「婚約破棄させてやる……」最低王子が企むも、純粋な公爵令嬢にその手は効かない。

オコムラナオ

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素敵なティーパーティー(2)(マリルノ視点)

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「お待たせいたしました」
 
 タラレッダさんがお盆を持って、部屋に戻ってこられました。

 お盆には大きな透明のポットと幾つかのカップが載っています。

 湯気が立ち上るポットに入っているのは、もちろん、淹れたての紅茶です。

 そして後ろからは、同じように紅茶を載せたお盆を持つお手伝いの方々が続いてこられます。

 その中にいた一人、メリさんという巻き毛の女の子が、

「あの、マリルノ様。本当によろしいんですか?」

 と躊躇いがちに聞いてきました。

 私は大いに頷きました。
「もちろんです。

 皆さんと一緒に食べたいと思ったから、これだけたくさんのものを用意していただいたのです。

 私たちだけでこれを食べたら、お腹がはちきれてしまいますよ」

 スコッテが小首を傾げました。

 ちょっと。
 いくら美味しそうだからって、「私、全部食べられますけど……」みたいな顔しちゃいけません。

 横目に映って、思わず噴き出してしまいそうになりました。

 そんな私の様子にメリさんは気づく様子なく、ぱぁっと顔を明るくして、他のお手伝いさんと顔を合わせました。

「ありがとうございます!」と彼女たちは私に頭を下げます。

「こちらこそ、こんなにも素晴らしい用意をしてくださって、本当にありがたいです」

 私も深々と頭を下げました。

「マリルノ様、頭をお上げてください!」

 タラレッダさんは慌てたように言いました。

 それからお手伝いの皆さんに、

「あんたたち、早くお盆をテーブルに置いて、支度を進めようじゃないか。

 せっかくの紅茶が冷めちまうよ」

 と仕事のできるタラレッダさんらしく、指示を送りました。

「はぁい」

 お手伝いさんたちはタラレッダさんの号令で、ポットの紅茶を注ぎ分けたり、お皿やフォークを互いに配ったりと、てきぱき動きました。

 そして部屋に音楽が流れ始め、素敵なティーパーティーは幕を開けたのです。










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