エロスな徒然

かめのこたろう

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2020年 2月17日

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 「宇崎ちゃんは遊びたい!」献血ポスターが非難されたときにはあれだけ“ざわざわ”させられて一言モノ申したい想いが抑えられなかったのに、「パラレルパラダイス」については一向にそんな風になれない、むしろもっとやられてしまえと思ってしまうのはなぜなんでしょうか。

 いろいろうるさい現代の表現環境の中、あからさまな性描写に限らず脇役ではない主要キャラの首ちょんぱやレイプなどの凌辱描写をいけしゃあしゃあと一般紙で発表し限界に挑戦し続ける鬼才、岡本倫センセイの上記作品が駅のホームの長広告になり、先週くらいからツイッター界隈で「卑猥」「環境型セクハラ」などの声が上がったらしいんですけど。
 そもそも作品自体が「女の子だけしかいなくなった世界でひたすら主人公がバコバコする異世界風SF」という、そっち方向にロケットで突き抜けた内容なうえ、今回の広告は完全に確信犯です。
 「彼女たちを救うにはヤルしかなかった」の煽り文句とともに、美少女キャラのアヘ顔と「びゅるびゅる」という擬音のコンボを公共の場所にデカデカとこれみよがしに公開してるんだから、正直これは擁護のしようがありません。
 というか、そんな気分にどうやってもなれません。
 もはや完全に開き直って居直ってるとしか思えません。

 だから早速一部のフェミだかミソだかよくわからない人たちが騒ぎ出して炎上しかかってると聞いても、さほど動揺したり衝撃を受けたりといったこともなく、「でしょうね」と冷静に事態を受け止めざるを得ないんです。
 この事案で感情的になるのは無理不可能なんです。

 そもそも、掲載誌がヤングマガジンであるという事実を思えばこの手のことにいちいち動揺したり反応してたら身が持ちません。
 肌も露わなアイドルのビキニ水着のグラビアを毎週欠かすことなく、ヤンキーヤクザギャンブルミリタリー、セックスレイプセクハラお色気をキーワードにエログロ青春バイオレンス(ときどき萌え)を主軸に据えて全くぶれることがないのが昔っからこの雑誌の伝統なんです。
 今に始まったことではなく、ずっとそうなんだから。
 現代の社会的規範に真っ向から立ち向かい、倫理道徳をはじめとする既存の価値観をハナッから笑い飛ばすことにこそ存在意義を見出す、モノホンの反体制(ロック)な媒体なんだから。
 「湾岸ミッドナイト」とか「頭文字D」など、さんざん問題になった環状族やドリフト族を扱った大ヒット作品を抱え、その流行をさらに煽って盛り上げることに加担していたのは事実でしょうし。
 あるいは「IKENAI!いんびテーション」とか「さくらの唄」など、後追いで成年指定をされることになるような作品が出てくるなど、その雑誌の方向性を端的に象徴するような出来事には事欠きません。

 特に「さくらの唄」が与えた衝撃よ。
 最初こそありふれた学生青春恋愛作品の雰囲気で始まったくせに、気が付けば美人教師と不倫したり実の姉と関係したり、ヤクザにガッツんがっつん犯される描写があったり、プラトニックを象徴する初恋の女の子にがっつり他の女とヤッてるところを目撃されるという最悪の失恋をしたり。
 なんら心の準備ができていないところにインモラルでデカダンなアバンギャルドが怒涛の連続、津波の如く襲ってくる迫力に圧倒されつくして徹底的に打ちのめされた鮮烈な記憶は忘れようがありません。
 ヤンキーお姉さんのパンスト描写とか、ヤクザにマワされた後平静を装って気丈に歩き出すも足を伝い落ちるザーメンを衆目の中で晒してしまうところとか相当根深く影響を受けてます。
 そしてこの作品を思い浮かべるたびに、「創作物の価値は受け手への影響をどれだけ持ちうるか、心に深く何かを刻むことができるのか」なんだろうなぁってつくづく感じてしまうのです。
 快不快や善悪を超えて、なんであれ作品を通じて他者の魂に何かを刻もうとするのが、作家というものの業であり本能なんだろうと確信してしまうのです。
 それが正の方向になれば感動に、負の方向になればトラウマという形になって表出し、社会的な評価としては「健全優良作品」と「不適切・反社会的」などと別れちゃうんでしょうけど。
 およそ受け手に忘れえぬほどの影響を与えるという意味ではどちらも本質的には等価なんだと思います。

 だからまあ「パラレルパラダイス」も、由緒正しき先行作品に比べたら模範的優等生くらいの印象でしかありません。
 今回の広告の確信犯的な開き直りっぷりもそうであって当然、妥当性すら感じるほどの予定調和的な想いしか抱きようがないのです。


 むしろそうして騒いでもらうことこそが狙いなのだろうから、我々大衆はせいぜいヤンマガの掌の上で踊ってればいいんだと思います。
 
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