Giftbiene【ギフトビーネ】

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Bc4

178話

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 小児性愛者の割合は約九九・九パーセントが男性。一万人に三人ほどしか女性はいないという報告まで出ている。その対象は少女よりも少年に対して行われることがほとんどだ、という。三〇年にわたる実験の結果は火を見るより明らかだった。

 ワイマール時代に、ベルリンに多く存在したレストラン兼売春宿。そこにはメニューに子供が載っていたというおぞましい事実。その他一九世紀から続く、ヨーロッパにおける小児性愛者による、未成年への性行為を合法化する動き。

 そういう背景もあり、女性は自分がサーシャを守らなければ、という観念に囚われていた。自分がこの子を教育し、真っ当な道へ。将来はスポーツ選手でもアーティストでも公務員でもなんでもいい。自由に生きていけるように。笑顔で暮らせるように。

「ねぇ、どうしたら喜んでもらえるの? 僕はなにをしたらいい?」

 純真無垢にサーシャは聞き返す。恩返ししなきゃ。でもなにをしたらいいんだろう。与えられてばかり。それじゃ不平等だ。女性は「そんなのいいから」と突っ返していたが、本当になにも望んでいなかった。

 街で買い物をし。食事をし。たまに愛人に間違われたり。そういう、なんでもないような笑って過ごせる日々を。もう昔のドイツじゃない。今の時代なら、きっとできる。女性はそう信じていた。

「僕はここに、いていいんだ」

 しかし、売春法は年月を追うごとに規制が増していく。雇う側と顧客の立場が強くなっていき、売春婦は徐々に過酷に。いい意味でも悪い意味でもその現在地が目まぐるしく変わる。

 例を挙げるのであれば、かつて売春や売春婦というものを市民は存在を認知していても、自分の街がそういうものだとは口には出さなかった。目を背け、存在していないかのように振る舞うことが幼い頃から美徳とされてきた。

 だが、合法になったということは他の職業、パン屋やカフェの店員、バーテンダーなどと同じということ。社会的な地位を高める、と言えば聞こえはいいし、文化のひとつと認められたことになる。やっていることは変えることなく、貫いたままで。

 しかしそれは同時に、社会保障制度に組み込まれた、ということと同義。雇う側も事業として届け出ることで、社会保障の半分を負担せざるを得なくなった。そうなると当然売春婦も支払うものが増え、稼ぎは減るしかなくなる。

「僕もなにか、働きたい」

 子供であってもなにか探せば。ベビーシッターとか、ホテルの清掃とか。知り合いがいれば少し融通がきくかもしれない。安いアパートで簡単な料理、洗濯その他雑用をサーシャは引き受けて手伝ってはいたが、お金を生み出せてはいない。もちろん女性には断られた。
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