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スキルの効果
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私は煩いリューダス達を空気として扱う事にして、マグナスさんに竜人の集落の案内をしてもらう事にした。
案内と言ってもマグナスさんが最初に言っていた通り、大した広さでもなかった。
マグナスさんの寝床以外だと、竜人の戦士達が鍛錬を行う訓練場、竜人達の家、集落の中央辺りの位置にある広場と集落の外周にある畑ぐらいだった。
集落内での取引となると、畑の収穫物か外で獲ってきた魔物の、毛皮や牙や爪といった物との物々交換になるらしい。
私が一番驚いたのは、なんと此処では魔物肉を当たり前のように食べていた事だ。
竜の血が入っているので、魔物肉を食べても具合が悪くなる事がないんだとか。
竜って凄い!
となると…だ。
竜人の集落此処って私が暮らすのに、とても都合が良いんじゃないだろうか……
だって竜人は頑丈だし……リューダスとしか戦った事ないから他は分からないけどね。
竜人は魔物肉食べられるし……食べられるけど生で食べる様な事はしないらしい。普通にお腹壊すんだって。
スキルはほとんど見せてないけど、なんか竜の娘という事で普通に受け入れられそうな感じがする……
そして竜人の姿が人に近いのも理由になるかもしれない。もしこれが、トカゲが二足歩行で動き回るみたいな感じだったら、アウェー感が強すぎて落ち着かなかったかもしれない。
でも、そんな心配もない此処は……もしかすると永住案件として議題に挙げられるかもしれない。
家族会議的な話として。
そうなると問題は……
アルクーレや王都の知り合いに会いたい、となった場合……は飛んで行けばいいから問題無いし。
それに向こうには当分行けないだろうしね。
他の場所に行ってみたい場合……も飛んで行けば良い。
他者との交流……は集落の竜人達と、これからしていけば良いし。
父さんと母さんは私が言い出したら、たぶん嫌とは言わないだろうしなぁ……
「シーちゃん、どうしたの?」
私がうんうんと唸っていると、母さんが話しかけてきた。
「母さんは、此処ってどう思う?」
「此処? 暖かいし涼しいし過ごしやすいと思うわ」
「そうだよね」
一応同意はしたけど、私には集落の外は寒すぎるんだよね。
まぁ、一日中ずっと外に居なければいいんだけど。
「父さんは? やっぱり家の方が良い?」
「それは、やはり我が家の方が良いが……こういう場所も悪くはないと思っている」
父さんが見ているのは、訓練場で模擬戦をしている竜人達だ。
「以前の我なら、あの様に戦っているのを見ても弱いな……としか思わなかっただろうが、今は……どうだろうな」
父さんは、というよりは竜種全体が、なんだろうけど強い弱いで考える傾向にあるんだろうね。
「シラハの事を考えると、此処に住む…というのも考えるべきなのかも知れんな……」
「ガイアス?」
父さんの言葉に母さんが少し驚いたように名前を呟いた。
「シラハを認めた者達を我が鍛えてやるのも悪くはないかもしれんな……」
「それは悪くないわね」
「シラハは、どうしたい? シラハも此処は存外、気に入っているのだろう?」
父さんの言葉に驚いた。
基本的に父さんは誰も私に近付けたがらなかったのに……
「此処で暮らしてもいいの?」
「此処で暮らしてみたい、という顔をしていたではないか」
「え…そんな顔してたかな……」
私が自分の顔をプニプニと触っていると、父さんの手が私の頭に乗せられる。
「シラハもなかなかに分かり易いのだな」
「そんなことないよぅ……!」
私って、そんな分かり易い?
考えている事を当てられて少し恥ずかしい。
「あのガイアスが相手の気持ちを考えられるなんて……」
「我も成長しているのだ!」
母さんが意外そうにしていて、父さんは胸を張って誇らし気だ。
そうなると……
「引越しの準備をしないとね! あ、その前に……マグナスさん、私達此処に住んでも大丈夫ですか?」
「なっはっはっは! 聞く前に既に決まっていた気もするが問題はないぞ! 俺も大歓迎だ!」
「まさかマグナスの作った集落に留まる事になるとはな」
「それは俺も同じ気持ちだ!」
マグナスさんが笑いながら父さんの背中を叩いている。父さんは少し鬱陶しそうにしてるけど、他の竜と一緒にいるというのは父さんや母さんにとっても良い事だと私は思うんだ。
「それじゃあ、シーちゃん。まず何からしましょうか」
「うーん……こっちでの私達の家が必要だよね。そしたら元の家から置いてきちゃった荷物も回収して……あ、領域も解除しておかないと魔物の家になっちゃうよね」
「慌てなくても平気よ、シーちゃん」
母さんに言われて、ちょっと深呼吸。すーはー……浮かれ過ぎると何かしら忘れるからね、落ち着こう。
あー…でも、新生活とか楽しくなっちゃうよね!
「ふふ……」
隣で母さんが笑う。
私が母さんに視線を向けてみると、微笑ましそうな表情で私を見ていた。
「大人しいかと思えば急に出かけたい…と言ったり、落ち着いていると思えば子供の様にはしゃぎだして、本当にシーちゃんを見ていると楽しいわ」
「母さん……」
うわ……私、そんなにはしゃいでいたかな?
ちょっと顔が熱くなっちゃうから見ないでー!
『お姉ちゃんっ』
「はわっ?!」
私が恥ずかしがってモジモジしていると、急に頭の中に声が響いてきて思わず声が出てしまった。
「シーちゃん?」
母さんが不思議そうな顔をするけど、なんて説明したらいいかなぁ……
頭の中で別の誰かの声が聞こえる…とか、頭おかしい子みたいだし……うーん。
「あ、母さん……あとで説明するから、ちょっとだけ待っててね」
「わかったわ」
「ありがとう。……それでナヴィ、今なら少し話せるのかな?」
母さんに一言断ってからナヴィに話しかける。
『お姉ちゃん、お話してたのに急にごめんね』
「ううん、気にしなくて良いよ。ナヴィと話せる機会あまりないからね」
急に出てくるのも私の中からじゃ気配もないから、どうしようもないしね。
驚きはするけど、そこは仕方ない。
『実はお姉ちゃんには伝えておかなきゃいけない事があります』
「なに?」
ナヴィの声は真面目な感じだ。
何か大事な話かな?
『お姉ちゃん少し前に二回、死にましたよね?』
「二回? え…? というか私、死んでたの?」
はて? 思い当たるのはアレだ。
騎士団長に喉を斬られた時だ。
あの時は、ああ死んだなって思ったけど、その後普通に動けた。
後になって考えても、何かのスキルが効果を発揮したんだなって事くらいしか分からなかったから、考えるのをやめていた。
もう一回は……
「騎士団長の時と、もしかしてジャガールとかいう変異種……かな?」
『はい、それです』
「死んでたんだ……アレ」
確かに死んでも不思議ではなかったけど、だからこそ生きていたから気にしないようにしていた。
けどナヴィに死んだと言われてゾッとした。
『あの時、お姉ちゃんの生命活動が停止した瞬間にあるスキルが発動してました』
「なんのスキル?」
『【散花】です』
お爺ちゃん!!
効果が分からなくて嘆いていたけど、お爺ちゃん!
お爺ちゃんが持ってきてくれた魔石で私、命拾ってたよ!
ありがとう!
『教えてあげれば、お爺さん凄く喜びそうですね』
「うん。なんか想像できるよ……」
狂喜乱舞して手がつけられなくなりそうだけどね。
レイリーの胃に穴が開かなきゃいいけど……
『それと、もう一つ』
「まだあるの?」
『はい。お姉ちゃん、王都でお姫様を助けましたよね?』
「毒を治した時の事?」
『そちらではなくて、黒い靄が出てきた時の話です』
「ああ、アレね。うん覚えてるよ。でも、あの時はスキル使った覚えないんだよね」
あの時、私から出てきた黒い靄が姫様を包んでいったのは覚えてる。
その後は魔力が抜けていって……すぐに痛みで気を失ってしまった。
「あれは【贄魂喰ライ】のスキルだよね?」
『はい。ただ、あの時はスキルが暴走しているようでした』
「暴走?」
『あの時の【贄魂喰ライ】は正常な動作をしていなかったんです』
「そもそも正常時の効果が分からないんだけど……」
スキル効果が分からないから放置していたんだし……
『あのスキルの本来の効果は、対象の魔力を奪い自身の生命に組み込むことです』
「生命に……組み込む?」
『暴走時はその逆で、お姉ちゃんの魔力をお姫様に移す事で、尽きた生命を回復させたんだと思います』
「だとしても私はスキル効果なんて知らなかったし、なんで勝手に発動したの?」
『これは私の推測なんですが、あの時はお姉ちゃんがお姫様を助けたい、とか考えていたのを汲み取ってスキルが発動したんじゃないかと……』
ナヴィの言った通りかもしれないけど……もしもスキルが別の誰かの意思で動いていたとしたら……?
「スキルが暴走していたって言うのは、ナヴィの感覚的なものでわかるの?」
『そうですね。スキルの効果も初めて何かに作用した事で、魔力の流れから判明した事ですし、その辺はなんとなく理解したって感じですね』
「そっか……。ナヴィが居てくれて良かったよ。私だけだったら、効果が分からないままだったろうし……」
『お姉ちゃんの力になれて良かったです。……って、そうじゃなくてですね! 今後はあのスキルを暴走させないように気を付けてください! 魔力枯渇なんて何度もなるべき状態じゃないんですからね!』
「はい……」
年下の女の子に怒られてしまった。
でも暴走させるな、と言われてもどうしたらいいのやら……
とはいえ、もしまた【贄魂喰ライ】が勝手に発動したりして、父さんや母さん、知り合いの人達の魔力を奪うような事が起きたら……
それは凄く怖い。
そうならないようにするには、【贄魂喰ライ】の効果も判明したので魔物を相手にもう一度検証しなければいけない。
やる事が見えてくれば、どうにかなるような気がしてくる。
スキル練習に家作りに引越しに新生活に……
これから忙しくなるぞー!
//////////////////////////////////////////////////////
後書き
シラハ「本当にリューダスさんが空気だった」
リューダス「空気に徹していても常に姐さんの後ろに控えているんで安心してください!」
シラハ「わぁ……ストーカーみたーい……」
ナヴィ「お姉ちゃん……友達は選んだ方がいいですよ?」
シラハ「友達じゃないから!」
リューダス「そう……俺は舎弟ですからね!」
ナヴィ「お姉ちゃん慕われてるんですねー」
シラハ「こんなのに慕われたくなかったっ……!」
案内と言ってもマグナスさんが最初に言っていた通り、大した広さでもなかった。
マグナスさんの寝床以外だと、竜人の戦士達が鍛錬を行う訓練場、竜人達の家、集落の中央辺りの位置にある広場と集落の外周にある畑ぐらいだった。
集落内での取引となると、畑の収穫物か外で獲ってきた魔物の、毛皮や牙や爪といった物との物々交換になるらしい。
私が一番驚いたのは、なんと此処では魔物肉を当たり前のように食べていた事だ。
竜の血が入っているので、魔物肉を食べても具合が悪くなる事がないんだとか。
竜って凄い!
となると…だ。
竜人の集落此処って私が暮らすのに、とても都合が良いんじゃないだろうか……
だって竜人は頑丈だし……リューダスとしか戦った事ないから他は分からないけどね。
竜人は魔物肉食べられるし……食べられるけど生で食べる様な事はしないらしい。普通にお腹壊すんだって。
スキルはほとんど見せてないけど、なんか竜の娘という事で普通に受け入れられそうな感じがする……
そして竜人の姿が人に近いのも理由になるかもしれない。もしこれが、トカゲが二足歩行で動き回るみたいな感じだったら、アウェー感が強すぎて落ち着かなかったかもしれない。
でも、そんな心配もない此処は……もしかすると永住案件として議題に挙げられるかもしれない。
家族会議的な話として。
そうなると問題は……
アルクーレや王都の知り合いに会いたい、となった場合……は飛んで行けばいいから問題無いし。
それに向こうには当分行けないだろうしね。
他の場所に行ってみたい場合……も飛んで行けば良い。
他者との交流……は集落の竜人達と、これからしていけば良いし。
父さんと母さんは私が言い出したら、たぶん嫌とは言わないだろうしなぁ……
「シーちゃん、どうしたの?」
私がうんうんと唸っていると、母さんが話しかけてきた。
「母さんは、此処ってどう思う?」
「此処? 暖かいし涼しいし過ごしやすいと思うわ」
「そうだよね」
一応同意はしたけど、私には集落の外は寒すぎるんだよね。
まぁ、一日中ずっと外に居なければいいんだけど。
「父さんは? やっぱり家の方が良い?」
「それは、やはり我が家の方が良いが……こういう場所も悪くはないと思っている」
父さんが見ているのは、訓練場で模擬戦をしている竜人達だ。
「以前の我なら、あの様に戦っているのを見ても弱いな……としか思わなかっただろうが、今は……どうだろうな」
父さんは、というよりは竜種全体が、なんだろうけど強い弱いで考える傾向にあるんだろうね。
「シラハの事を考えると、此処に住む…というのも考えるべきなのかも知れんな……」
「ガイアス?」
父さんの言葉に母さんが少し驚いたように名前を呟いた。
「シラハを認めた者達を我が鍛えてやるのも悪くはないかもしれんな……」
「それは悪くないわね」
「シラハは、どうしたい? シラハも此処は存外、気に入っているのだろう?」
父さんの言葉に驚いた。
基本的に父さんは誰も私に近付けたがらなかったのに……
「此処で暮らしてもいいの?」
「此処で暮らしてみたい、という顔をしていたではないか」
「え…そんな顔してたかな……」
私が自分の顔をプニプニと触っていると、父さんの手が私の頭に乗せられる。
「シラハもなかなかに分かり易いのだな」
「そんなことないよぅ……!」
私って、そんな分かり易い?
考えている事を当てられて少し恥ずかしい。
「あのガイアスが相手の気持ちを考えられるなんて……」
「我も成長しているのだ!」
母さんが意外そうにしていて、父さんは胸を張って誇らし気だ。
そうなると……
「引越しの準備をしないとね! あ、その前に……マグナスさん、私達此処に住んでも大丈夫ですか?」
「なっはっはっは! 聞く前に既に決まっていた気もするが問題はないぞ! 俺も大歓迎だ!」
「まさかマグナスの作った集落に留まる事になるとはな」
「それは俺も同じ気持ちだ!」
マグナスさんが笑いながら父さんの背中を叩いている。父さんは少し鬱陶しそうにしてるけど、他の竜と一緒にいるというのは父さんや母さんにとっても良い事だと私は思うんだ。
「それじゃあ、シーちゃん。まず何からしましょうか」
「うーん……こっちでの私達の家が必要だよね。そしたら元の家から置いてきちゃった荷物も回収して……あ、領域も解除しておかないと魔物の家になっちゃうよね」
「慌てなくても平気よ、シーちゃん」
母さんに言われて、ちょっと深呼吸。すーはー……浮かれ過ぎると何かしら忘れるからね、落ち着こう。
あー…でも、新生活とか楽しくなっちゃうよね!
「ふふ……」
隣で母さんが笑う。
私が母さんに視線を向けてみると、微笑ましそうな表情で私を見ていた。
「大人しいかと思えば急に出かけたい…と言ったり、落ち着いていると思えば子供の様にはしゃぎだして、本当にシーちゃんを見ていると楽しいわ」
「母さん……」
うわ……私、そんなにはしゃいでいたかな?
ちょっと顔が熱くなっちゃうから見ないでー!
『お姉ちゃんっ』
「はわっ?!」
私が恥ずかしがってモジモジしていると、急に頭の中に声が響いてきて思わず声が出てしまった。
「シーちゃん?」
母さんが不思議そうな顔をするけど、なんて説明したらいいかなぁ……
頭の中で別の誰かの声が聞こえる…とか、頭おかしい子みたいだし……うーん。
「あ、母さん……あとで説明するから、ちょっとだけ待っててね」
「わかったわ」
「ありがとう。……それでナヴィ、今なら少し話せるのかな?」
母さんに一言断ってからナヴィに話しかける。
『お姉ちゃん、お話してたのに急にごめんね』
「ううん、気にしなくて良いよ。ナヴィと話せる機会あまりないからね」
急に出てくるのも私の中からじゃ気配もないから、どうしようもないしね。
驚きはするけど、そこは仕方ない。
『実はお姉ちゃんには伝えておかなきゃいけない事があります』
「なに?」
ナヴィの声は真面目な感じだ。
何か大事な話かな?
『お姉ちゃん少し前に二回、死にましたよね?』
「二回? え…? というか私、死んでたの?」
はて? 思い当たるのはアレだ。
騎士団長に喉を斬られた時だ。
あの時は、ああ死んだなって思ったけど、その後普通に動けた。
後になって考えても、何かのスキルが効果を発揮したんだなって事くらいしか分からなかったから、考えるのをやめていた。
もう一回は……
「騎士団長の時と、もしかしてジャガールとかいう変異種……かな?」
『はい、それです』
「死んでたんだ……アレ」
確かに死んでも不思議ではなかったけど、だからこそ生きていたから気にしないようにしていた。
けどナヴィに死んだと言われてゾッとした。
『あの時、お姉ちゃんの生命活動が停止した瞬間にあるスキルが発動してました』
「なんのスキル?」
『【散花】です』
お爺ちゃん!!
効果が分からなくて嘆いていたけど、お爺ちゃん!
お爺ちゃんが持ってきてくれた魔石で私、命拾ってたよ!
ありがとう!
『教えてあげれば、お爺さん凄く喜びそうですね』
「うん。なんか想像できるよ……」
狂喜乱舞して手がつけられなくなりそうだけどね。
レイリーの胃に穴が開かなきゃいいけど……
『それと、もう一つ』
「まだあるの?」
『はい。お姉ちゃん、王都でお姫様を助けましたよね?』
「毒を治した時の事?」
『そちらではなくて、黒い靄が出てきた時の話です』
「ああ、アレね。うん覚えてるよ。でも、あの時はスキル使った覚えないんだよね」
あの時、私から出てきた黒い靄が姫様を包んでいったのは覚えてる。
その後は魔力が抜けていって……すぐに痛みで気を失ってしまった。
「あれは【贄魂喰ライ】のスキルだよね?」
『はい。ただ、あの時はスキルが暴走しているようでした』
「暴走?」
『あの時の【贄魂喰ライ】は正常な動作をしていなかったんです』
「そもそも正常時の効果が分からないんだけど……」
スキル効果が分からないから放置していたんだし……
『あのスキルの本来の効果は、対象の魔力を奪い自身の生命に組み込むことです』
「生命に……組み込む?」
『暴走時はその逆で、お姉ちゃんの魔力をお姫様に移す事で、尽きた生命を回復させたんだと思います』
「だとしても私はスキル効果なんて知らなかったし、なんで勝手に発動したの?」
『これは私の推測なんですが、あの時はお姉ちゃんがお姫様を助けたい、とか考えていたのを汲み取ってスキルが発動したんじゃないかと……』
ナヴィの言った通りかもしれないけど……もしもスキルが別の誰かの意思で動いていたとしたら……?
「スキルが暴走していたって言うのは、ナヴィの感覚的なものでわかるの?」
『そうですね。スキルの効果も初めて何かに作用した事で、魔力の流れから判明した事ですし、その辺はなんとなく理解したって感じですね』
「そっか……。ナヴィが居てくれて良かったよ。私だけだったら、効果が分からないままだったろうし……」
『お姉ちゃんの力になれて良かったです。……って、そうじゃなくてですね! 今後はあのスキルを暴走させないように気を付けてください! 魔力枯渇なんて何度もなるべき状態じゃないんですからね!』
「はい……」
年下の女の子に怒られてしまった。
でも暴走させるな、と言われてもどうしたらいいのやら……
とはいえ、もしまた【贄魂喰ライ】が勝手に発動したりして、父さんや母さん、知り合いの人達の魔力を奪うような事が起きたら……
それは凄く怖い。
そうならないようにするには、【贄魂喰ライ】の効果も判明したので魔物を相手にもう一度検証しなければいけない。
やる事が見えてくれば、どうにかなるような気がしてくる。
スキル練習に家作りに引越しに新生活に……
これから忙しくなるぞー!
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後書き
シラハ「本当にリューダスさんが空気だった」
リューダス「空気に徹していても常に姐さんの後ろに控えているんで安心してください!」
シラハ「わぁ……ストーカーみたーい……」
ナヴィ「お姉ちゃん……友達は選んだ方がいいですよ?」
シラハ「友達じゃないから!」
リューダス「そう……俺は舎弟ですからね!」
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シラハ「こんなのに慕われたくなかったっ……!」
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