転職探偵

NAOTA

文字の大きさ
5 / 20

ベテラン探偵に学ぶ!

しおりを挟む
それから私は50代のベテラン探偵の調査にも同行し、勉強をさせてもらった。

ベテラン探偵の吉田はさすがであった。

とある都内の宝飾店から、最近指輪の盗難が相次ぎ、警察も捜査中であるがなかなか解決しない為、我々に調査依頼をしてきた。

夜中に店に忍びこんで盗まれたわけではなく、営業時間中に盗難されていた。

精巧な模造品とすり替えられている為、店員もその場で気が付かない。

従業員は毎日帰宅する際は、持ち物をチェックされ、カバンの中身の確認もしっかりと行われていた。

特に盗難事件が始まってからなおさら厳重であったはずなのだが、それでも盗難は続いた。

もちろん従業員ではなく、客が犯人の可能性もある。

機転のきくオーナーは、防犯カメラの映像が記録されたSDカードの他に、密かにバックアップも取っていた。

防犯カメラの映像は鮮明で、あらゆる角度から録画されていたが、何時間見ても、全く不審なものは映っていなかった。

しかし、1つわかったことがあった。

その宝飾店は、1階が一般的なジュエリーサロンであり、2階はブライダルジュエリー、いわゆる婚約指輪や結婚指輪のサロンになっていた。

指輪はブライダルジュエリーのみ盗難されていた。

ということは、客が犯人の場合、2階のサロンを利用した者が盗んだことになる。

しかし客が帰る際、店員は客の持ち物検査はできるはずもないので、別室で防犯カメラを見て警戒している警察官が、店の外で待機している警察官に連絡することになっていた。

1日に何組も来店する客の中で、怪しい動きをする者はなかなか見当たらない。

ちなみに季節は夏であり、ほとんどの客は半袖を着ていて、袖口にたくしこむことはできなかった。

あらゆる角度から見つめるカメラの中でそのような不審な場面は見当たらなかった。

私は吉田と今日録画された防犯カメラの映像を、事務所の会議室を使って確認していた。

その場面では、30代前半くらいの夫婦が2階のブライダルサロンに上がり、販売員と向き合う格好で着席した。

着席型のブライダルギャラリーでは、店は客に無料で飲み物を提供している。

今の時期は暑いので、アイスコーヒーや冷たいりんごジュースを頼む客が多かった。

その夫婦は夫はリンゴジュース、妻はアイスコーヒーを頼んでいた。

販売員は提案した指輪を夫に渡す。

夫はその指輪をハメ、妻にも見せた後、販売員に戻した。

何一つ不審なところは見当たらなかった。

この夫婦も普通の客だ

私はそう思った。

夫婦はいくつか指輪を見て、出されたりんごジュースやアイスコーヒーを飲み、販売員と少し話をした後、その夫婦は帰っていった。

「この客だ。」

吉田は言った。

「私には普通のお客に見えたのですが。」

私はもう一度今の客の場面を見たが、全く分からなかった。

確かにこの日も盗難が確認されていた。

しかし10組ほどブライダルジュエリーサロンを利用した者の中で、不審に見えた客は私にはいなかった。

私は吉田に尋ねた。

そしてこのなんてことのないトリックに、私は己の観察力の無さに失望したのだった。














































しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

ヤクザのお嬢は25人の婚約者に迫られてるけど若頭が好き!

タタミ
恋愛
関東最大の極道組織・大蛇組組長の一人娘である大蛇姫子は、18歳の誕生日に父から「今年中に必ず結婚しろ」と命じられる。 姫子の抵抗虚しく、次から次へと夫候補の婚約者(仮)が現れては姫子と見合いをしていくことに。 しかし、姫子には子どもの頃からお目付け役として世話をしてくれている組員・望月大和に淡い恋心を抱き続けていて──? 全25人の婚約者から真実の愛を見つけることはできるのか!?今、抗争より熱い戦いの幕が上がる……!!

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

処理中です...