「婚約破棄させてやる……」最低王子が企むも、純粋な公爵令嬢にその手は効かない。

オコムラナオ

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王と側近の会話

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「よかったのですか、国王様」

「……何がだ」

「ペドロル様を中央に戻されなくて」

「お前は戻したほうが良いと思うか?」

「……正直に申し上げますと、私は、帰ってきていただいたほうが良いと思います」

「なぜだ」

「はい。

ペドロル様はとても優秀な方です。

この文書に目を通しただけでも、ペドロル様の働きは、この国にとって必要なものだとよくわかります。

たしかに、ペドロル様の私生活における行いについては、間違ったところがあったかもしれません。

しかし、ペドロル様はペドロル様なりに、その過ちを取り戻そうとされました。

今回の報告は、ペドロル様がこちらに戻ることを許すに値する内容なのではないでしょうか」

「あいつの優秀さは、私もよく分かっている。

だが、私がペドロルに求めているのは、その点ではないのだ。

そもそも、このたびあいつが犯した過ちには、あいつの狡猾さが深く関わっていた。

あいつは自身の優れた頭脳を用いて、物事を思い通りに動かす能力に長けている。

これは一国の主になるとしても、重要な資質には違いない。そしてこの点において、私はペドロルが、兄弟の中でも抜きん出ていると感じる。

だが……それだけではだめなのだ。

あいつには決定的に足りないものがある。

私があいつに考えさせたいのは、自らの能力を何に使うか、ということだ。

今回の報告も、国の防衛に目を向けているという点については、評価に値すると思った。

しかしあいつの腹の中では、それはあくまで手段に過ぎないのだろう。

本当は国のことなど、ましてや襲われた小さな村々のことなど、あいつにとってはどうだっていい。

防衛の穴を指摘することは、自らが犯した過ちを帳消しにするための口実に過ぎないからだ。

あいつには、私の後を継いでもらうことも考えている。

そのためには、ここは絶対に間違えてはならないことなのだと、私は思うのだよ。

自分が何のために罰されているのか。

今回のことで学ぶべきこと、反省すべきことは何なのか。

あいつにはよくよく考えてもらいたいと思っている。

あいつならば正しい答えにたどり着くことができると、私は心から信じている……」

「……私が間違っておりました、国王様」

「いや。

お前と私のどちらが間違っているかは、まだわからないことだ。

あいつが何を考えて、最終的にどのような判断を下すのか。

それを見届けるしか、方法はあるまい」

「おっしゃる通りでございます……」







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