オッドアイズ

～崩壊の始まり～

『──昨日の午後9時頃、東京都内の
○○公園で身元不明の
女性の遺体が見つかりました。

遺体には全身に切り傷があり、
また、指や足など、
数箇所切断された状態で
発見されました。

警察は身元の確認を急ぐと共に、
殺人･死体遺棄事件として
捜査を進める方針です。…』


「あーもう！嫌になっちゃう！」

バンっ！！




あかりは電源ボタンを押して
リモコンを机に叩きつけた。


朝からどのチャンネルをつけても
テレビに映るのは
このニュースばかりである。



それもそのはず。


ここ最近、不自然な殺され方をする
事件ばかり立て続けに
起こっているのだ。

死体には何の指紋も残さず、
髪の毛1本すら見つからない。
あるのは残虐と言っていいほど
傷つけられた死体のみである。

また殺し方も様々で、体が
真っ二つに切られていたり、
ただただ切り刻まれていたりと
統一制がないのだ。


ただ唯一、決まっていることは

皆、女子高生ばかり
殺されている

ということ。


女子高生に恨みを持つ者の仕業か、
はたまた愉快犯の仕業なのか。
単独犯によるものか、
複数犯によるものか。

様々な憶測が飛び交うが
事件は進展しないまま、
次々と犠牲者が出ていく。



自分も"女子高生"である
佐々木あかりは
まさか、とは思っていても
もし殺人犯に出逢って
しまったら、という
恐怖から、一向に捜査が
進まない警察に
イライラを募らせていた。




…とはいえ、学校側もこの
事件での被害を避けるため、
急遽今日から、犯人が
捕まるまで無期間の
自宅学習ということになった。

先程学校から直接電話が
かかってきたのである。

本来ならば喜ぶべき連絡なのだが
あかりの場合、むしろ
恐怖に煽りをかける事となった。



「…ご飯、どうしようかな…。
ねっ、お母さん…。」


ポツリと写真に喋りかけるあかり。

父を物ごころつく前に亡くし、
母が女で一つで育ててくれていたが、
一昨年無理がたたり
あかりを残して父の元に
逝ってしまった。


今の状況は、あかりにとって
数少ないこの写真だけが
救いであり、また不思議と
溜まっていた不安や恐怖を
取り除いてくれる。


「……明るいうちに
買い物行ってきちゃうね！」



そう、母に話し掛けると
サッと身支度を済ませ
あかりは家を後にした。