86 / 144
隊長の厄介な日々
しおりを挟む
姫様が死んだ。
無力で、どうしようもない私のせいで……
その事実が、私に重くのし掛かる。
誰かに怒りをぶつけてる場合じゃなかった。
冷静になって考えれば、思考がそこに至ったかもしれないのに。
昨夜の行動が、後悔となって私の頭の中を埋めていく。
……いらない。
辛い事や悲しい事を見続けなきゃいけないなら、こんな人生になんの意味があるのさ。
姫様と交わした、また明日、という果たせなかった言葉。
生きる為に人を殺して、守る為にも人を殺したのに……
その結果がコレ?
そんなのってないよ。
なんの意味も持たない私なんか、もういらないよ……
呆けていると、私の体から黒い靄が湧き出てきた。
「……これは」
見た覚えがある。
お爺ちゃんから貰った魔石シペトテクのスキル【贄魂喰ライ】を使った時に出てきた靄だ。
どうして、このタイミングで……?
スキルを使っていない私は困惑するが、その間にも黒い靄は私の体から湧いてくる。
そして湧き出てきた靄が姫様の方に流れていき、包み込んでいく。
何をしているの……?
私は不安に思いつつも黒い靄を見ているしかなかったが、黒い靄が姫様を完全に包み込むと中でキラキラと光が見え始めた。
何が起きているのか確かめる為に近付こうとすると、不意に体から力が抜けて、その場に倒れてしまった。
「な…に……? 急に…力が……」
「シラハ?! どうしたんだ!?」
すぐにアルフリードさんが駆け付けてくれるが、その間にも私の体から力は抜けていく。
この力の抜け方には覚えがある。【竜咆哮】を使った時によく似ている。
けれど、体から抜ける力が比べ物にならない。
このままいくと魔力枯渇で絶不調になる。
でも体が動かないから、どうしようも……
そんな時だった。
「あっ!! ……ぅあ?!」
体の奥底……というのか分からないけど、全身に形容し難い鈍い痛みが駆け抜ける。
「うぐっ…か、はぁ……!」
「シラハ!! しっかりしろ!」
「何が起きた!?」
アルフリードさんが痙攣し始めた私の体を抑えながら名前を呼ぶ。
そこへ異変に気づいたローウェルさんも声をかけるが状況は変化しない。
こんな事態には慣れてきた気もするけど、そんな時に感じる痛みにはどうにも慣れる事ができない。
痛みに呻きながら私は気を失った。
◆ローウェル視点
訳が分からない事というのは、いきなりやってくる。
こっちの都合なんかお構いなしで唐突にだ。
あの日、俺が一人で執務室に詰めていた時に、妙な気配を感じたのが始まりだ。
あの時は、どこからか放り込まれた手紙を見つけると気配は消えていた。
最初は罠かと警戒をしたが、手紙の封を開けてみれば陛下からの手紙なのだから、さらに警戒してしまった。
陛下は俺達騎士団の現状を知らない。
有事の際に国を守るべき盾であり剣である騎士団が、ゼブルスという家柄だけで団長になった男に好き勝手にされている。
それを陛下は見て見ぬ振りをしているのだ。
俺が何度も陳情書を提出しているのに、行動どころか返事の一つもきやしない。
誰も下町なんて気にしないという事なのか……
このままでは下町は荒れ、それが王都全体に拡がる。
甘い汁だけを吸っている貴族にはそれが分からないのか!
なんて思っていた時期も俺にはあったが、陛下からの手紙には魔薬調査を行いたいから、とある騎士に協力してもらいたい、という事が書かれていた。
他にも秘密裏に連絡を取り合う方法も書いてあった。
まさか、この国の頂点が貴族に好きに操られていたとはな……
となると、その見張っていた貴族の手下共の監視を掻い潜って手紙を受け取り、俺のところまで持ってきたと思われるさっきの気配は、なかなかに役に立つ人材だ。
陛下より先に取り立てられなかったのが悔やまれるが、それよりも先にやる事がある。
この手紙に書かれているアルフリードというヤツは、アルクーレの街で魔薬調査を成功させているらしい。
そんな人材を魔薬調査に参加させていない時点で、解決する気がないと公言しているようなものだが、それも権力を使えばいくらでも黙らせられるだろうな。
俺は次の日にアルフリードに会いに行くと、俺の隊に配属させる事を伝えた。
「じ、自分が三番隊にですか?!」
「不服か?」
「とんでもありません! 自分はラウザ隊長を尊敬しておりますので、とても光栄です!」
「仮入隊だがな。あと俺のことはローウェルと呼べ。他のヤツもそう呼んでいる」
「了解致しました、ローウェル隊長!」
元気なヤツだな。
まだ若いし、こういったヤツ等を、腐った貴族が居座る環境に置きたくねぇな……
そうならないように気を付けとかないとな。
俺は魔薬調査をアルフリードに任せて、陛下からの指示をこなしていく。
一つは腐った貴族との繋がりがない騎士を探す事。
これは俺の隊の連中をこき使えば、どうにかなるだろう。
問題は次のイリアス様の行方…だ。
イリアス様が病に伏せているのは誰でも知っている事だ。
だが、その居場所を陛下が知らないとは思わなかった。
倒れてすぐは、たしかにイリアス様の寝所に居たそうだ。
しかし政務で数日見舞いに行けなかった間に、イリアス様が居なくなっていたという。
その経緯から、陛下はイリアス様が毒を盛られたと悟ったが、すぐに宰相のノレオ・ネカオが脅迫してきた為、陛下は言いなりになるしかなかったそうだ。
陛下も一人で戦っていたんだな……
そして手紙には、こうも書かれていた。
それは好機が訪れれば優先するのは、腐った貴族を粛正することであって、もしもイリアス様の命を盾にされたとしても陛下は止まるつもりはない、という事だ。
陛下が覚悟しているのなら、俺も腹を括っておかなければな。
そんな中、事件が起きる。
執務室で仮眠をとっていた俺を、副隊長のノックスが起こしにきた。
まだ起こす時間には早いだろうに……
「どうした?」
「マックレー伯爵の家の者から、マックレー伯爵が屋敷から居なくなったから探して欲しいと要請がありました」
「なんだそれは……? マックレー伯爵もいい大人なんだから一人になりたい時もあるだろ? ガキじゃないんだから、ほっとけばいいだろうに……」
「それがマックレー伯爵は護衛も付けずに誰かと会っていたそうで、その後マックレー伯爵の姿が見当たらないと……」
「なら、その伯爵が会っていたという誰かが怪しいが……どうせ、そいつが何者かは屋敷の誰も知らないって言うんだろ?」
「その通りです」
ノックスの言葉に俺は盛大に溜息を吐いた。
伯爵家の当主ともあろう者が不用心なものだ。
俺は詰所に何人か残しノックスと共に、マックレー伯爵の屋敷へと向かった。
俺達は、マックレー伯爵の行方の手掛かりとなる物を探す為に書斎を調べていたのだが……
そこには、魔薬を売り捌いて得た利益を記した帳簿や魔薬の現物が保管されていた。
「杜撰な管理だな……誰かが踏み込んだら一発でバレるとは考えなかったのか?」
「そもそも、誰も踏み込むとは考えていなかったのでは?」
「こんな物があるのに、俺達に連絡したという事は使用人は伯爵が魔薬を売り捌いているのを知らなかったのか?」
「それか関わっていた者は逃げたか、ですね」
俺の考えにノックスが推察を挙げていく。
ノックスの言う通りだとすると、この件は他の貴族に知られるのは不味い。
調べるだけの権限も証拠もないから正確には分からないが、それなりの数の貴族が魔薬に関わっている。
そんなヤツ等への足掛かりとなる証拠品を、俺達に回収させる訳がない。
「ノックス。俺達がマックレー伯爵の屋敷を調べる事は団長に伝えたのか?」
「伝えようとはしましたが、いつも通りです」
「つまり伝わってないという事だな」
「そういう事です」
今回ばかりは団長の無能ぶりに感謝だな。
アレは俺達が報告を上げると、そんな些事に私の時間を浪費させる気か? と露骨に嫌そうな顔をする。
だが俺のような騎士団の分隊の隊長なんて下っ端は、きちんと報告を上げないと後で責められるからな。
何度も同じように報告を上げようとしていたら、三番隊の報告は門前払いを受けるようになってしまった。
これは団長ではなくて、マメな自分の性格に感謝するべきか?
俺達は人目につかないよう、日が昇る前に撤収するべく証拠品を運び出した。
まるで盗人だな……
「日が昇らない時間帯に貴族の屋敷から集団で物を運び出す……。自分達が盗賊団にでもなった気分です」
「アホな事を言ってないで、さっさと行くぞ」
ノックスのケツを蹴飛ばしながら俺達は詰所へ帰還した。
帰還後は寝る間も惜しんで、帳簿等の資料に目を通していると、何人もの貴族の関与が明らかになった。
これで偉そうなだけの貴族を捕まえられるな……
あとはイリアス様の居場所か。
俺は好機が訪れる前にイリアス様の居場所がわかる事を祈る。
気がつけば日も昇り、時間は昼頃。
腹が減ったな。そういえば焼き菓子が戸棚に入っていたはずだ。
アレで空腹を誤魔化すとするか。
そう思っていると誰かが部屋にやって来る。
誰だ、俺のメシを邪魔する奴は……と思ったらアルフリードだった。
そうだった、ノックスに頼んで呼んでもらっていたんだった。
書類を見ている時に言えばよかったんだが、あの時は全てを調べ終わっていた訳ではなかったから話をしなかった。
アルフリードは大丈夫なのだろうが、その家族が魔薬に関わっている可能性も捨てきれなかったからな。
そのアルフリードに、マックレー伯爵の行方不明の件を伝える。
本来ならアルフリードにわざわざ伝える必要もないのだが、今回は魔薬が絡んでいるから教えておくことにした。
俺は情報の共有を済ませ、屋敷の調査をさせてみることにした。
するとアルフリードが妹を調査に参加させたい、と言ってきた。
コイツはアホなのか?
どこに妹を同伴して調査を行う騎士がいるんだよ。と思ったら、どうやら妹ではないらしい。
しかも話を聞けば聞くほど怪しい女だ。
ルーク・アルクーレ伯爵から信用されていて、アルフリードの妹として自然に入り込んでくるあたり、何処ぞの国の間者の可能性があるな……
本当なら即時捕縛するところだが、事を荒立てるのは得策ではない。
なら他国の間者の能力を利用させて貰おう。
そして、用が済んだら捕らえさせてもらうか。
その後、暫くしてからアルフリードがまた俺の所にやって来た。
どうやら俺達が押収した品の中に毒物があるらしい。
しかも、それを屋敷に残っていた匂いから判別したというのだから、怪しいにも程がある。
実際に会ってみても、シラハと名乗った自称アルフリードの妹は実に怪しかった。
俺の名前を知っていた理由を尋ねてみた時に見せた、僅かな動揺……
分隊の隊長でしかない俺の名前まで把握されているとは、何処の間者かは分からないが想像以上に厄介な相手なのかもしれない。
隊の連中の事はノックスに任せて、俺はアルフリードと間者女について行くことにした。
しかし運の悪いことに城内を回っていると団長と遭遇してしまった。なんで出歩いてるんだよ! と思ったら、やはりマックレー伯爵の件だった。
やっぱり聞き付けたか……
絡まれはしたが調べ終わった証拠品を団長が引き取ってくれる、というので遠慮なくくれてやる。
渡してはいけないものは、既に隊の金庫にしまってある。
それで用件は終わりかと思ったが、今度は間者女が絡まれた。
さすがに部外者が城内にいるのは咎めるのか、とも思ったんだが俺の部下ということにしたら、あっさりと納得した。
嘘だろ……?
別に気付いて欲しかった訳じゃないんだが、いくらなんでもすんなりといきすぎだろ。
団長の意識の低さに愕然としつつ俺達は調査を再開しようとしたら、間者女が顰めっ面をしていた。
どうも団長に尻を触られたらしい。
まだ女という程の歳でもないのに、よく手が動いたな団長は……と、趣味の広さにも驚かされる。
色ボケ団長が……と呆れていると、つい昔のことを思い出してしまいステンノの事を喋ってしまった。
もしアイツに聞かれていたら殴られていたかもな……
ステンノは俺の婚約者だった女だ。
しかし、あの一件で婚約破棄。今後も誰かと婚約する事はないだろう。
それどころか日常生活さえも一人ではままならないのだ。
ステンノは俺の婚約者になってしまったが為に不幸になってしまった。
なら、せめて俺も誰とも結婚をしないと決めた。
なんの償いにもならないがな……
すると間者女が完全な治療はできないと言ってきた。
必要なのは魔薬が手に入らない環境だと。
それを作るのは俺達か……
やってやろうじゃないか。
なんか乗せられてしまった感があるな……
団長に連れて行かれないように俺が同行しているのもバレているようだしな。怪しいのも本当だが。
間者女について行くと中庭に辿り着いた。と思ったら茂みを漁り始めた。何をしているんだ……
俺も近づいてみると、地面に小瓶が落ちているのを見つけた。これは……押収してあった毒物とやらと同じ瓶だな。
「それは?」
「毒が入っていた瓶の破片みたいですね。中身も入っていたみたいです」
俺が聞いてみると間者女が毒だと告げる。
「だが、こんな所に落ちているのは変だな」
俺はいつもノックスと一緒にいる時の癖で、思った事をそのまま口に出す。
この方が考えが纏まるんだよな。
「事故ではなく故意だとすれば、その毒はもう必要ないと言うことか……対象が死んだのか?」
「嫌な事を言わないでくださいよ隊長」
アルフリードが嫌そうな顔をするが、これはあくまでも憶測だからな。お前がどんな顔をしようが結果は変わらないぞ。
「シラハ?!」
俺が考えていると間者女がいきなり駆け出した。
まさか逃げる気か!?
「おい! 待て!」
呼び止めてみるが止まる気配はない。まぁ、当然か……
間者女は、何処かへ向かって通路を駆け抜ける。
アイツ足速いな……間者だから当然なのかもしれないが、それでも速いと思う。それに通路にいる使用人を小さな体を活かしてすり抜けていやがる。ズルイな
というか、何処に向かっている?
間者女は迷う素振りもないし、城内の構造を完璧に把握でもしているのか?
それにこっちは使用人達が利用する区域だ。
もしかして使用人に紛れ込んで逃げるつもりか? いや、あの目立つ容姿じゃ無理か。
それなら……いったい……
間者女が、とある部屋を開け放つ。
なんかバキリと鍵か何かが壊れた音が聞こえたが気のせいだろう。
間者女に続いて部屋に入ると、部屋には血の匂いが充満していた。
血溜まりの中に倒れる、あのお方は……
「イリアス様!! 誰か医者を!」
俺の声を聞き、アルフリードが騒ぎを聞きつけた使用人達を捕まえて呼びに行かせる。
医者を呼びに行かせはしたが、イリアス様のお体は冷たく、血の気も失せていた。どう見ても既に事切れている。
一体何が起きている?
すると近くで間者女が倒れた。
「うぐっ…か、はぁ……!」
「シラハ!! しっかりしろ!」
「何が起きた!?」
俺は間者女に近付きはするが、内心は冷めていた。
それで容疑を晴らせると思っているのか? お前がイリアス様が殺害された事に関与しているのは明白なんだ。
誤魔化されはしないからな……!
だが妙なのは、間者女の魔力が減っている事だ。
俺は魔法使いではないから、その辺の感覚は鈍いが十が一になるくらいの減り方なら気付く事ができる。
何かの魔法を使っている? だが周辺に変化はない。
俺が間者女の魔法に警戒していると、間者女は意識を失った。
魔力枯渇だろう。
それくらいに間者女の魔力は減っていた。
間者女が意識を失い、アルフリードがそれを介抱していると医者がやって来る。
医者はイリアス様を見つけると慌てて駆け寄っていたが、宮廷医師だろうと死者は助けられんよ。
医者はイリアス様の首筋や手首に指を当てて脈を測っている。死んだ人間にそんな事をして、どうするつもりなんだよ。
「そこの騎士殿」
すると医者に声を掛けられた。
なんだ?
「姫様をベッドに移します。そこの若い騎士殿も手伝ってくだされ」
あれか……死者といえど姫様ともあろう方を、いつまでも床に寝かせておくなって事か……
俺とアルフリードは医者がベッドから剥がしたシーツの上にイリアス様を乗せると、ベッドに移動させる。
「んぅ……」
移した時、微かにだがイリアス様が声を出した。
馬鹿な……たしかに死んでいたはずだ……!
俺がイリアス様の顔を見ると、さっきまで血の気のなかった白い顔に赤みがさしていた。
どういう事だ……?
宮廷医師のさっきの行動は蘇生する為の行為だったのか!?
「さすがは宮廷医師殿ですな。イリアス様を救ってくださるとは……」
俺の言葉に医者は困ったような顔を浮かべる。
賛辞は苦手だったか?
「ご謙遜を……私が来る前に治療をしたのは貴方方でしょうに……私がやった事など、姫様の体調を確認したくらいですぞ」
俺達が治療した?
誰も何もしていないぞ……この医者は何を言って……
いや、間者女だ。
アイツは何かしらの魔法を行使していた。
あれがもし治療魔法だとしたら……
アルフリードに命じて間者女を背負わせる。
イリアス様を害したのは間者女ではないのか?
もう大事にしない方針は通用しないな……
さすがに軽々しく口にするわけにはいかない疑問を胸に仕舞い込むと、事が大きくなってしまった言い訳を考える。
あの色ボケ団長なら、何か適当に行っておけば誤魔化せるか? なんて少しくらい甘い事を考えても良いだろう?
ああ、腹減ったな……あの時、焼き菓子を食べるの忘れてたな……
俺はイリアス様が生きていた事に安堵したのか、腹の虫が止まらなくなってしまっていた。
部屋に戻ったら絶対に菓子を食べよう。
俺は、そう心に誓ったのだった。
//////////////////////////////////////////////////////
後書き
シラハ「また気を失っちゃった……」
アルフリード「無理をしちゃダメだぞ?」
シラハ「はぁい」
ローウェル「では取り調べを行う」
シラハ「休ませてくれないの?!」
ローウェル「昨夜は何をしていた?」
シラハ「くっ、始まってしまった……。仕方ない」
ローウェル「答える気になったか?」
シラハ「実は……」
ローウェル「実は?」
シラハ「昨夜からアルフリード様に服も着せてもらえずに、部屋に監禁されていました」
アルフリード「まさかの裏切り?!」
ローウェル「お前……」
アルフリード「ち、違うんです隊長! 昨夜ではなくて、朝方にちょっと……」
シラハ「朝方に私の部屋に入ってきて視姦されてました。その証拠にアルフリード様の鼻の周りに血が付いてます」
アルフリード「ちょ、シラハー!」
ローウェル「アルフリード…お前、団長と趣味が合うんじゃないか……?」
アルフリード「いやだあぁぁぁ!」
無力で、どうしようもない私のせいで……
その事実が、私に重くのし掛かる。
誰かに怒りをぶつけてる場合じゃなかった。
冷静になって考えれば、思考がそこに至ったかもしれないのに。
昨夜の行動が、後悔となって私の頭の中を埋めていく。
……いらない。
辛い事や悲しい事を見続けなきゃいけないなら、こんな人生になんの意味があるのさ。
姫様と交わした、また明日、という果たせなかった言葉。
生きる為に人を殺して、守る為にも人を殺したのに……
その結果がコレ?
そんなのってないよ。
なんの意味も持たない私なんか、もういらないよ……
呆けていると、私の体から黒い靄が湧き出てきた。
「……これは」
見た覚えがある。
お爺ちゃんから貰った魔石シペトテクのスキル【贄魂喰ライ】を使った時に出てきた靄だ。
どうして、このタイミングで……?
スキルを使っていない私は困惑するが、その間にも黒い靄は私の体から湧いてくる。
そして湧き出てきた靄が姫様の方に流れていき、包み込んでいく。
何をしているの……?
私は不安に思いつつも黒い靄を見ているしかなかったが、黒い靄が姫様を完全に包み込むと中でキラキラと光が見え始めた。
何が起きているのか確かめる為に近付こうとすると、不意に体から力が抜けて、その場に倒れてしまった。
「な…に……? 急に…力が……」
「シラハ?! どうしたんだ!?」
すぐにアルフリードさんが駆け付けてくれるが、その間にも私の体から力は抜けていく。
この力の抜け方には覚えがある。【竜咆哮】を使った時によく似ている。
けれど、体から抜ける力が比べ物にならない。
このままいくと魔力枯渇で絶不調になる。
でも体が動かないから、どうしようも……
そんな時だった。
「あっ!! ……ぅあ?!」
体の奥底……というのか分からないけど、全身に形容し難い鈍い痛みが駆け抜ける。
「うぐっ…か、はぁ……!」
「シラハ!! しっかりしろ!」
「何が起きた!?」
アルフリードさんが痙攣し始めた私の体を抑えながら名前を呼ぶ。
そこへ異変に気づいたローウェルさんも声をかけるが状況は変化しない。
こんな事態には慣れてきた気もするけど、そんな時に感じる痛みにはどうにも慣れる事ができない。
痛みに呻きながら私は気を失った。
◆ローウェル視点
訳が分からない事というのは、いきなりやってくる。
こっちの都合なんかお構いなしで唐突にだ。
あの日、俺が一人で執務室に詰めていた時に、妙な気配を感じたのが始まりだ。
あの時は、どこからか放り込まれた手紙を見つけると気配は消えていた。
最初は罠かと警戒をしたが、手紙の封を開けてみれば陛下からの手紙なのだから、さらに警戒してしまった。
陛下は俺達騎士団の現状を知らない。
有事の際に国を守るべき盾であり剣である騎士団が、ゼブルスという家柄だけで団長になった男に好き勝手にされている。
それを陛下は見て見ぬ振りをしているのだ。
俺が何度も陳情書を提出しているのに、行動どころか返事の一つもきやしない。
誰も下町なんて気にしないという事なのか……
このままでは下町は荒れ、それが王都全体に拡がる。
甘い汁だけを吸っている貴族にはそれが分からないのか!
なんて思っていた時期も俺にはあったが、陛下からの手紙には魔薬調査を行いたいから、とある騎士に協力してもらいたい、という事が書かれていた。
他にも秘密裏に連絡を取り合う方法も書いてあった。
まさか、この国の頂点が貴族に好きに操られていたとはな……
となると、その見張っていた貴族の手下共の監視を掻い潜って手紙を受け取り、俺のところまで持ってきたと思われるさっきの気配は、なかなかに役に立つ人材だ。
陛下より先に取り立てられなかったのが悔やまれるが、それよりも先にやる事がある。
この手紙に書かれているアルフリードというヤツは、アルクーレの街で魔薬調査を成功させているらしい。
そんな人材を魔薬調査に参加させていない時点で、解決する気がないと公言しているようなものだが、それも権力を使えばいくらでも黙らせられるだろうな。
俺は次の日にアルフリードに会いに行くと、俺の隊に配属させる事を伝えた。
「じ、自分が三番隊にですか?!」
「不服か?」
「とんでもありません! 自分はラウザ隊長を尊敬しておりますので、とても光栄です!」
「仮入隊だがな。あと俺のことはローウェルと呼べ。他のヤツもそう呼んでいる」
「了解致しました、ローウェル隊長!」
元気なヤツだな。
まだ若いし、こういったヤツ等を、腐った貴族が居座る環境に置きたくねぇな……
そうならないように気を付けとかないとな。
俺は魔薬調査をアルフリードに任せて、陛下からの指示をこなしていく。
一つは腐った貴族との繋がりがない騎士を探す事。
これは俺の隊の連中をこき使えば、どうにかなるだろう。
問題は次のイリアス様の行方…だ。
イリアス様が病に伏せているのは誰でも知っている事だ。
だが、その居場所を陛下が知らないとは思わなかった。
倒れてすぐは、たしかにイリアス様の寝所に居たそうだ。
しかし政務で数日見舞いに行けなかった間に、イリアス様が居なくなっていたという。
その経緯から、陛下はイリアス様が毒を盛られたと悟ったが、すぐに宰相のノレオ・ネカオが脅迫してきた為、陛下は言いなりになるしかなかったそうだ。
陛下も一人で戦っていたんだな……
そして手紙には、こうも書かれていた。
それは好機が訪れれば優先するのは、腐った貴族を粛正することであって、もしもイリアス様の命を盾にされたとしても陛下は止まるつもりはない、という事だ。
陛下が覚悟しているのなら、俺も腹を括っておかなければな。
そんな中、事件が起きる。
執務室で仮眠をとっていた俺を、副隊長のノックスが起こしにきた。
まだ起こす時間には早いだろうに……
「どうした?」
「マックレー伯爵の家の者から、マックレー伯爵が屋敷から居なくなったから探して欲しいと要請がありました」
「なんだそれは……? マックレー伯爵もいい大人なんだから一人になりたい時もあるだろ? ガキじゃないんだから、ほっとけばいいだろうに……」
「それがマックレー伯爵は護衛も付けずに誰かと会っていたそうで、その後マックレー伯爵の姿が見当たらないと……」
「なら、その伯爵が会っていたという誰かが怪しいが……どうせ、そいつが何者かは屋敷の誰も知らないって言うんだろ?」
「その通りです」
ノックスの言葉に俺は盛大に溜息を吐いた。
伯爵家の当主ともあろう者が不用心なものだ。
俺は詰所に何人か残しノックスと共に、マックレー伯爵の屋敷へと向かった。
俺達は、マックレー伯爵の行方の手掛かりとなる物を探す為に書斎を調べていたのだが……
そこには、魔薬を売り捌いて得た利益を記した帳簿や魔薬の現物が保管されていた。
「杜撰な管理だな……誰かが踏み込んだら一発でバレるとは考えなかったのか?」
「そもそも、誰も踏み込むとは考えていなかったのでは?」
「こんな物があるのに、俺達に連絡したという事は使用人は伯爵が魔薬を売り捌いているのを知らなかったのか?」
「それか関わっていた者は逃げたか、ですね」
俺の考えにノックスが推察を挙げていく。
ノックスの言う通りだとすると、この件は他の貴族に知られるのは不味い。
調べるだけの権限も証拠もないから正確には分からないが、それなりの数の貴族が魔薬に関わっている。
そんなヤツ等への足掛かりとなる証拠品を、俺達に回収させる訳がない。
「ノックス。俺達がマックレー伯爵の屋敷を調べる事は団長に伝えたのか?」
「伝えようとはしましたが、いつも通りです」
「つまり伝わってないという事だな」
「そういう事です」
今回ばかりは団長の無能ぶりに感謝だな。
アレは俺達が報告を上げると、そんな些事に私の時間を浪費させる気か? と露骨に嫌そうな顔をする。
だが俺のような騎士団の分隊の隊長なんて下っ端は、きちんと報告を上げないと後で責められるからな。
何度も同じように報告を上げようとしていたら、三番隊の報告は門前払いを受けるようになってしまった。
これは団長ではなくて、マメな自分の性格に感謝するべきか?
俺達は人目につかないよう、日が昇る前に撤収するべく証拠品を運び出した。
まるで盗人だな……
「日が昇らない時間帯に貴族の屋敷から集団で物を運び出す……。自分達が盗賊団にでもなった気分です」
「アホな事を言ってないで、さっさと行くぞ」
ノックスのケツを蹴飛ばしながら俺達は詰所へ帰還した。
帰還後は寝る間も惜しんで、帳簿等の資料に目を通していると、何人もの貴族の関与が明らかになった。
これで偉そうなだけの貴族を捕まえられるな……
あとはイリアス様の居場所か。
俺は好機が訪れる前にイリアス様の居場所がわかる事を祈る。
気がつけば日も昇り、時間は昼頃。
腹が減ったな。そういえば焼き菓子が戸棚に入っていたはずだ。
アレで空腹を誤魔化すとするか。
そう思っていると誰かが部屋にやって来る。
誰だ、俺のメシを邪魔する奴は……と思ったらアルフリードだった。
そうだった、ノックスに頼んで呼んでもらっていたんだった。
書類を見ている時に言えばよかったんだが、あの時は全てを調べ終わっていた訳ではなかったから話をしなかった。
アルフリードは大丈夫なのだろうが、その家族が魔薬に関わっている可能性も捨てきれなかったからな。
そのアルフリードに、マックレー伯爵の行方不明の件を伝える。
本来ならアルフリードにわざわざ伝える必要もないのだが、今回は魔薬が絡んでいるから教えておくことにした。
俺は情報の共有を済ませ、屋敷の調査をさせてみることにした。
するとアルフリードが妹を調査に参加させたい、と言ってきた。
コイツはアホなのか?
どこに妹を同伴して調査を行う騎士がいるんだよ。と思ったら、どうやら妹ではないらしい。
しかも話を聞けば聞くほど怪しい女だ。
ルーク・アルクーレ伯爵から信用されていて、アルフリードの妹として自然に入り込んでくるあたり、何処ぞの国の間者の可能性があるな……
本当なら即時捕縛するところだが、事を荒立てるのは得策ではない。
なら他国の間者の能力を利用させて貰おう。
そして、用が済んだら捕らえさせてもらうか。
その後、暫くしてからアルフリードがまた俺の所にやって来た。
どうやら俺達が押収した品の中に毒物があるらしい。
しかも、それを屋敷に残っていた匂いから判別したというのだから、怪しいにも程がある。
実際に会ってみても、シラハと名乗った自称アルフリードの妹は実に怪しかった。
俺の名前を知っていた理由を尋ねてみた時に見せた、僅かな動揺……
分隊の隊長でしかない俺の名前まで把握されているとは、何処の間者かは分からないが想像以上に厄介な相手なのかもしれない。
隊の連中の事はノックスに任せて、俺はアルフリードと間者女について行くことにした。
しかし運の悪いことに城内を回っていると団長と遭遇してしまった。なんで出歩いてるんだよ! と思ったら、やはりマックレー伯爵の件だった。
やっぱり聞き付けたか……
絡まれはしたが調べ終わった証拠品を団長が引き取ってくれる、というので遠慮なくくれてやる。
渡してはいけないものは、既に隊の金庫にしまってある。
それで用件は終わりかと思ったが、今度は間者女が絡まれた。
さすがに部外者が城内にいるのは咎めるのか、とも思ったんだが俺の部下ということにしたら、あっさりと納得した。
嘘だろ……?
別に気付いて欲しかった訳じゃないんだが、いくらなんでもすんなりといきすぎだろ。
団長の意識の低さに愕然としつつ俺達は調査を再開しようとしたら、間者女が顰めっ面をしていた。
どうも団長に尻を触られたらしい。
まだ女という程の歳でもないのに、よく手が動いたな団長は……と、趣味の広さにも驚かされる。
色ボケ団長が……と呆れていると、つい昔のことを思い出してしまいステンノの事を喋ってしまった。
もしアイツに聞かれていたら殴られていたかもな……
ステンノは俺の婚約者だった女だ。
しかし、あの一件で婚約破棄。今後も誰かと婚約する事はないだろう。
それどころか日常生活さえも一人ではままならないのだ。
ステンノは俺の婚約者になってしまったが為に不幸になってしまった。
なら、せめて俺も誰とも結婚をしないと決めた。
なんの償いにもならないがな……
すると間者女が完全な治療はできないと言ってきた。
必要なのは魔薬が手に入らない環境だと。
それを作るのは俺達か……
やってやろうじゃないか。
なんか乗せられてしまった感があるな……
団長に連れて行かれないように俺が同行しているのもバレているようだしな。怪しいのも本当だが。
間者女について行くと中庭に辿り着いた。と思ったら茂みを漁り始めた。何をしているんだ……
俺も近づいてみると、地面に小瓶が落ちているのを見つけた。これは……押収してあった毒物とやらと同じ瓶だな。
「それは?」
「毒が入っていた瓶の破片みたいですね。中身も入っていたみたいです」
俺が聞いてみると間者女が毒だと告げる。
「だが、こんな所に落ちているのは変だな」
俺はいつもノックスと一緒にいる時の癖で、思った事をそのまま口に出す。
この方が考えが纏まるんだよな。
「事故ではなく故意だとすれば、その毒はもう必要ないと言うことか……対象が死んだのか?」
「嫌な事を言わないでくださいよ隊長」
アルフリードが嫌そうな顔をするが、これはあくまでも憶測だからな。お前がどんな顔をしようが結果は変わらないぞ。
「シラハ?!」
俺が考えていると間者女がいきなり駆け出した。
まさか逃げる気か!?
「おい! 待て!」
呼び止めてみるが止まる気配はない。まぁ、当然か……
間者女は、何処かへ向かって通路を駆け抜ける。
アイツ足速いな……間者だから当然なのかもしれないが、それでも速いと思う。それに通路にいる使用人を小さな体を活かしてすり抜けていやがる。ズルイな
というか、何処に向かっている?
間者女は迷う素振りもないし、城内の構造を完璧に把握でもしているのか?
それにこっちは使用人達が利用する区域だ。
もしかして使用人に紛れ込んで逃げるつもりか? いや、あの目立つ容姿じゃ無理か。
それなら……いったい……
間者女が、とある部屋を開け放つ。
なんかバキリと鍵か何かが壊れた音が聞こえたが気のせいだろう。
間者女に続いて部屋に入ると、部屋には血の匂いが充満していた。
血溜まりの中に倒れる、あのお方は……
「イリアス様!! 誰か医者を!」
俺の声を聞き、アルフリードが騒ぎを聞きつけた使用人達を捕まえて呼びに行かせる。
医者を呼びに行かせはしたが、イリアス様のお体は冷たく、血の気も失せていた。どう見ても既に事切れている。
一体何が起きている?
すると近くで間者女が倒れた。
「うぐっ…か、はぁ……!」
「シラハ!! しっかりしろ!」
「何が起きた!?」
俺は間者女に近付きはするが、内心は冷めていた。
それで容疑を晴らせると思っているのか? お前がイリアス様が殺害された事に関与しているのは明白なんだ。
誤魔化されはしないからな……!
だが妙なのは、間者女の魔力が減っている事だ。
俺は魔法使いではないから、その辺の感覚は鈍いが十が一になるくらいの減り方なら気付く事ができる。
何かの魔法を使っている? だが周辺に変化はない。
俺が間者女の魔法に警戒していると、間者女は意識を失った。
魔力枯渇だろう。
それくらいに間者女の魔力は減っていた。
間者女が意識を失い、アルフリードがそれを介抱していると医者がやって来る。
医者はイリアス様を見つけると慌てて駆け寄っていたが、宮廷医師だろうと死者は助けられんよ。
医者はイリアス様の首筋や手首に指を当てて脈を測っている。死んだ人間にそんな事をして、どうするつもりなんだよ。
「そこの騎士殿」
すると医者に声を掛けられた。
なんだ?
「姫様をベッドに移します。そこの若い騎士殿も手伝ってくだされ」
あれか……死者といえど姫様ともあろう方を、いつまでも床に寝かせておくなって事か……
俺とアルフリードは医者がベッドから剥がしたシーツの上にイリアス様を乗せると、ベッドに移動させる。
「んぅ……」
移した時、微かにだがイリアス様が声を出した。
馬鹿な……たしかに死んでいたはずだ……!
俺がイリアス様の顔を見ると、さっきまで血の気のなかった白い顔に赤みがさしていた。
どういう事だ……?
宮廷医師のさっきの行動は蘇生する為の行為だったのか!?
「さすがは宮廷医師殿ですな。イリアス様を救ってくださるとは……」
俺の言葉に医者は困ったような顔を浮かべる。
賛辞は苦手だったか?
「ご謙遜を……私が来る前に治療をしたのは貴方方でしょうに……私がやった事など、姫様の体調を確認したくらいですぞ」
俺達が治療した?
誰も何もしていないぞ……この医者は何を言って……
いや、間者女だ。
アイツは何かしらの魔法を行使していた。
あれがもし治療魔法だとしたら……
アルフリードに命じて間者女を背負わせる。
イリアス様を害したのは間者女ではないのか?
もう大事にしない方針は通用しないな……
さすがに軽々しく口にするわけにはいかない疑問を胸に仕舞い込むと、事が大きくなってしまった言い訳を考える。
あの色ボケ団長なら、何か適当に行っておけば誤魔化せるか? なんて少しくらい甘い事を考えても良いだろう?
ああ、腹減ったな……あの時、焼き菓子を食べるの忘れてたな……
俺はイリアス様が生きていた事に安堵したのか、腹の虫が止まらなくなってしまっていた。
部屋に戻ったら絶対に菓子を食べよう。
俺は、そう心に誓ったのだった。
//////////////////////////////////////////////////////
後書き
シラハ「また気を失っちゃった……」
アルフリード「無理をしちゃダメだぞ?」
シラハ「はぁい」
ローウェル「では取り調べを行う」
シラハ「休ませてくれないの?!」
ローウェル「昨夜は何をしていた?」
シラハ「くっ、始まってしまった……。仕方ない」
ローウェル「答える気になったか?」
シラハ「実は……」
ローウェル「実は?」
シラハ「昨夜からアルフリード様に服も着せてもらえずに、部屋に監禁されていました」
アルフリード「まさかの裏切り?!」
ローウェル「お前……」
アルフリード「ち、違うんです隊長! 昨夜ではなくて、朝方にちょっと……」
シラハ「朝方に私の部屋に入ってきて視姦されてました。その証拠にアルフリード様の鼻の周りに血が付いてます」
アルフリード「ちょ、シラハー!」
ローウェル「アルフリード…お前、団長と趣味が合うんじゃないか……?」
アルフリード「いやだあぁぁぁ!」
100
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
コンバット
サクラ近衛将監
ファンタジー
藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。
ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。
忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。
担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。
その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。
その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。
かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。
この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。
しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。
この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。
一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる