異世界に転生したのにスキルも貰えずに吸血鬼に拉致されてロボットを修理しろってどういうことなのか

ピモラス

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ローレン領

馬車とゴールア

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翌日から俺は乗馬の練習を続けた。
ゴーは馬車を準備して馬を選んでつなげて放してを繰り返していた。
「ゴー。さっきから何してるんだ?」
俺は馬から降りてゴーに声をかけた。
「いえ、馬同士の相性もあるので、どの組み合わせがいいのかと」
俺はシロンの鞍を自分で外し、ブラシをかけていたが
「シロンに選んでもらったら?」
何気なくそういったらゴーは、はっと顔を上げて
「そ、そうですね!さすが」
そう言ってシロンの手綱を引いて厩に消えていった。
俺は何が「さすが」なのかわからなかったが、馬のブラシで自分の髪を撫でた。
ゴーはシロン含む3頭の馬を馬車につないた。
何か順番を変えたりしていたが
「うむ。これでいい!」
と、一人で馬車を見て頷いていた。
真ん中の馬は小柄な馬で右にゴーの馬、左にシロンだった。
「真ん中の子小さくない?」
俺はそんな素朴な疑問をゴーに投げかけたが、後ろから
「アミなら誰とでも仲良くできるから大丈夫ですよ」
グエンガさんが笑顔で答えてくれた。
俺は真ん中の馬に向かって手を伸ばし
「よろしくなアミ」
そう声をかけたら手の匂いをかいでくれた。

昼から少し馬車を実際に引かせたいとゴーがいうので、俺とグエンガさんは乗ってみることになった。
ゴーは御者席に座り長いムチを持っていた。少しイヤだった。
馬車の荷台は今までに乗ったものよりもキレイで幌に穴も開いておらず、座席の座り心地もよかった。職業柄なのか、タイヤやサスペンションなども段違いにいいように感じた。
実際に馬達が馬車を引いてもベアリングなどの差なのか静かだった。
「やっぱり貴族の馬車すげー」
そんな関心をしていたのだが、加速したときから何か振動が激しくなった。
「こ、こら!何してる!」
前からゴーの怒鳴り声が聞こえたので覗き込んだらゴーの馬が首を激しく振っていた。
「やっぱり乗馬からいきなり馬車は難しいですね」
グエンガさんがそう言っていたので、これもすこし練習が必要なんだと思い、俺はゴーに
「ムチを貸して」
と一応断り、こっそりと取り上げ、ムチを馬車の中に放り込んだ。
「け、ケン?何を?」
驚いたゴーは俺に振り向いてそう言ったが、ゴーの馬はおとなしくなった。
「うまくいかないからって叩いたら余計にうまくいかないよ」
「そうですね。ケン様は優しいから馬の気持ちがよくわかるのですね」
ゴーは目を白黒させていたが、手綱だけで馬たちは気持ちよさそうに走り出した。

馬車を降りて馬を放ち休ませる事にした。
ゴーは俺の前に立って頭を下げて大声で
「不甲斐ない御者で申し訳ない!」
「ちょ、ま、よしてくれよそういうのはもう」
「いや、私もまだまだ未熟者。鍛錬をしなければなりません!」
燃える目でどこかを睨んでいた。
俺はいつもどおりに引いていたが
「あ、そういえばゴーの馬は何て名前?」
ゴーは目を逸らしてから
「わ、笑わないでくださいね。『テツ』です」
「そっか、テツか。ああ、『鉄腕のゴー』のテツ?」
「そ、そうです」
少し頬を赤くしたゴーを見て、俺とグエンガさんは顔を見合わせて笑ってしまった。
「わ、笑わないって約束したじゃないですか!」
「はは、いや、名前じゃなくてゴーが面白くて」
その後もしばらく笑っていたが、ゴーは真剣な顔で俺に向かって
「ケンは、その・・・馬の気持ちがわかるのですか?」
そんな事を聞いたので、また少し笑ってしまった。
「はは、いや、そんなのわかるワケないじゃないか」
俺は何かツボに入ってしまい、笑いが抑えられなくなってしまってゴーには申し訳ないと思いながらも笑ってしまっていた。
「いや、私は真剣に聞いているのです!」
また少し赤くなったゴーの顔を見て「ふふ」と笑っていたらグエンガさんもつられて「ふふ」となってしまい、ゴーは怒って
「もういいです!」
そういって馬の柵の中に行ってしまった。
「あはは、ああ、悪い事しちゃったな。はあはあ」
俺は息切れしながらそう言った。
「はは、でもケン様はよく馬の気持ちを理解していると思いますよ。ゴールア様は軍人なので馬は使い捨ての道具と思っている部分があるので仕方ないとは思いますけど」
「え、使い捨ての道具!?」
「そうですね。何よりも軍の使命が大事ですから。その為なら自分や馬の命は全て使い捨てられる道具だと教育されるようです。ケン様には無理ですね」
「・・・うん。俺には無理だなー」
「多分その差ですね。その・・・エータ様はケン様に『才能は無い』とおっしゃってましたけど、馬の気持ちを考えられるのは、良い騎手の『素晴らしい才能』です。ですからケン様は『素晴らしい才能』の持ち主だと私は思います」
「あ、ありがとう」
俺は褒められて恥ずかしかったけど、素直にお礼を言った。
きっとエータは気持ちとかよりも身体能力的な事を言っていたんだとも理解している。
「よし、ゴーに謝りに行こう!」
俺とグエンガさんは馬の柵のゴーの元に向かった。
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