だと思われるだけだ。
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