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どうして、今(アルダタ視点)
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その後の記憶ははっきりとしない。
おぼろげながら覚えているのは、叔父が何度も私に謝ったこと。私はそれに対して「いいんです」「叔父さんは悪くないんです」とうわ言のように繰り返していたこと。
そして気が付くと、私は一人で町を歩いていた。
叔父とはどのような別れ方をしたのだろう。正気を失った私は、彼を傷つけるような言葉を並べなかっただろうか。あるいはこの手で暴力をふるったり、そんな八つ当たりめいたことをしてはいないだろうか。
不安に思ったが、しかし他人事のようだとも感じた。
もう、どうだっていいんだ。
私がこれまでやってきたことは、全て無駄なことだったのだから。
ぐるぐるとあてどなく、町の中を歩いた。今頃、屋敷ではタラレッダが怒っているかもしれない。
『仕事を放り出して、あの男はどこへ行ったんだい!』
そんな声が頭の中で響いた。しかしその声も、もはやどうでもいいのだという気持ちにかき消された。
私にはもう骨身を削って働く必要などない。タラレッダや、他の使用人たちには申し訳ないけれど。
もう、疲れた。
人混みを避けていたためか、町の外れへ、町の外れへと進んでいた。
日頃はペドロル様の屋敷からほとんど出ることがないから、町の中の道がほとんど分からない。大通りを外れると、もはや見知らぬ町を歩いている異邦人の気持ちだった。
日が傾き始め、このままだと帰れなくなるかもしれないと思った。
いや。
どこに帰るというのだろう。
そもそも私にはもう、帰るべき場所がないのだ。
ごみごみした建物を抜けてだだっぴろい空き地に出た。
町を出てしまったのだろうか、と私は思った。
空は暗くなり始めていた。
空き地の向こうに、建物の影が見えた。
私は考えもなく、ふらふらその建物に近づいた。
その時、犬の鳴き声が聞こえた。
段々近づいてくる。私はその声の方を見た。
「アルダタさん?」
こちらに向かって走ってきたのは、犬だけではなかった。
「なぜあなたがここに……?」
私は思わず呟いた。
どうしてこんなタイミングで、あなたは私の前に現れたのですか。
私はどんな顔をして、あなたに会えばよいのですか。
おぼろげながら覚えているのは、叔父が何度も私に謝ったこと。私はそれに対して「いいんです」「叔父さんは悪くないんです」とうわ言のように繰り返していたこと。
そして気が付くと、私は一人で町を歩いていた。
叔父とはどのような別れ方をしたのだろう。正気を失った私は、彼を傷つけるような言葉を並べなかっただろうか。あるいはこの手で暴力をふるったり、そんな八つ当たりめいたことをしてはいないだろうか。
不安に思ったが、しかし他人事のようだとも感じた。
もう、どうだっていいんだ。
私がこれまでやってきたことは、全て無駄なことだったのだから。
ぐるぐるとあてどなく、町の中を歩いた。今頃、屋敷ではタラレッダが怒っているかもしれない。
『仕事を放り出して、あの男はどこへ行ったんだい!』
そんな声が頭の中で響いた。しかしその声も、もはやどうでもいいのだという気持ちにかき消された。
私にはもう骨身を削って働く必要などない。タラレッダや、他の使用人たちには申し訳ないけれど。
もう、疲れた。
人混みを避けていたためか、町の外れへ、町の外れへと進んでいた。
日頃はペドロル様の屋敷からほとんど出ることがないから、町の中の道がほとんど分からない。大通りを外れると、もはや見知らぬ町を歩いている異邦人の気持ちだった。
日が傾き始め、このままだと帰れなくなるかもしれないと思った。
いや。
どこに帰るというのだろう。
そもそも私にはもう、帰るべき場所がないのだ。
ごみごみした建物を抜けてだだっぴろい空き地に出た。
町を出てしまったのだろうか、と私は思った。
空は暗くなり始めていた。
空き地の向こうに、建物の影が見えた。
私は考えもなく、ふらふらその建物に近づいた。
その時、犬の鳴き声が聞こえた。
段々近づいてくる。私はその声の方を見た。
「アルダタさん?」
こちらに向かって走ってきたのは、犬だけではなかった。
「なぜあなたがここに……?」
私は思わず呟いた。
どうしてこんなタイミングで、あなたは私の前に現れたのですか。
私はどんな顔をして、あなたに会えばよいのですか。
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