タイムスリップ氷川丸

NAOTA

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私は時空を超え過去にタイムスリップしたのだった

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彼女はすぐに塗り薬を塗り、ガーゼを当て紙の絆創膏を巻いてくれた。

財布の中にバンドエイドが数枚入っていたのだが、この時代のものではないバンドエイドなんて見せたら、また彼女をパニックにしてしまう。

いや、むしろパニックなのは私の方だった。

これは夢ではない。

こんなリアリティがある夢があるわけがない。

今までもどうもおかしいとは思っていたが、このような状況を現実として受けとめることはできなかった。

しかし今の怪我でわかった。

信じたくはないが、私は時空を超えて過去にタイムスリップしたのだ。

いや、まだ信じられない。

そんなことあるわけがない。

いや、そんなことが起こったのだ。

私は理解する為に必死であった。

顔はおそらく青ざめ、目は泳いでいたに違いない。

彼女は私に

「ご気分が優れませんか?

医務室にご案内致しましょうか?」

と心配してくれたが、私は大丈夫だと言い、彼女の持ってきてくれたお膳に乗った味噌汁を一口飲んだ。

美味い。夢ではない…。

「お部屋の方ですが、申し訳ないのですが、3等客室のベッドしか空いてなかったのです。
他のお客様と相部屋となってしまいますが、よろしいでしょうか?」

彼女は私がこの時代では考えられないような物を持っている為、特別な身分の人間だと思っているらしく、本当に申し訳なさそうに言った。

「もちろんです。ありがとうございます。」

内心は相部屋か…と思ったが、それでも贅沢は言えまい。
横になれる場所があるだけでもありがたかった。

私は彼女と話しながらお膳に乗った和食をいただいた。

食事が済むと、彼女は私を二つ下の階の、Cデッキの3等客室へと案内してくれた。

通常であれば、3等客室の乗客は、船内を自由に歩き回ることはできないとのことであったが、今回の航行では3等客室の一般の利用者はおらず、日本郵船の広告に利用する写真を撮影するカメラマンが寝泊まりしているだけとのことであった。

3等客室は二段ベッドがいくつかあるだけのシンプルな部屋であった。

機関室が近いだけあって、ディーゼルエンジンの音と振動が入ってくる。

私が部屋に入った時は、カメラマンは撮影に出ており、部屋にはいなかった。

私は彼女に礼を言い、彼女の名前を聞いた。

ひさえさんという名前だった。

私はこれからもシアトルに着くまで、いろいろとお世話になると思うと伝えた。

彼女は穏やかにうなずき、上の階へと戻っていった。
















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