120 / 144
神様が色々教えてくれるよ!
しおりを挟む
神様は結構大変だって事は理解した。多分……
そして今聞いた話を纏めると……前世の神様は癇癪持ち。
祝福は神様も困っている肉体依存による能力だという事。
私の力はチートに近いモノではあるけれど、神様がプレゼントしてくれたモノではない。
うん。情報が少ない!
まぁ半分くらい神様の愚痴だったしね。仕方ない……
私の力について聞いたつもりだったのに話が逸れまくっちゃったし。
「むっ……そういえば、お主の力についてじゃったな。妾とした事が……」
どうやら神様も少しは落ち着いたらしい。
他に愚痴を言える相手がいないのかもしれない。それは辛そうだ……
「実はお主の力は、お主の母親に寄生していた魔物の影響が強いのじゃ」
「パラシードでしたっけ? カトレアさんも、その可能性があるとは言ってましたけど……」
それについては、どうする事も出来なかっただろうから何とも思ってはいない。
それに私は産まれた時に、既に息をしていなかった赤ん坊の中に魂が入り込んだと思っている。
私が異世界に来た時に見た通りなら、多分そうなるはずだ。
「赤子は母体の中にいる時に魔力の動かし方を肉体に刻み込むのじゃ。じゃが、お主の肉体は母体自体がそもそも特殊じゃった」
「だから特殊な肉体?」
「そうじゃ……パラシードは肉体の内部に入り込まなければ相手に魔力を通す事ができんし、それはお主も同じはずなんじゃが……」
相手の肉体に入り込むって、私は身体の構造的に無理なんじゃないのかな?
「魔力の塊でしかなく意思も持たぬ魔石なら、己が魔力を通して取り込めるとは妾も想像しておらんかったのじゃ……」
「えーっと……つまり私に合ったやり方を、私が勝手にやってるって事ですか?」
「うむ。それはおそらく本能に近い反応なのじゃろうな」
「それって自分で制御できないんですか?」
勝手に魔石を取り込んじゃうのは、あまりしたくないんだよね。
場合によっては誤魔化せないし。
「カトレアと言ったか? 彼奴は己の力を使いこなしているようじゃし、不可能ではないはずじゃ。お主の努力次第じゃがな」
「難しそうですね……」
ホント手品みたいに手から魔石が消えるからね。
もう少し取っ掛かりみたいなのが欲しいなぁ……
「ああ、それと……」
神様が何かを思い出したかのような口を開く。
「お主は人を憎んではおらぬのか?」
「人を……?」
なんで急にそんな事を聞くんだろう……
確かに嫌な人とかはいるけど。
憎い相手……私に害を与えてくる相手となると、大抵はその場で仕留めてるし。
いつだかアルクーレの宿で、私を二階から突き落としてくれた襲撃犯には、いつか仕返ししてやりたいけどさ。
「多くの人間に囲まれてたりしておったじゃろ? あれに腹を立てて、いつか蹂躙してくれる……! みたいな発想になったりしてはおらぬのか?」
「いや…しませんよ、そんなこと」
「本当か?! お主の……ほら、あれじゃ。シリューとか言ったか? あれを嗾ければ都市の一つくらいなら落とせるじゃろうからな……。そんな事されたら妾は……」
「本当に大丈夫ですからっ! …………今のところ」
「そうかそうか! 良かったのじゃ。……ん? 今のところ?」
そうかシリューなら都市くらい滅ぼせちゃうのか……まぁ大きいしね。竜だし。
「ちょっ……お主、今…物凄く不安になる事を言っておらんかったか……?!」
「気のせいです、気のせい。ただ私が騒動を起こした国が、しつこく追いかけ回すような事があれば、どうにかなっちゃうかもーってだけの話です」
「そのような事態になったら本当にやりそうな、お主が怖いのじゃ!」
そんな事ができる手段があると、自分から口外しておきながら狼狽えている神様がちょっとオモシロ可愛い。
「今のところ、あそことは関わる予定もないですし大丈夫ですよ。きっと……」
「最後に付け足す一言が不安を煽るんじゃが……まぁ良い。そうじゃ、これは警告なのじゃが、お主が魔力を分けて助けた娘がおるじゃろ?」
「姫様の事ですか?」
「そんな感じの娘じゃ。その娘の事はどうでも良いのじゃが、今後はあの方法で人助けをしようなどとは考えるでないぞ?」
「あれは意図した事じゃないですし……」
ナヴィにも注意されたしね。
「あの時は、お主の魔力だけじゃったから良かったが、アレは本来他者から奪った魔力を生命に変換するモノじゃ。今、お主はいくらかの魔力を魔物から奪っておるじゃろ?」
「ですね……」
【贄魂喰ライ】を使って何度か魔物から魔力を頂戴してからは、ステータスに一緒に表記されていた【贄魂喰ライ(0)】の数字部分が【贄魂喰ライ(12)】に増えていたんだよね。
その数字で、どの程度の回復が見込めるかは分かんないんだけどさ。
ちらり……
名前:シラハ
領域:《紫刃龍騎》《森林鷹狗》 サハギン
フォレストマンティス レッドプラント
ハイオーク エアーハント シャドー
迷宮核 シペトテク ウッドゴーレム
ジャガール(異) アーマードゴブリン(0)
スキル一覧
通常:【牙撃】【爪撃】【竜咆哮】【丸呑み】
【鎌撫】【吸血】【風壁】【影針】【根吸】
【雄叫び】【不動】
強化:【竜気】【剛体】【熱源感知】【跳躍】
【水渡】【疾空】【瞬脚】【鎧皮】
身体変化:【竜鱗(剣)】【有翼(鳥)】【血液操作】
【擬態】【潜影】【有翼(竜)】
状態変化:【麻痺付与】【解毒液】
重複:【獣の嗅覚】【側線】【誘引】【誘体】
自動:【体力自動回復(中)】【毒食】【夜目】
【潜水】【散花(●)】【光合成】
迷宮:【迷宮領域拡大】【迷宮創造】【主の部屋】
特殊:【贄魂喰ライ(12)】【龍紫眼】
さすがに、このステータスは神様も見えてないよね?
「その魔物から奪った魔力を、もしも人間に流したらどうなると思う?」
「どうなる……。あ、魔素…中毒的な感じですか?」
いつだったか魔物肉には魔素が含まれているから人には毒だと教わった。
もしあれが肉に限定した話ではなくて、魔物の魔力自体が毒だったとしたら……
「そう……魔物の魔力は人間にとっては毒なのじゃ。竜人や魔族という例外はおるが、獣人もエルフもドワーフも魔素を大量に取り込めば死に至るのじゃ」
「なるほど……」
助けようとしたのに魔素を大量に流し込んでトドメを刺してしまった、なんて事になったら最悪だ。
そうなる前に、教えてもらえて良かった……
「死ぬだけなら、まだマシなんじゃが……魔素の過度な摂取は、その肉体を変質させてしまうのじゃ」
「変質…というと?」
「魔物化すると言う事じゃな」
「魔物化……」
魔素を取り込み過ぎると魔物になっちゃうんだ……。
もしも、その事を知らずに誰かを助けようとして、その人が魔物化したら……私そのまま殺される気がする。
あれ……? 魔素=毒って私は考えていたけれど、私に使って回復するのは大丈夫なのかな?
「私って、もしかして既に魔物だったりします?」
知らず知らずのうちに、人間辞めてただなんて笑えない。
「安心せい。お主が取り込んだ魔素は、ちゃんとスキルで無毒化できておる。人のままでいたいのであれば、そのスキルは大事にするのじゃな」
「それを聞いて安心しました。【毒食】のおかげで食べ物には困らなかったですし、今更このスキル無しの生活は考えられませんよ」
「もっとも、毒を喰らって平気な者を人と呼べるかは甚だ疑問じゃがのう……」
「そこは気にしたら負けだと思ってます」
そもそもスキルと呼んではいるけど、他の人はそんなの持ってる訳ないし、私自身はチートだと思ってる。
ただ、それを使わない……という選択肢がないだけだ。
もしも私が一般家庭に生まれて、見た目でどうこう言われないで普通に過ごせていたら、スキルを試しはしたかもだけど普段から頼りきりになる事はなかったと思うし、冒険者にもならなかったんじゃないかな。
私には選べる職種が、それしかなかったってだけの話だし。
能力的には人間辞めてる気はするけれど、気持ちは人間のつもりだ。
いや、祝福の延長……みたいな考えをすれば、全然ふつーの人間だと言い張れる気がしないでもない。
「それと、これは嬉しい誤算というヤツなんじゃが……。お主が魔物倒したり、戦いを経験する事で多くの力を取り込めるようになるじゃろ?」
「あー……領域の事ですか? 確かに、そうですね。最近はなかなか魔石を取り込める枠が増えないですけど」
「ポンポン取り込めるようになるのは恐ろしいから、それで良いんじゃが……その枠が増える、と言うのか? そうなった時、お主の内側から魂がいくつか抜け出ておるのじゃ」
「え……」
魂が抜け出る?
それじゃあ、その子達はどうなって……
「そんな心配そうな顔をするでない。その抜け出た魂達は、お主の中で傷を癒やせたから外に出てきておるのじゃ。その後はちゃんと妾が流転させる為の処理を済ませておる」
「良かったぁ……」
神様の言葉を聞いて心底ホッとした。
私の中にいても助ける方法が分からないから、どうする事もできなかったけど、私はあの子達の助けになれていたんだ。
「それにしても戦う事で枠が増えるのって、なんでですかね? 経験値稼いでレベルアップって訳でもないだろうし……」
「いや、その認識であっておるぞ?」
「えっ……! この世界って、レベルとかあるんですか?!」
「お主の言うレベルといったモノではないが……。熟練や習熟と言えば良いんじゃろうかの? 戦いを経て強くなった、というだけの話じゃ。そして強くなる事で魔力の質が向上し、お主の内側に眠る魂達の回復が早まるのじゃ」
摩耗した魂って、魔力で回復するんだ……
「お主の場合は、そこに魔石によって得た魔力も加わるからの。普通の人間よりも魔力が多く、回復も捗るということじゃ」
「その魔力は魂には無害なんです?」
「お主のスキルが効いておるから問題はないのじゃ。じゃが【贄魂喰ライ】の方は別口で魔力をストックしておるから、無害化ができておらんだけじゃ」
ナヴィはザックリでしかスキルを把握できてないみたいだったし、こうやって私の力を理解している?神様がいるっていうのは安心感があるね。
「あ、それで私の中から魂が抜け出すのが、嬉しい誤算ってどういう意味なんです?」
「ああ、そうじゃったな。妾の世界で魂が不足した場合に魂を一から造るんじゃが、それには魔力を使う事になるんじゃ」
「つまり私が持ち込んだ魂が、抜け出したおかげで魔力の節約が出来てるって感じですか?」
「そうじゃ。それについては感謝したいくらいじゃ」
「でも、それなら摩耗した魂を神様が治した方が楽なんじゃ……」
なのに前世の神様は魂を廃棄するという事を選んでいた。
「妾はそうしておるし、その方が確かに魔力は節約できるんじゃが……手間がかかるんじゃよ。…………そうじゃな~…粘土を捏ねて一から球体を作るのと、乾いてひび割れた球体の修復、どちらの方が手間が少ないか……と言えば伝わるじゃろ?」
なんとなく理解できたような、理解したくないような……
「お主が言わんとする事は理解できるのじゃ。ただ、テラがそれをしないのは、彼奴が単純に効率厨というだけの話なのじゃ。余計な手間を省いて、どれだけ手早く仕事を片付けられるか…の方が彼奴には重要じゃからな」
「神様なりの事情があるって事ですよね」
「まぁ、廃棄されそうになっていた者達を知っているお主としては、複雑なところではあるじゃろうがな。妾から言わせれば、己の世界に70億もの人間を詰め込んでいる…というテラの世界は狂気の沙汰じゃがの……」
戦争で沢山の魂がやってくる事を想像するだけで狼狽えている神様にとっては、前世の神様がやっている事は頭がおかしいレベルの事なんだろうなぁ……
そしてドS様はそれだけの仕事を抱えていたからこそ、事務的に手早く処理を済ませようとしていたのを遮った私に対して、嫌悪感のようなものを滲ませていたんだ。
理知的に考えれば私の行動も良くなかったとは思う……
けれど事情を知った今、もしもあの時と同じ状況になったとしても、あの子達を守る為に私は迷わずドS様に喧嘩売るに違いない。
酷い目には遭ったけれど、それであの子達が救われたのなら苦労した甲斐があったってもんだ。
//////////////////////////////////////////////////////
後書き
シラハ「今回も長々と説明する話になっちゃったね」
狐鈴「シラハの力について説明できる人となると、神様くらいしか用意できなかったからねー」
シラハ「神様便利だね」
狐鈴「困った時の神様頼み! 楽チンだね」
神様「妾をそんな都合の良い女扱いするでないわ!」
狐鈴「神様可愛いよー。頼れる神様ステキー」
神様「そ、そうかの……(照)」
シラハ「神様ちょろい……」
※本日7/6に、小説家になろうの方には掲載されていた後書きを、アルファポリスの方にも全話追記しました。
書式が違ったので、写すのをどうしようかと思っていましたが、どうにかこうにかやってみました。
後書きは本編とは全く関係のない、しょうもない蛇足なので読まなくても問題ありません。
そして今聞いた話を纏めると……前世の神様は癇癪持ち。
祝福は神様も困っている肉体依存による能力だという事。
私の力はチートに近いモノではあるけれど、神様がプレゼントしてくれたモノではない。
うん。情報が少ない!
まぁ半分くらい神様の愚痴だったしね。仕方ない……
私の力について聞いたつもりだったのに話が逸れまくっちゃったし。
「むっ……そういえば、お主の力についてじゃったな。妾とした事が……」
どうやら神様も少しは落ち着いたらしい。
他に愚痴を言える相手がいないのかもしれない。それは辛そうだ……
「実はお主の力は、お主の母親に寄生していた魔物の影響が強いのじゃ」
「パラシードでしたっけ? カトレアさんも、その可能性があるとは言ってましたけど……」
それについては、どうする事も出来なかっただろうから何とも思ってはいない。
それに私は産まれた時に、既に息をしていなかった赤ん坊の中に魂が入り込んだと思っている。
私が異世界に来た時に見た通りなら、多分そうなるはずだ。
「赤子は母体の中にいる時に魔力の動かし方を肉体に刻み込むのじゃ。じゃが、お主の肉体は母体自体がそもそも特殊じゃった」
「だから特殊な肉体?」
「そうじゃ……パラシードは肉体の内部に入り込まなければ相手に魔力を通す事ができんし、それはお主も同じはずなんじゃが……」
相手の肉体に入り込むって、私は身体の構造的に無理なんじゃないのかな?
「魔力の塊でしかなく意思も持たぬ魔石なら、己が魔力を通して取り込めるとは妾も想像しておらんかったのじゃ……」
「えーっと……つまり私に合ったやり方を、私が勝手にやってるって事ですか?」
「うむ。それはおそらく本能に近い反応なのじゃろうな」
「それって自分で制御できないんですか?」
勝手に魔石を取り込んじゃうのは、あまりしたくないんだよね。
場合によっては誤魔化せないし。
「カトレアと言ったか? 彼奴は己の力を使いこなしているようじゃし、不可能ではないはずじゃ。お主の努力次第じゃがな」
「難しそうですね……」
ホント手品みたいに手から魔石が消えるからね。
もう少し取っ掛かりみたいなのが欲しいなぁ……
「ああ、それと……」
神様が何かを思い出したかのような口を開く。
「お主は人を憎んではおらぬのか?」
「人を……?」
なんで急にそんな事を聞くんだろう……
確かに嫌な人とかはいるけど。
憎い相手……私に害を与えてくる相手となると、大抵はその場で仕留めてるし。
いつだかアルクーレの宿で、私を二階から突き落としてくれた襲撃犯には、いつか仕返ししてやりたいけどさ。
「多くの人間に囲まれてたりしておったじゃろ? あれに腹を立てて、いつか蹂躙してくれる……! みたいな発想になったりしてはおらぬのか?」
「いや…しませんよ、そんなこと」
「本当か?! お主の……ほら、あれじゃ。シリューとか言ったか? あれを嗾ければ都市の一つくらいなら落とせるじゃろうからな……。そんな事されたら妾は……」
「本当に大丈夫ですからっ! …………今のところ」
「そうかそうか! 良かったのじゃ。……ん? 今のところ?」
そうかシリューなら都市くらい滅ぼせちゃうのか……まぁ大きいしね。竜だし。
「ちょっ……お主、今…物凄く不安になる事を言っておらんかったか……?!」
「気のせいです、気のせい。ただ私が騒動を起こした国が、しつこく追いかけ回すような事があれば、どうにかなっちゃうかもーってだけの話です」
「そのような事態になったら本当にやりそうな、お主が怖いのじゃ!」
そんな事ができる手段があると、自分から口外しておきながら狼狽えている神様がちょっとオモシロ可愛い。
「今のところ、あそことは関わる予定もないですし大丈夫ですよ。きっと……」
「最後に付け足す一言が不安を煽るんじゃが……まぁ良い。そうじゃ、これは警告なのじゃが、お主が魔力を分けて助けた娘がおるじゃろ?」
「姫様の事ですか?」
「そんな感じの娘じゃ。その娘の事はどうでも良いのじゃが、今後はあの方法で人助けをしようなどとは考えるでないぞ?」
「あれは意図した事じゃないですし……」
ナヴィにも注意されたしね。
「あの時は、お主の魔力だけじゃったから良かったが、アレは本来他者から奪った魔力を生命に変換するモノじゃ。今、お主はいくらかの魔力を魔物から奪っておるじゃろ?」
「ですね……」
【贄魂喰ライ】を使って何度か魔物から魔力を頂戴してからは、ステータスに一緒に表記されていた【贄魂喰ライ(0)】の数字部分が【贄魂喰ライ(12)】に増えていたんだよね。
その数字で、どの程度の回復が見込めるかは分かんないんだけどさ。
ちらり……
名前:シラハ
領域:《紫刃龍騎》《森林鷹狗》 サハギン
フォレストマンティス レッドプラント
ハイオーク エアーハント シャドー
迷宮核 シペトテク ウッドゴーレム
ジャガール(異) アーマードゴブリン(0)
スキル一覧
通常:【牙撃】【爪撃】【竜咆哮】【丸呑み】
【鎌撫】【吸血】【風壁】【影針】【根吸】
【雄叫び】【不動】
強化:【竜気】【剛体】【熱源感知】【跳躍】
【水渡】【疾空】【瞬脚】【鎧皮】
身体変化:【竜鱗(剣)】【有翼(鳥)】【血液操作】
【擬態】【潜影】【有翼(竜)】
状態変化:【麻痺付与】【解毒液】
重複:【獣の嗅覚】【側線】【誘引】【誘体】
自動:【体力自動回復(中)】【毒食】【夜目】
【潜水】【散花(●)】【光合成】
迷宮:【迷宮領域拡大】【迷宮創造】【主の部屋】
特殊:【贄魂喰ライ(12)】【龍紫眼】
さすがに、このステータスは神様も見えてないよね?
「その魔物から奪った魔力を、もしも人間に流したらどうなると思う?」
「どうなる……。あ、魔素…中毒的な感じですか?」
いつだったか魔物肉には魔素が含まれているから人には毒だと教わった。
もしあれが肉に限定した話ではなくて、魔物の魔力自体が毒だったとしたら……
「そう……魔物の魔力は人間にとっては毒なのじゃ。竜人や魔族という例外はおるが、獣人もエルフもドワーフも魔素を大量に取り込めば死に至るのじゃ」
「なるほど……」
助けようとしたのに魔素を大量に流し込んでトドメを刺してしまった、なんて事になったら最悪だ。
そうなる前に、教えてもらえて良かった……
「死ぬだけなら、まだマシなんじゃが……魔素の過度な摂取は、その肉体を変質させてしまうのじゃ」
「変質…というと?」
「魔物化すると言う事じゃな」
「魔物化……」
魔素を取り込み過ぎると魔物になっちゃうんだ……。
もしも、その事を知らずに誰かを助けようとして、その人が魔物化したら……私そのまま殺される気がする。
あれ……? 魔素=毒って私は考えていたけれど、私に使って回復するのは大丈夫なのかな?
「私って、もしかして既に魔物だったりします?」
知らず知らずのうちに、人間辞めてただなんて笑えない。
「安心せい。お主が取り込んだ魔素は、ちゃんとスキルで無毒化できておる。人のままでいたいのであれば、そのスキルは大事にするのじゃな」
「それを聞いて安心しました。【毒食】のおかげで食べ物には困らなかったですし、今更このスキル無しの生活は考えられませんよ」
「もっとも、毒を喰らって平気な者を人と呼べるかは甚だ疑問じゃがのう……」
「そこは気にしたら負けだと思ってます」
そもそもスキルと呼んではいるけど、他の人はそんなの持ってる訳ないし、私自身はチートだと思ってる。
ただ、それを使わない……という選択肢がないだけだ。
もしも私が一般家庭に生まれて、見た目でどうこう言われないで普通に過ごせていたら、スキルを試しはしたかもだけど普段から頼りきりになる事はなかったと思うし、冒険者にもならなかったんじゃないかな。
私には選べる職種が、それしかなかったってだけの話だし。
能力的には人間辞めてる気はするけれど、気持ちは人間のつもりだ。
いや、祝福の延長……みたいな考えをすれば、全然ふつーの人間だと言い張れる気がしないでもない。
「それと、これは嬉しい誤算というヤツなんじゃが……。お主が魔物倒したり、戦いを経験する事で多くの力を取り込めるようになるじゃろ?」
「あー……領域の事ですか? 確かに、そうですね。最近はなかなか魔石を取り込める枠が増えないですけど」
「ポンポン取り込めるようになるのは恐ろしいから、それで良いんじゃが……その枠が増える、と言うのか? そうなった時、お主の内側から魂がいくつか抜け出ておるのじゃ」
「え……」
魂が抜け出る?
それじゃあ、その子達はどうなって……
「そんな心配そうな顔をするでない。その抜け出た魂達は、お主の中で傷を癒やせたから外に出てきておるのじゃ。その後はちゃんと妾が流転させる為の処理を済ませておる」
「良かったぁ……」
神様の言葉を聞いて心底ホッとした。
私の中にいても助ける方法が分からないから、どうする事もできなかったけど、私はあの子達の助けになれていたんだ。
「それにしても戦う事で枠が増えるのって、なんでですかね? 経験値稼いでレベルアップって訳でもないだろうし……」
「いや、その認識であっておるぞ?」
「えっ……! この世界って、レベルとかあるんですか?!」
「お主の言うレベルといったモノではないが……。熟練や習熟と言えば良いんじゃろうかの? 戦いを経て強くなった、というだけの話じゃ。そして強くなる事で魔力の質が向上し、お主の内側に眠る魂達の回復が早まるのじゃ」
摩耗した魂って、魔力で回復するんだ……
「お主の場合は、そこに魔石によって得た魔力も加わるからの。普通の人間よりも魔力が多く、回復も捗るということじゃ」
「その魔力は魂には無害なんです?」
「お主のスキルが効いておるから問題はないのじゃ。じゃが【贄魂喰ライ】の方は別口で魔力をストックしておるから、無害化ができておらんだけじゃ」
ナヴィはザックリでしかスキルを把握できてないみたいだったし、こうやって私の力を理解している?神様がいるっていうのは安心感があるね。
「あ、それで私の中から魂が抜け出すのが、嬉しい誤算ってどういう意味なんです?」
「ああ、そうじゃったな。妾の世界で魂が不足した場合に魂を一から造るんじゃが、それには魔力を使う事になるんじゃ」
「つまり私が持ち込んだ魂が、抜け出したおかげで魔力の節約が出来てるって感じですか?」
「そうじゃ。それについては感謝したいくらいじゃ」
「でも、それなら摩耗した魂を神様が治した方が楽なんじゃ……」
なのに前世の神様は魂を廃棄するという事を選んでいた。
「妾はそうしておるし、その方が確かに魔力は節約できるんじゃが……手間がかかるんじゃよ。…………そうじゃな~…粘土を捏ねて一から球体を作るのと、乾いてひび割れた球体の修復、どちらの方が手間が少ないか……と言えば伝わるじゃろ?」
なんとなく理解できたような、理解したくないような……
「お主が言わんとする事は理解できるのじゃ。ただ、テラがそれをしないのは、彼奴が単純に効率厨というだけの話なのじゃ。余計な手間を省いて、どれだけ手早く仕事を片付けられるか…の方が彼奴には重要じゃからな」
「神様なりの事情があるって事ですよね」
「まぁ、廃棄されそうになっていた者達を知っているお主としては、複雑なところではあるじゃろうがな。妾から言わせれば、己の世界に70億もの人間を詰め込んでいる…というテラの世界は狂気の沙汰じゃがの……」
戦争で沢山の魂がやってくる事を想像するだけで狼狽えている神様にとっては、前世の神様がやっている事は頭がおかしいレベルの事なんだろうなぁ……
そしてドS様はそれだけの仕事を抱えていたからこそ、事務的に手早く処理を済ませようとしていたのを遮った私に対して、嫌悪感のようなものを滲ませていたんだ。
理知的に考えれば私の行動も良くなかったとは思う……
けれど事情を知った今、もしもあの時と同じ状況になったとしても、あの子達を守る為に私は迷わずドS様に喧嘩売るに違いない。
酷い目には遭ったけれど、それであの子達が救われたのなら苦労した甲斐があったってもんだ。
//////////////////////////////////////////////////////
後書き
シラハ「今回も長々と説明する話になっちゃったね」
狐鈴「シラハの力について説明できる人となると、神様くらいしか用意できなかったからねー」
シラハ「神様便利だね」
狐鈴「困った時の神様頼み! 楽チンだね」
神様「妾をそんな都合の良い女扱いするでないわ!」
狐鈴「神様可愛いよー。頼れる神様ステキー」
神様「そ、そうかの……(照)」
シラハ「神様ちょろい……」
※本日7/6に、小説家になろうの方には掲載されていた後書きを、アルファポリスの方にも全話追記しました。
書式が違ったので、写すのをどうしようかと思っていましたが、どうにかこうにかやってみました。
後書きは本編とは全く関係のない、しょうもない蛇足なので読まなくても問題ありません。
102
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
コンバット
サクラ近衛将監
ファンタジー
藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。
ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。
忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。
担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。
その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。
その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。
かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。
この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。
しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。
この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。
一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる