雪に閉ざされた山荘での犯人捜し

原口源太郎

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 皆、うなだれるようにして、黙ったままでいる。
「誰か何か言いたい人はいますかな?」
 保成氏はもう一度、一人ひとりの顔を見たが、誰も何も言わなかった。
「では、私からお話ししましょう。鈴木さん」
 保成氏は家政婦を見て言った。
「はい」
 家政婦の鈴木は、突然名前を呼ばれて驚き、怯えた目で保成氏を見た。
「あなたは誰かが居間を歩く音を聞いたと言いました。この屋敷に入ってくるには、カギの掛かっていない台所のドアを通って居間に来ると思われます。ドアの開け閉めの音は聞きましたか?」
「いいえ」
 家政婦は不安に満ちた目で保成氏を見た。
「この家に入り込んだ曲者は、出入りする扉の開け閉めの音には注意を払うけれども、歩き回る足音には注意を払わないということでありますな。次に山田さん」
 保成氏は言葉を切って執事を見た。
 執事の山田は不意を突かれて、驚いたように一瞬身を固くした。
「あなたのように勤勉実直な人が、二カ月もの間カギの掛けることのできないドアを放っておくとは思えません」
「い、いえ、そんなことは。私、こう見えて実はズボラなところがありまして」
「そして盆凡さん」
 保成氏は執事の言葉を無視するように、盆凡を見た。
「はい?」
「あなたは階下で怪しい人物が歩き回っているのを見たとおっしゃいました。しかし、いくら夜中に大きなもの音を立てないように行動するとしても、普通にトイレに行くのに、細心の注意を払って物音を立てないようにする人はあまりいないでしょう。他人の屋敷に忍び込んで用心している人物のほうが先に、二階の物音に気が付くと思うのですが」
「いえ、そうとも言い切れないでしょう」
 盆凡が言った。
「最後に将一さん」
「はい」
 将一はあまり感情を表さずに返事をした。
「あなたは本当に大柄な男を見たのですか?」
「は、はい、もちろん見ました」
 将一は初めて狼狽えた表情になった。
「しかし私はよく注意して屋敷の周りを観察したのですが、ここに来たり出ていったりした人の痕跡を見つけることができなかったと先ほど言いました。警察が来て調べればはっきりするでしょう。ということは、あなたが見た人物は大柄な男ではなく、盆凡さんか山田さんか鈴木さんのうちの誰かということになります。それは誰ですか?」
「う、うう」
 将一は考えているのか、何も言えなかった。
「それでは私が言いましょう。あなたが盆太さんを殺した犯人です」
 保成氏はある人物を指さした。


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