色々なSF作品 短編集

原口源太郎

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大黒柱

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「まあ、簡単に言うとじゃな、昔の家には大黒柱というのがあって、他の柱を取っても家はびくともしないのに、大黒柱をへし折ってみようものなら、その家はたちどころにしてペチャンコになるという。今度わしらが見つけたのはエジプトのピラミッド、クフ王の墓は知っておるじゃろ? その墓の大黒柱を見つけたのじゃよ。そうじゃ。もう三年も前じゃがな。三年もの間、国や考古学者やスンダラコウタラ保存会やらと争ってきた。そしてついにピラミッドの大黒柱を取り除いてみる実験の権利を勝ち取ったのじゃ。もちろん実験の後は全てを元通りに復元するという条件付きでじゃよ。お前だって、あのピラミッドが崩れ落ちる瞬間を見てみたいじゃろ? よしよし。三日後に出発じゃ」
 叔父はそう言ってわっははと笑った。

 一週間後に実験は行われた。
 ピラミッドの周りを警官と野次馬と報道関係者とユーチューバーと妨害工作を企てるナンチャラコウタラ保存会が取り巻き、空にはたくさんの報道用、軍事用のヘリコプターが飛び交い、その下にさらにたくさんのドローンが飛び交った。
 作業用の無線ロボットがピラミッドの中に消え、いくつものモニターがロボットからの映像を映し出した。
 ロボットは今回新たに発見された大黒柱と言われる巨大な石の前に立つと、その石を殴りつけた。
 石は粉々に砕け散った。

 ピラミッドの先端がぐらぐら揺れた途端、ガラガラと巨大なアリ地獄に吸い込まれるようにピラミッドは崩れ落ち、砂漠の中に消えた。
「やった、成功だ!」
 しばらくの静寂ののち、人々が口々に叫んだ。

 すると、エベレストの先端がぐらぐら揺れた途端、ガラガラとブラックホールに吸い込まれるように地球は崩れ落ち、宇宙空間に消えた。
 エジプトのクフ王の墓と言われていたピラミッドは、実は地球の大黒柱だった。
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