異世界に転生したのにスキルも貰えずに吸血鬼に拉致されてロボットを修理しろってどういうことなのか

ピモラス

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ローレン領

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屋敷の裏手に繋がるドアから一度外に出ると、すぐに山の斜面の岩肌だった。
その岩肌の一部に不自然な人工的なドアが取り付けられており、その前でベイツさんが待っていた。
「ドアを開けます」
ベイツさんはそれだけを言い、アレックスと俺は分厚い木で出来た扉の内側に入った。
所々、以前に見た「遺跡」を思わせる作りだったが、電源は死んでいるようでランプが通路に点在して置かれていた。
内部も近未来的なのっぺりした通路と自然にできた鍾乳洞のような部分とが入り混じっていた。
自然に飲み込まれるビルをイメージさせるような感じで木の根も一部からでていた。
最奥には古い木の扉のような物があった。
扉の前でアレックスは一度立ち止まり
「・・・この先にいる」
それだけを言ってドアを開けた。
俺はビビってはいたが、アレックスに続いてドアの中に入った。
部屋の中は明るく、20畳くらいの広さがあるように感じた。天井も高い。
真ん中に天蓋付きの大きなベットが置かれており、端には鏡台があり、人が座っていた。
白いワンピースのような服を来てベールを被っている後ろ姿は人と何も変わらなかった。
「・・・母上。帰還した」
アレックスはそう短く言って胸に手を当てて一礼した。
そして母はこちらを振り向いた。
アレックスの母は透き通っていた。
ほんのりと青いが、人の形をした水に見えた。
胸の辺りに赤い蜘蛛の巣のような何かが体の内側で僅かに動いているのが見えた。
俺はほんの少しだけ驚いたが、アレックスの母と言われてなんとなく納得がいった。
「こんばんは、ケンです。アレックスにはいつもお世話になってます」
そう言って軽く頭を下げた。
アレックスの母はそれに反応するように立ち上がり、一歩近づいて頭を下げた。
右手を差し出したように見えたので、俺は「握手かな?」と思い右手を差し出して一歩近づいた。
アレックスが俺と母親の間に入り、俺を守るように背後に隠した。
「あ、アレックス?」
「・・・母上、座るのだ」
その声に従い、母は鏡台の前に座った。
「・・・母に触れるな。ケン、お前を・・・母の一部にしたくない」
俺は理解できず、アレックスとその母を見比べた。
最初は「ま、マザコンで母を誰にも触れさせたくないとかか?」なんて考えたが
「母の一部・・・吸収するのか・・・」
そう漠然と理解して一歩引きそうになったが、堪えた。
アレックスは振り向いて俺に向き合い
「・・・これが俺の母だ」
そう言って一度振り向いて
「・・・俺も母も死ねん・・・」
苦しそうにしわがれた声でそう言った。


その後、俺は部屋に戻りベッドに横になっていたが、ノックされる音がした。起き上がってドアを開けると、ベイツさんが立っていた。彼は疲れた顔をしており、にこやかな初老のイメージとは裏腹に無表情だった。
「就寝前に申し訳ありません。少しだけお話しをしてもよろしいですか?」
とベイツさんは言った。俺は
「まだ寝ないので大丈夫ですよ。中に入ってください」
と促した。彼が部屋に入ると、椅子にかけて静かに話し始めた。
「この地方に伝わるおとぎ話です
遥か昔、この地方には人を飲み込む『悪魔』がいたそうです。親子で人を食らう存在で、討伐隊も組まれましたが、誰一人戻ってこなかったといいます。ある日、お金持ちの貴族がその領地を『悪魔』ごと買い取ると言い出しました。それ以来、悪魔の話しは聞かなくなったそうです。
実際には、アレクシウス様親子の物語なのです。過去、アレクシウス様の母様は捕らえられ、見世物にされていましたが、ローレン卿の先祖が大金をはたいて保護しました。アレクシウス様はその恩義を忘れず、今もローレン家と深い関係を持っています」
ベイツさんの言葉には、アレックスとその母に対する思いやりが込められていた。
彼は俺の手を握り
「あなたのような優しい方が、アレクシウス様の友人になっていただけた事に感謝を申し上げます。ですから、どうか、アレクシウス様を支えてあげてください」
と涙目で頭を下げた。

その後、俺は一人ベットで横になった。
「でも・・・俺がエータをなおしたら・・・」
俺は寝ころんで体の向きを変えて
「あの感じだとローレン卿もベイツさんもアレックスが死にたがっているのはわかっているのか・・・」
俺はどうすればいいのか、自分がどうしたいのかがわからなくなって眠れなかった。
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