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第1章
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三学期の期末テストが翌日から始まるという日だった。天気はどうだったのか覚えていないけど、寒い日だった。
四時間目が終わり、僕は大樹たちと昼飯のパンを買いに行った。その時の大樹は何か悩んでいるように無口だった。
僕たちが戻ると、教室は大騒ぎになっていた。弁当を広げている勇介に訊くと、何人かが財布を盗まれたらしい。同じ中学だった林が大きな声を出して、誰が財布を取られたか訊いて回っている。
誰かが、どこかに紛れ込んでいるかもしれないから、よく探してみようと言い出し、皆、自分のロッカーの中やカバンの中をごそごそ捜し出した。
僕もパンを勇介の机の上に置いたまま、自分のロッカーに行き、中を見た。
乱雑に積んだ教科書の間に何かが挟まっている。
取り出してみた。
財布だ。三つある。
あったと叫ぼうとした時、僕の後ろで大きな声がした。
「あー! 内山が盗んだ!」
僕の後ろでロッカーを覗いていたのは林だった。
僕は一瞬、何を言っていいのかわからなくなった。
林は僕の手から財布を取り上げた。
「俺の財布。これは鈴木と小平のじゃない?」
優花と小平が来て、自分の財布を持っていった。財布がなくなったのはその三人らしい。
「何で僕のロッカーに入っていたのかな?」
僕はやっと言葉を口に出し、わざとおどけたように言った。顔は平静を装ていても、心臓はドキドキし、今にも爆発しそうだ。嫌な予感がする。
「内山、人の財布を盗んじゃいかんよ」
林が軽蔑したように言った。
僕はカーッと頭に血が上った。
「バカ野郎! 俺が盗むか!」
つい大声を出していた。
「ひぇー」
林はおどけて、ピエロの真似をして逃げていく。
「誰かの悪戯よ。騒ぎが大きくなって悪戯した人、とぼけちゃったんじゃないの?」
優花がそう言って憮然としている僕を慰めてくれた。
怒りが収まらないまま僕は勇介と大樹のいるテーブルに行き、パンの袋を乱暴に破った。
昼飯を食べ終えた時、大樹が僕を誘った。大樹や勇介とつるむようになって数カ月しか経っていなかったから、その時の大樹の真剣な表情からは何も読み取ることはできなかった。
階段下の人気のない倉庫の前まで来ると、大樹は壁にもたれた。
「俺、四時間目の体育、かったるくて、サボっちまおうと思って教室に行ったんだ」
突然、訳も分からないことを話し出した大樹の真意を僕は読み取ろうとした。
「そしたら、林がお前のロッカーに手を突っ込んで何かやってた」
僕はびっくりした。財布を取られたと騒いでいた被害者で、僕を犯人呼ばわりした林があのバカ騒ぎの張本人とは。
「そこで俺は気が変わって、慌てて引き返し、面白くもないサッカーの授業に出ることにしたわけ」
僕の中に再びめらめらと怒りの炎が燃え出した。みんなの前で馬鹿にしやがって。
「でも何で林がそんなことを?」
「さあね。俺にゃわからんけど、本人から聞き出しておく必要は絶対にある」
「危ないことはするなよ」
「いいアイデアがあるんだ」
そう言って大樹は謎めいた微笑みを浮かべた。
四時間目が終わり、僕は大樹たちと昼飯のパンを買いに行った。その時の大樹は何か悩んでいるように無口だった。
僕たちが戻ると、教室は大騒ぎになっていた。弁当を広げている勇介に訊くと、何人かが財布を盗まれたらしい。同じ中学だった林が大きな声を出して、誰が財布を取られたか訊いて回っている。
誰かが、どこかに紛れ込んでいるかもしれないから、よく探してみようと言い出し、皆、自分のロッカーの中やカバンの中をごそごそ捜し出した。
僕もパンを勇介の机の上に置いたまま、自分のロッカーに行き、中を見た。
乱雑に積んだ教科書の間に何かが挟まっている。
取り出してみた。
財布だ。三つある。
あったと叫ぼうとした時、僕の後ろで大きな声がした。
「あー! 内山が盗んだ!」
僕の後ろでロッカーを覗いていたのは林だった。
僕は一瞬、何を言っていいのかわからなくなった。
林は僕の手から財布を取り上げた。
「俺の財布。これは鈴木と小平のじゃない?」
優花と小平が来て、自分の財布を持っていった。財布がなくなったのはその三人らしい。
「何で僕のロッカーに入っていたのかな?」
僕はやっと言葉を口に出し、わざとおどけたように言った。顔は平静を装ていても、心臓はドキドキし、今にも爆発しそうだ。嫌な予感がする。
「内山、人の財布を盗んじゃいかんよ」
林が軽蔑したように言った。
僕はカーッと頭に血が上った。
「バカ野郎! 俺が盗むか!」
つい大声を出していた。
「ひぇー」
林はおどけて、ピエロの真似をして逃げていく。
「誰かの悪戯よ。騒ぎが大きくなって悪戯した人、とぼけちゃったんじゃないの?」
優花がそう言って憮然としている僕を慰めてくれた。
怒りが収まらないまま僕は勇介と大樹のいるテーブルに行き、パンの袋を乱暴に破った。
昼飯を食べ終えた時、大樹が僕を誘った。大樹や勇介とつるむようになって数カ月しか経っていなかったから、その時の大樹の真剣な表情からは何も読み取ることはできなかった。
階段下の人気のない倉庫の前まで来ると、大樹は壁にもたれた。
「俺、四時間目の体育、かったるくて、サボっちまおうと思って教室に行ったんだ」
突然、訳も分からないことを話し出した大樹の真意を僕は読み取ろうとした。
「そしたら、林がお前のロッカーに手を突っ込んで何かやってた」
僕はびっくりした。財布を取られたと騒いでいた被害者で、僕を犯人呼ばわりした林があのバカ騒ぎの張本人とは。
「そこで俺は気が変わって、慌てて引き返し、面白くもないサッカーの授業に出ることにしたわけ」
僕の中に再びめらめらと怒りの炎が燃え出した。みんなの前で馬鹿にしやがって。
「でも何で林がそんなことを?」
「さあね。俺にゃわからんけど、本人から聞き出しておく必要は絶対にある」
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「いいアイデアがあるんだ」
そう言って大樹は謎めいた微笑みを浮かべた。
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