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女はすべからく売女(バイタ)である
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売春とは「対価を得る目的の性交」だという。
ならば世の女という女、人間の雌であるすべての存在で売春婦ではないものなどあるのだろうか。
職業的に生業(なりわい)としているものは、まあいい。
これはもうはっきりしている。
疑うまでも無く売女と断言してかまわないだろう。
当人たちも自覚の上でそうしているのだろうし。
人によればむしろ誇りを持ってやっている場合もあるだろうし。
もちろん、面と向かってそういわれたら腹も立つかもしれないが、言い方はさておき「対価を得る目的の性交」を仕事としていることは事実である。
だから職業売春婦はいい。
問題はそれ以外の女たちだ。
普通に恋人と恋愛をして、結婚をして生活を送っている多くの女たち、地球上で展開されている最も普遍的でありきたりな在り方をしているはずの者たちはいったいどうか。
果たして売春とはまったく関係ない存在なのだろうか。
まず愛情云々は置いて、社会的立場や収入のあるオトコを優先する女などそう珍しくも無い。
金銭なり物質なり、何がしかの資源を目的にパートナーを選別するというのは生物としての本能であろうし、それ自体は酷く合理的なものと言える。
特段悪いことともいえないだろう。
男女関係においてさほど珍しくも無い考えである。
ただ、これを純粋に原理的に考えるならば、「売春」となんら変わらないようには思える。
金銭や物質の豊富さを理由にパートナーを選別して関係を持つというのは「対価を得る目的の性交」と何が違うのか。
職業にしているかしていないかという違いがあるだけで、実態としては正しい売春の在り様をそのまま体現しているようにしか思えない。
つまり「非職業的売春」こそがその本質なのではあるまいか。
ならば彼女達を「売女」と言うことにはさほど問題はないのではないか。
いや、むしろより正しい表現ではなかろうか。
一応、この国の法令上は「相手が不特定多数でなければ云々」などとされてはいるらしいが。
そんな法的都合での解釈は置いて、単純な言語上の定義に従ってしまえば関係がない。
「売春婦」という表現を使わずに、「愛人」とか「情婦」といった言葉で区別することに何の意味があるのか。
別物だと思いたい人、そうした方が都合がいい人間もいるのかもしれないが、無益なこととしか思えない。
だから金銭的物質的に豊かな男を指向する女はすべからく売女である。
まぁ、実際には世の男たちは言葉にしないだけで概ねそんな気持を持っているのだろうから、ことさら突飛な発想というわけではないのだろうが。
なんとなく漠然と「そんなものだ」と思いながら皆、生きている。
彼女達にとっては当然の考えであり思想なのだと納得し了解したうえで笑いあっている。
特別に問題視したり、声高に言い詰めったりすることなく、ある程度はそんな現実を受け入れて女という生き物と共存しているのだ。
それでこの世の中、社会というのは安定して均衡してうまくいっているのだ。
だから本当に難しいのはさらにそれ以外の「愛情を第一に優先する女たち」なのだろう。
どれだけの割合でいて数があるのかその実態は統計など取り様も無く不明であるが、確実に絶対的に「金銭的物質的豊かさとは全く関係なくパートナーを受け入れる」女が一定数存在しているのは事実である。
明らかに窮乏し、余裕がないとしか思えない男を、そうとしりながら寄り添い一緒になって生きている女がいる。
それは例えば当人が安定して高収入を得られて自立している場合もあれば、そうでもないこともある。
キャリアウーマンとして第一線で働いて実績を上げている、自立した女が主夫として連れ合える男を求めることもある。
決して金銭的に余裕があるとはいえない女が、相手に豊かさを求めないこともある。
その形は様々、状況状態は多岐にわたるであろうが、唯一の共通項として「愛情なり好感なり精神的な価値を見出して男を選んでいる」としか思えない女が少なくない数、いや結構な頻度でみられるのだ。
これが最も「売女」というのとは縁遠い在り様のように一見思える。
世の「プラトニック」とか、「真の愛情」、「純愛」というのは恐らくこういった現象を指していうのであろうし。
一般的には彼女達を「売女」と表現することなどまずあるまい。
そんな言い方が世の人々に受け入れられることは不可能だろう。
だが今こうして改めて考えると決してそうともいえないのではないかとも想う。
突き詰めていくと、意外と別な答えが出てくるのではないかと感じてしまう。
確かに金銭や物質など、目に見えるものは対価として求めていないのかもしれない。
資源の多寡で相手を評価してはいないのかもしれない。
だけど確実に彼女達は「愛情」は求めているのではないか。
精神的肉体的な「やすらぎ」なり「安心」なり、幸福感なり気持ちよさを相手に求めてはいないか。
少なくとも彼女達が「金銭物質以外の何か」を求めているのは疑いなき事実ではなかろうか。
ならば結局は「対価を目的に性交」を行っているように思えてならない。
目に見えるわかりやすい資源の代わりに「愛情」を目的に関係をしているだけなのだろうから。
「売春」の定義に該当するか否かが目的とする対象によってわかれるのならばまた違ってくるのだろうけど、そうではないのだ。
今現在の理屈をそのまま純粋に適用すると、物質だろうと精神だろうと肉体であろうと、対価を求めてしまえばもう売春なのだ。
春を売るという行為に該当してしまうのだ。
これが常に不快感だけを与えてくる、心底嫌悪している男と一緒になっているというならば違うと想うが。
何の対価も意味も無く、全く己に対して前向きな影響を与える可能性が一切無い人間であるとそうとしりつつ、さながら魔物に捧げられる生贄のように粛々とその身を捧げているというなら話は変わってくるが。
そんなケースはまずあるまい。
あったとしてもごくごくわずかで奇異な特殊例であろう。
だから所詮、精神的肉体的な愛情や快感を求める女たちすら「売春」のくびきからは逃れられないのだ。
結局は「売女」でしかなかった。
朝というのも早すぎる薄闇の中、こうして「全ての女は売女である」ことが証明されてしまった瞬間、横にある白い背中が寝返りをうった。
こちらに向けて投げ出される細い腕、長い髪で半分ほど隠しながら少しかさついた唇だけをモゴモゴと動かしている綺麗に整った顔だち。
自分が愛する売女は今日も魅力的だった。
どんな対価であろうとそれを彼女に与えられて一緒にいられるならば、なんでもいいと納得できた。
了
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