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個性がなくても気にしない男の話
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世界でただひとつ。
みんな同じじゃつまらない。
いろいろ違った方がいい。
まるで呪いのようだと思った。
横着でつけっぱなしにしていたTVから流れてきたいくつかの流行歌。
たまたまなんだろうけど、あまりにも同じような常套句と言い回しが続いて不意に意識を奪われた。
別にこんなこと普段は全然気にしないのだけれども。
よくある「世間のありがち」な現象程度の認識で、否定も肯定もせずに受け流すのだけれども。
ただこの時この瞬間の自分の在り様、直面している事態とのあまりの落差に感じないではいられなかったのかもしれない。
ひどく無個性的で凡庸な、ごくごくありきたりで普通の交わりを行っている最中。
特徴的なものなど皆無のどこにでもいる男と女、一つの番、これまた何より自然な行為。
生殖とか、性行為とかそんな風に言い慣わされる身体の触り合い、感じ合い、繋がり合い。
全く特異的なものがない、個性とは対極の時間の中で見出すいくつもの有意な事象。
何か特別なことをやろうとしたり、意識的にユニークな性質を持とうとする必要なんて皆無だった。
ひどくマンネリ的な約束ごとを繰り返すだけで、微妙に生まれる玄妙な変化や差異が唯一無二の価値だった。
一言で言えば9割のマニュアルと1割の飛躍。
定常的な行為の中にほんの僅かに混入される微毒めいた誇張と裏切り。
ただそれだけで無限の可能性が齎される。
世界でただ一つの時間と存在が生まれ出る。
個性とか殊更声高に有難がったりする必要なんてどこにもなかった。
ただ一つのユニークさが至上の価値だと強調しなくちゃいけない理由もなかった。
そのままありのままに。
それだけでいい。
だからあまりにも対照的で真逆な思想や主張の満ち満ちた情報が短期間に大量に執拗ささえ思いかねないほど入力されたせいだろう。
普段は全く気にしないのに、個性と多様性を至上の価値と断ずる主張のあまりもの「無個性」さに心を奪われた。
不意に浮き上がった鮮烈な自覚無き固定観念の群れ。
感動的ですらあるその盲従性。
完成された究極の群体生物。
特徴や個性などとは対極の在り様。
微笑ましいほど皮肉で矛盾した状態。
正しく、古の魔術師たちが意識的に行使してきた呪縛に他ならないと確信した。
とても無個性的で普通の性行為の只中、何かを見下すような優越感を得て、クライマックスへと動きに熱を込めていった。
みんな同じじゃつまらない。
いろいろ違った方がいい。
まるで呪いのようだと思った。
横着でつけっぱなしにしていたTVから流れてきたいくつかの流行歌。
たまたまなんだろうけど、あまりにも同じような常套句と言い回しが続いて不意に意識を奪われた。
別にこんなこと普段は全然気にしないのだけれども。
よくある「世間のありがち」な現象程度の認識で、否定も肯定もせずに受け流すのだけれども。
ただこの時この瞬間の自分の在り様、直面している事態とのあまりの落差に感じないではいられなかったのかもしれない。
ひどく無個性的で凡庸な、ごくごくありきたりで普通の交わりを行っている最中。
特徴的なものなど皆無のどこにでもいる男と女、一つの番、これまた何より自然な行為。
生殖とか、性行為とかそんな風に言い慣わされる身体の触り合い、感じ合い、繋がり合い。
全く特異的なものがない、個性とは対極の時間の中で見出すいくつもの有意な事象。
何か特別なことをやろうとしたり、意識的にユニークな性質を持とうとする必要なんて皆無だった。
ひどくマンネリ的な約束ごとを繰り返すだけで、微妙に生まれる玄妙な変化や差異が唯一無二の価値だった。
一言で言えば9割のマニュアルと1割の飛躍。
定常的な行為の中にほんの僅かに混入される微毒めいた誇張と裏切り。
ただそれだけで無限の可能性が齎される。
世界でただ一つの時間と存在が生まれ出る。
個性とか殊更声高に有難がったりする必要なんてどこにもなかった。
ただ一つのユニークさが至上の価値だと強調しなくちゃいけない理由もなかった。
そのままありのままに。
それだけでいい。
だからあまりにも対照的で真逆な思想や主張の満ち満ちた情報が短期間に大量に執拗ささえ思いかねないほど入力されたせいだろう。
普段は全く気にしないのに、個性と多様性を至上の価値と断ずる主張のあまりもの「無個性」さに心を奪われた。
不意に浮き上がった鮮烈な自覚無き固定観念の群れ。
感動的ですらあるその盲従性。
完成された究極の群体生物。
特徴や個性などとは対極の在り様。
微笑ましいほど皮肉で矛盾した状態。
正しく、古の魔術師たちが意識的に行使してきた呪縛に他ならないと確信した。
とても無個性的で普通の性行為の只中、何かを見下すような優越感を得て、クライマックスへと動きに熱を込めていった。
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