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決闘の結果
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私の前に竜人が槍を持って立っている。
さらには周囲も竜人に囲まれている。
どうしてこうなった。
「シーちゃんなら楽勝よっ」
「我の娘だからな!」
母さんも父さんもノリノリだしっ……!
「では殺しは無しだ! もし危ういと判断したら俺が殴って止める、以上!」
そして、マグナスさんはあとで必ず殴ってやる……
決闘を断る事もできなくはないけど、竜人族の人達が人間に対して蟠りがあるのなら、ここで決闘をして私を受け入れて貰わなければ滞在するにあたって居心地が悪いからね。
問答無用で攻撃してこなかっただけ、今の状況はマシなんだと諦めよう……
「では人間よ! 俺の槍を前にどこまで戦えるか見させてもらおうかっ!」
煩い竜人が槍を構えた。
それなら、こっちは父さん印の刀の鯖にしてやろうか! 峰打ちだけど……と思って、ふと気が付いた。
刀……お家じゃんっ!
そうだよマグナスさんに連れ去り同然に運ばれて飛び出したから、武器なんて持ち出す余裕もなかったよ。
となると……また素手か。
「……よーし来い!」
私も構える。
「来い! ではなく貴様、武器はどうした?! 人間は武器が無ければ戦えぬのだろう?!」
「忘れちゃいました」
「忘れただと? なら何か代わりの武器は……」
煩い竜人が周りをキョロキョロと見渡す。
律儀な人みたい。なんだか申し訳ない……
「あ、素手でも戦えるので大丈夫ですよ」
「素手で俺の槍と渡り合えると……?」
あ、ちょっと言い方ミスったかな?
「あとで負けた言い訳にはしないでもらおうか!」
「しませんしません。では、いきますよ……」
「それでは……始め!」
お互いの言葉を聞いて、マグナスさんが開始の合図を出した。
「ふんっ!」
煩い竜人が踏み出し、真っ直ぐに突いてくる。
これ刺さっただけで死ぬ気がするけど、たぶん相手は様子見のつもりかな?
避けられるけど、私は【竜気】を使って相手の槍を掴む。
「むっ?!」
煩い竜人が驚きの声を上げる。
まあ避けるだろうと思っていたんだろうけど、その相手が槍を掴んだうえに槍が動かなくなればビックリもするだろうね。
「竜の気配……だと……」
煩い竜人が呆然しながら呟く。
なので私は槍からパッと手を離してあげる。
「ほら素手でも戦えそうですよね? だから、そちらも手加減しなくていいんですよ」
私の言葉に相手がハッとする。
ほらほら、本気を出さないで負けたら、もう一本! とか言い出しかねないし本気できてくださいよ。
「失礼した! 次は全力で行かせてもらう!!」
煩い竜人がそう言うと、ピリっと空気が変わった気がした。
あ、コレはマズい……
私は更に【剛体】と【竜鱗(剣)】を使い防御を固めて構える。
そこに相手が先程と同じように真っ直ぐに槍を突き出してきた。
さっきと同じ攻撃……だけど動きが段違いに速…いっ!
ピュォ! と槍が空気を裂く音と共に迫ってくる。
それを、体を逸らしつつ腕の竜鱗でギャリリと音を立てながら、ギリギリ捌いた。
あっぶなぁ……串刺しになるところだったぁ……。本気を出すように煽った私の責任だけどねっ!
全力で突いた相手は体が前に出過ぎていた上に、全力攻撃の硬直で隙だらけ……なら、そこに全力の蹴りぃ!
「ぐふぅ!?」
綺麗に腹部に入った蹴りで周囲の囲いにまで吹き飛び、他の竜人に受け止められている煩い竜人。
よし、完璧なカウンターだったね!
「ぐ、むぅ……」
腹部に手を当て、槍を杖代わりにしながら一人で立つ煩い竜人。
タフだね。私のパンチを受けたローウェルさんは、すぐには動けなかったのに。
「ふむ……そこまでだな! 勝者はシラハだ。この結果に異存はないな!」
「炎竜様! 俺はまだ……!」
「まだもなにもない! 負けたと今の一撃で解らぬとは言わせんぞ! 槍が無ければ立つ事も難しいだろうが!」
そう言ってマグナスさんが煩い竜人の槍を奪うと、煩い竜人はその場に座り込んでしまった。辛いのに無理して立たなくても良かったのに……
「くっ……この俺が負けるとは……」
思ったより潔かった。
あとで文句言われなきゃ、なんだっていいけどさ。
「おお……若手の中じゃ上位の使い手であるリューダスが負けるなんて……」
「あの人間なかなかやるな……」
「俺も戦ってみたいぜ!」
「幼く見えるが、人間の戦士も強いんだな」
煩い竜人ことリューダスが負けを認めると、周囲からも声があがってくる。
俺も俺も! みたいなノリで勝負を挑まれませんように……
「ふむ! 他の者からも拒絶する声は出ていないな!」
「シラハの強さを知れば異論など出るはずもあるまい」
「ええ……シーちゃん、お疲れ様。疲れてないかしら?」
「うん、平気平気。ありがと母さん」
父さんも母さんもマグナスさんも、一仕事終わった感があるけど私は、まだ終わらせるつもりはないよ。
「マグナスさん」
「どうした!」
「この決闘騒ぎは、最初から予想していたんですか?」
「うむ! 竜人が此処に集った経緯を考えれば当然だからな!」
「ほほーう……」
「どうした? 何か困った事があれば何でも言ってくるがいい!」
困った事……ありますとも。
私の存在を周知するには、今回のコレはまあアリだとは思う。思うんだけど……
私は【瞬脚】で足に力を溜める。
「ガイアスの娘よ。魔力が漏れているぞ? これ以上戦えとかは言わんから気を張る必要はないぞ!」
これは戦闘用じゃないです。制裁用です。
「事前に分かっている事なら、先に事情くらい説明しろーーー!!!」
私の足下が爆ぜる。
超加速した私は勢いもそのままにマグナスさんを殴り飛ばした。
「ぐおわーー!!」
相手がマグナスさんなら加減すると、ダメージ無さそうなので全力で拳を振り抜いてみたんだけど、十メートルくらい吹き飛んだだけだ。
普通に考えると人間が数メートル吹き飛ぶって危ないとは思うんだけど、私も自分のスキルで感覚がおかしくなってきている気がする……
だけど、そんな危険な行為でも竜であるマグナスさんは平気だ。
なんたって私の竜咆哮でもピンピンしてたからね。
「なっはっはっは! 確かに説明不足だったな、すまん!」
そして平然と起き上がるマグナスさん。くそぅ……
しかも謝罪が軽いっ!
「いや、しかし……今のはなかなかに良い攻撃だった!」
「とか言って、痛くないんじゃないんですか?」
「確かに痛くはない! だが、あまりの衝撃に内臓が飛び出すかと思ったぞ!」
本当に中身飛び出してたら、私にかかってたかもね。出なくて良かった……
そして、あれだけ吹き飛んでいながら、やっぱり痛くないんだね……私の全力なのにぃ……
「あの娘、炎竜様を殴り飛ばした……」
「それなのに炎竜様は咎めもしないとは、なんと器の大きい方なのだ……」
「さすが炎竜様」
「しかし、あの様な事をしても当然のように話をしていると言う事は、ただ友の娘という間柄でもないのかも知れないぞ?」
なんか周囲がやいのやいの言っている。
「さすがに沢山の人に囲まれているのは落ち着かないし移動しよっか」
「そうだな」
「何処に行きましょうか」
とりあえず今の状況から抜け出せれば何でもいいんだけどね。
「では皆、各々の日常に戻ってくれ!」
私の言葉を聞いてかマグナスさんが声をかける。すると私達の周囲を囲っていた人達が散っていく。
やっぱり守護者とも言える人…いや竜か。が声をかけると効果凄いね。
そしてその場に私達と、数人の竜人が残った。
さっきのリューダスって人もいる。
「リューダスどうした?」
マグナスさんが声をかけると、リューダスが背筋をビシッと伸ばし、残りの竜人もそれに続く。
そして吠えるかのように大声をだしてきた。
「先程の決闘は見事でありました! 俺…いや、自分がまだまだ未熟であると痛感させられました。それに気付かせてくれた貴女に感謝を!!」
「「「「感謝を!!!」」」」
煩い!!
なんなの急に?!
ここは体育会系の集まりか!
なんか私の方を見て、目をキラキラと輝かせている。
暑苦しいから帰ってくれませんか?
「なっはっはっは! リューダスとその弟分に気に入られたようだな! 良かったな、ガイアスの娘よ!」
良くねえよ!
何笑ってるんだよ。煩いから帰ってください本当に!
「気に入られたってなんですか……。さっきは負けを認められない、みたいな雰囲気だったじゃないですか」
その後に、ちゃんと負けを受け入れてたけどもっ!
「貴女が炎竜様を殴り飛ばした時、一生ついて行こうと決めました!」
「ごめんなさいついてこないでくださいかんべんしてください」
「大丈夫です! 邪魔にならないようにしますから!」
「すでに邪魔になってるんですが……」
「あっ、これから村を散策するんですか! なら後ろに控えてるので何かあれば言ってください、姐さん!!」
聞いてない……!
そして、マグナスさんを殴ったのが決め手だったとはっ……!
「暑苦しいのでついてこないでほしいんですけど……。あと姐さんって、何ですか?」
「暑いんですか?! すぐに扇がせてもらいます! それと姐さんは姐さんです! 自分は姐さんの舎弟なので、姐さんを姐さんと呼ぶのは当然です!」
話が通じないっ!
どうしよう……魔薬中毒者なら殴り倒せば終わりだけど、この人は悪意がある訳じゃないのが辛いっ!
こういう時は……年長者に頼る!
「父さん母さん……どうしたらいい?」
「シラハを敬い崇めるのは良い心掛けだな」
「シーちゃん、さすがね」
駄目だった。
私のSOSは二人には届かなかったらしい。
「良いではないか! お前は竜の娘なのだから、胸を張っていれば良い! ドーンとな!!」
「楽しんでません?」
「いや全く!」
全力で否定されてしまった……
そうなのか? そういうものなのか?
竜社会に慣れる事ってできるのかな……と不安に思う私であった。
//////////////////////////////////////////////////////
後書き
リューダス「姐さん!!」
弟分「「「「姐さん!!!」」」」
狐鈴「姐さんも大変だね……プフ…」
シラハ「煩えぇぇぇ!!」【雄叫び】使用
リューダス「姐さんは…大声も凄ぇ……」ぱたり
弟分「「「「ちーん……」」」」(白目)
狐鈴「ぶくぶく……」(泡吹いて気絶)
シラハ「ふー。スッキリした!」
さらには周囲も竜人に囲まれている。
どうしてこうなった。
「シーちゃんなら楽勝よっ」
「我の娘だからな!」
母さんも父さんもノリノリだしっ……!
「では殺しは無しだ! もし危ういと判断したら俺が殴って止める、以上!」
そして、マグナスさんはあとで必ず殴ってやる……
決闘を断る事もできなくはないけど、竜人族の人達が人間に対して蟠りがあるのなら、ここで決闘をして私を受け入れて貰わなければ滞在するにあたって居心地が悪いからね。
問答無用で攻撃してこなかっただけ、今の状況はマシなんだと諦めよう……
「では人間よ! 俺の槍を前にどこまで戦えるか見させてもらおうかっ!」
煩い竜人が槍を構えた。
それなら、こっちは父さん印の刀の鯖にしてやろうか! 峰打ちだけど……と思って、ふと気が付いた。
刀……お家じゃんっ!
そうだよマグナスさんに連れ去り同然に運ばれて飛び出したから、武器なんて持ち出す余裕もなかったよ。
となると……また素手か。
「……よーし来い!」
私も構える。
「来い! ではなく貴様、武器はどうした?! 人間は武器が無ければ戦えぬのだろう?!」
「忘れちゃいました」
「忘れただと? なら何か代わりの武器は……」
煩い竜人が周りをキョロキョロと見渡す。
律儀な人みたい。なんだか申し訳ない……
「あ、素手でも戦えるので大丈夫ですよ」
「素手で俺の槍と渡り合えると……?」
あ、ちょっと言い方ミスったかな?
「あとで負けた言い訳にはしないでもらおうか!」
「しませんしません。では、いきますよ……」
「それでは……始め!」
お互いの言葉を聞いて、マグナスさんが開始の合図を出した。
「ふんっ!」
煩い竜人が踏み出し、真っ直ぐに突いてくる。
これ刺さっただけで死ぬ気がするけど、たぶん相手は様子見のつもりかな?
避けられるけど、私は【竜気】を使って相手の槍を掴む。
「むっ?!」
煩い竜人が驚きの声を上げる。
まあ避けるだろうと思っていたんだろうけど、その相手が槍を掴んだうえに槍が動かなくなればビックリもするだろうね。
「竜の気配……だと……」
煩い竜人が呆然しながら呟く。
なので私は槍からパッと手を離してあげる。
「ほら素手でも戦えそうですよね? だから、そちらも手加減しなくていいんですよ」
私の言葉に相手がハッとする。
ほらほら、本気を出さないで負けたら、もう一本! とか言い出しかねないし本気できてくださいよ。
「失礼した! 次は全力で行かせてもらう!!」
煩い竜人がそう言うと、ピリっと空気が変わった気がした。
あ、コレはマズい……
私は更に【剛体】と【竜鱗(剣)】を使い防御を固めて構える。
そこに相手が先程と同じように真っ直ぐに槍を突き出してきた。
さっきと同じ攻撃……だけど動きが段違いに速…いっ!
ピュォ! と槍が空気を裂く音と共に迫ってくる。
それを、体を逸らしつつ腕の竜鱗でギャリリと音を立てながら、ギリギリ捌いた。
あっぶなぁ……串刺しになるところだったぁ……。本気を出すように煽った私の責任だけどねっ!
全力で突いた相手は体が前に出過ぎていた上に、全力攻撃の硬直で隙だらけ……なら、そこに全力の蹴りぃ!
「ぐふぅ!?」
綺麗に腹部に入った蹴りで周囲の囲いにまで吹き飛び、他の竜人に受け止められている煩い竜人。
よし、完璧なカウンターだったね!
「ぐ、むぅ……」
腹部に手を当て、槍を杖代わりにしながら一人で立つ煩い竜人。
タフだね。私のパンチを受けたローウェルさんは、すぐには動けなかったのに。
「ふむ……そこまでだな! 勝者はシラハだ。この結果に異存はないな!」
「炎竜様! 俺はまだ……!」
「まだもなにもない! 負けたと今の一撃で解らぬとは言わせんぞ! 槍が無ければ立つ事も難しいだろうが!」
そう言ってマグナスさんが煩い竜人の槍を奪うと、煩い竜人はその場に座り込んでしまった。辛いのに無理して立たなくても良かったのに……
「くっ……この俺が負けるとは……」
思ったより潔かった。
あとで文句言われなきゃ、なんだっていいけどさ。
「おお……若手の中じゃ上位の使い手であるリューダスが負けるなんて……」
「あの人間なかなかやるな……」
「俺も戦ってみたいぜ!」
「幼く見えるが、人間の戦士も強いんだな」
煩い竜人ことリューダスが負けを認めると、周囲からも声があがってくる。
俺も俺も! みたいなノリで勝負を挑まれませんように……
「ふむ! 他の者からも拒絶する声は出ていないな!」
「シラハの強さを知れば異論など出るはずもあるまい」
「ええ……シーちゃん、お疲れ様。疲れてないかしら?」
「うん、平気平気。ありがと母さん」
父さんも母さんもマグナスさんも、一仕事終わった感があるけど私は、まだ終わらせるつもりはないよ。
「マグナスさん」
「どうした!」
「この決闘騒ぎは、最初から予想していたんですか?」
「うむ! 竜人が此処に集った経緯を考えれば当然だからな!」
「ほほーう……」
「どうした? 何か困った事があれば何でも言ってくるがいい!」
困った事……ありますとも。
私の存在を周知するには、今回のコレはまあアリだとは思う。思うんだけど……
私は【瞬脚】で足に力を溜める。
「ガイアスの娘よ。魔力が漏れているぞ? これ以上戦えとかは言わんから気を張る必要はないぞ!」
これは戦闘用じゃないです。制裁用です。
「事前に分かっている事なら、先に事情くらい説明しろーーー!!!」
私の足下が爆ぜる。
超加速した私は勢いもそのままにマグナスさんを殴り飛ばした。
「ぐおわーー!!」
相手がマグナスさんなら加減すると、ダメージ無さそうなので全力で拳を振り抜いてみたんだけど、十メートルくらい吹き飛んだだけだ。
普通に考えると人間が数メートル吹き飛ぶって危ないとは思うんだけど、私も自分のスキルで感覚がおかしくなってきている気がする……
だけど、そんな危険な行為でも竜であるマグナスさんは平気だ。
なんたって私の竜咆哮でもピンピンしてたからね。
「なっはっはっは! 確かに説明不足だったな、すまん!」
そして平然と起き上がるマグナスさん。くそぅ……
しかも謝罪が軽いっ!
「いや、しかし……今のはなかなかに良い攻撃だった!」
「とか言って、痛くないんじゃないんですか?」
「確かに痛くはない! だが、あまりの衝撃に内臓が飛び出すかと思ったぞ!」
本当に中身飛び出してたら、私にかかってたかもね。出なくて良かった……
そして、あれだけ吹き飛んでいながら、やっぱり痛くないんだね……私の全力なのにぃ……
「あの娘、炎竜様を殴り飛ばした……」
「それなのに炎竜様は咎めもしないとは、なんと器の大きい方なのだ……」
「さすが炎竜様」
「しかし、あの様な事をしても当然のように話をしていると言う事は、ただ友の娘という間柄でもないのかも知れないぞ?」
なんか周囲がやいのやいの言っている。
「さすがに沢山の人に囲まれているのは落ち着かないし移動しよっか」
「そうだな」
「何処に行きましょうか」
とりあえず今の状況から抜け出せれば何でもいいんだけどね。
「では皆、各々の日常に戻ってくれ!」
私の言葉を聞いてかマグナスさんが声をかける。すると私達の周囲を囲っていた人達が散っていく。
やっぱり守護者とも言える人…いや竜か。が声をかけると効果凄いね。
そしてその場に私達と、数人の竜人が残った。
さっきのリューダスって人もいる。
「リューダスどうした?」
マグナスさんが声をかけると、リューダスが背筋をビシッと伸ばし、残りの竜人もそれに続く。
そして吠えるかのように大声をだしてきた。
「先程の決闘は見事でありました! 俺…いや、自分がまだまだ未熟であると痛感させられました。それに気付かせてくれた貴女に感謝を!!」
「「「「感謝を!!!」」」」
煩い!!
なんなの急に?!
ここは体育会系の集まりか!
なんか私の方を見て、目をキラキラと輝かせている。
暑苦しいから帰ってくれませんか?
「なっはっはっは! リューダスとその弟分に気に入られたようだな! 良かったな、ガイアスの娘よ!」
良くねえよ!
何笑ってるんだよ。煩いから帰ってください本当に!
「気に入られたってなんですか……。さっきは負けを認められない、みたいな雰囲気だったじゃないですか」
その後に、ちゃんと負けを受け入れてたけどもっ!
「貴女が炎竜様を殴り飛ばした時、一生ついて行こうと決めました!」
「ごめんなさいついてこないでくださいかんべんしてください」
「大丈夫です! 邪魔にならないようにしますから!」
「すでに邪魔になってるんですが……」
「あっ、これから村を散策するんですか! なら後ろに控えてるので何かあれば言ってください、姐さん!!」
聞いてない……!
そして、マグナスさんを殴ったのが決め手だったとはっ……!
「暑苦しいのでついてこないでほしいんですけど……。あと姐さんって、何ですか?」
「暑いんですか?! すぐに扇がせてもらいます! それと姐さんは姐さんです! 自分は姐さんの舎弟なので、姐さんを姐さんと呼ぶのは当然です!」
話が通じないっ!
どうしよう……魔薬中毒者なら殴り倒せば終わりだけど、この人は悪意がある訳じゃないのが辛いっ!
こういう時は……年長者に頼る!
「父さん母さん……どうしたらいい?」
「シラハを敬い崇めるのは良い心掛けだな」
「シーちゃん、さすがね」
駄目だった。
私のSOSは二人には届かなかったらしい。
「良いではないか! お前は竜の娘なのだから、胸を張っていれば良い! ドーンとな!!」
「楽しんでません?」
「いや全く!」
全力で否定されてしまった……
そうなのか? そういうものなのか?
竜社会に慣れる事ってできるのかな……と不安に思う私であった。
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後書き
リューダス「姐さん!!」
弟分「「「「姐さん!!!」」」」
狐鈴「姐さんも大変だね……プフ…」
シラハ「煩えぇぇぇ!!」【雄叫び】使用
リューダス「姐さんは…大声も凄ぇ……」ぱたり
弟分「「「「ちーん……」」」」(白目)
狐鈴「ぶくぶく……」(泡吹いて気絶)
シラハ「ふー。スッキリした!」
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