白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人

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 発情期を迎える前に葵が語っていた理想の初体験シチュエーションを思い出す。
『俺さ、初体験は白い部屋でするのが夢なんだよね。別にラブホでもビジネスホテルでも何でもいいからさ。大きいベッドで好きって一杯言ってもらって、俺も一杯好きって言うんだ』
 聞いた時は随分と簡単な理想だと思ったが、何が簡単なものか。何一つ叶えてやれなかったと不甲斐ない自分を責める。
 汚いヤリ部屋で、言葉どころか葵だと認識もせず、本能のまま抱いた。
 抱いて、抱いて、抱き潰し。相手の身体に力が入らなくなっていてもお構いなしに貫き続け、精子が枯れるまで抱いた。
 そこまでしたのに相手を気遣う事もせずにその場に残し、自分一人帰ったのだ。
 酷い初体験をさせてしまった。
 言い訳の仕様もない。
 そんな状態で出来た子でも喜び、大切に育ててくれたというのに、それすらも奪ってしまった。
 一生を持って謝ったとしても許されるものじゃないと雪路は己の罪に涙を流した。
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