白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人

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 葵の家は両親共にαだ。
 それ故に葵が生まれ、Ωだと分かった時の落胆を何度となく聞かされ、悲しい思いをした。
 両親は葵に優れた人間になるよう求めたが、努力しても埋められない穴はあり、期待するだけ無駄だと諦められた。
 そんな葵をαに嫁がせαの孫を生ませる事が両親の願いとなっている為、未婚で子供を産む事を許して貰えないだろう。それこそ無理矢理病院に連れて行かれるかもしれない。
 子供が生まれるまでは両親に会わないようにしたい。
 どうすればいいかと竜に相談をすれば。

「うちに住み込みで働くってどうよ」

 何時もの太陽のような笑顔で軽く言われた。

「今住んでいるマンションはそのままにしてさ、うちに住めば親に会わずに済むだろ」
「でも、仕事は……」
「Ωに優しくない職場なんだろ? 産休も育児休暇もくれないところにいたって結局止める事になるんだからさ、さっさと辞めてうちで経理やってくれよ。大した給料出せないけど、家賃と飯代はタダにするからさ」

 願ってもない申し出だったが、竜に甘えていいものかと返事を詰まらせていると。

「経理って身内とか信頼できる人間にしか頼めないんだよ」

 心底困っている様な表情で浮かべ、頭を掻いた。
 以前雇っていた経理の人間がお金を盗んでいたと聞いたのを思い出す。

「お前がやってくれると助かる」

 葵が頷きやすいようにと言ってくれているのは分かったが、他にいい案もない葵は竜の優しさに甘える事にした。
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