異世界に転生したのにスキルも貰えずに吸血鬼に拉致されてロボットを修理しろってどういうことなのか

ピモラス

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ローレン領

別の手段

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昼食後も俺はゴーとグエンガさんに見守れて乗馬の練習をしていた。
軽く走る程度まで落馬せずに乗れるようになっていた。
「いい感じですね」
「もっとリラックスしても大丈夫ですよ!馬を信用して」
そんな声を柵越しにかけられて返事をする余裕もでてきた。
そんな和気あいあいとしている所にエータが来て一緒に見学をしていた。
俺は馬首を返し、エータに近寄った。
「ケン。一度下馬せよ」
エータは俺を見上げてそう言った。
何か重要な話しがある雰囲気だったので、俺はグエンガさんに手伝ってもらいながら馬から降りてエータの前に行った。
「ふむ。予想通りだな」
エータは俺の顔を見て頷いた。そして・・・
「元々の身体能力的にそれほど上達はしないだろうと計算していたが、それ以下だ。全然使い物にならん」
「え・・・」俺は愕然としていたが、グエンガさんは一歩エータに近寄り
「け、ケン様は頑張っています!そ、そんな言い方は・・・」
「問題ない。そもそもの才能が無いのだ。そんなことは最初からわかっていた。別手段で行く」
俺は少しうなだれていたが、エータの顔を見上げた。
みんなそれぞれ、しっかりしているし得意分野もある。
グエンガさんは馬のプロだし、ゴーは立派な軍人だし、エータとアレックスには欠点なんてない。
俺は自分でわかっていたが、はっきりと「足手まといの役立たず」と言われて膝から崩れ落ちそうになり、ゴーに支えられた。
「ではエータ殿。シロンも予定通り入れていいのですね?」
ゴーは俺を気にしながらもエータに話しかけていた。
「ああ。ケンも気に入っているようだしな」
俺は何か話しているのは聞こえていたが、涙を堪えるのに必死で内容はわからなかった。
「え、エータ殿。例の件をケンに説明した方がよいのでは」
「そうであるな。ケン、別手段とは馬車だ。自家用の馬車があれば街道ならば問題なく計算できる移動速度を確保できる。ゴーが御者を行い、探索時の馬車の確保なども任せられるであろう」
俺は話しを聞きながら、ゴーやエータの顔ではなくシロンをじっと見つめていた。
「昨夜、ローレン卿にエータ殿と馬車を提供してもらえないか伺って、馬の目ぼしもつけていたのですよ」
ゴーはそう言って俺をしっかりと立たせて正面に立ち
「シロンも一緒です。馬車を引いても、シロンの体力に余裕があれば乗馬の練習は続けられますよ」
ゴーはそういって俺の肩をポンポンと叩いた。
「君は馬車の中で休むこともできるし、荷物が多くても持って歩く必要もない。君も身近で馬の生態を知ることができる。実に合理的な計画だと思わないかね?」
俺はすこし嬉しくなったが、エータの言い方には傷ついていたので
「で、でもエータ!あんな言い方はないだろー!」
そういったエータの答えは
「現実を正確に伝えることが最重要だ。君の体力や反応速度を鑑みて、短期間で馬を自在に操るのは到底無理だ。それに期待して行動するのは愚か者の行動だとは思わないかね?」
「そ、そうだけど・・・」
「今後は道中で乗馬の練習ができると思えば、結果的に君の乗馬技術も上がるはずだし、君がその大型馬を選んだのは運がよかった。焦らずに練習するがよい」
エータは言い方はアレだったけど、ちゃんと俺の事を考えてくれている。
俺はシロンの背に手を置いた。
「私が引き続き指導します!大草原をシロンと共に駆ってください」
ゴーは暑苦しい笑顔でそう言った。
俺はシロンにまたがって草原を走る姿を想像し、希望を感じた。
グエンガもほっとして笑顔で見守っていた。


その後はシロンを休ませたいと言うので違う馬も試してみる事になった。
どの馬もまたがった感じは一緒だと思った。シロンとは違った。
最後にまたがったゴーの馬だけは全然いう事を聞いてくれなかった。
「あ、これ駄馬だ・・・」
無意識にそうつぶやいたのがゴーに聞こえてしまい、真っ赤な顔で
「そ、ソイツは私のいう事しか聞かないんです!」
そんな事を言っていたが、今の俺は「そうなのかも」と思い始めていた。


練習を終え、汗を流してから夕食になった。
今日はローレン卿は午後から出かけていくのを見たが、戻ってきていないようだった。
「今後の予定を決めておこう」
エータは皆が食べ終わった食卓で話しを始めた。
食事の時に当たり前のようにワインを飲んでしまったが、まあエータに任せておけば大丈夫だろう。
ローレン卿は王都に出向いており、戻るのは4~5日先になるとの事だった。
ローレン卿不在の間には出発せずに帰りを待つ。その間にエータとアレックスは何かやることがあると言っていたが、途中で退席して荷物袋を持って戻ってきた。
机の上で荷物をひっくり返すと分厚い本が何冊も出てきた。
「ベイツよ。遅くなってしまったが頼まれていた本だ。明日から作業に入るなら吾輩も手を貸そう」
俺は文字が読めないから何の本か表紙を見てもまったくわからない赤や茶色の分厚い本だったが、気になって聞いてみると、生物学や建築学の本だった。
ベイツは頭をしっかりと下げてから本を手に取り、エータにお礼を言って
「資材などの準備もあるので、できる事からしてみようと思います」
エータとベイツは本を開いて「あーだこーだ」話し出してしまった。
内容的にアレックスの母親の部屋の改築工事とか快適に過ごせる空間をつくる為の改装とかそんな内容だった。
俺は何か手伝いたいと思った。
「え、エータ。俺も何か手伝うよ」
勇気を出して話しの隙をついて声をかけたが
「では、君とゴーは馬車の準備と操舵の練習をしたまえ。ケンは馬に慣れるのが最優先だ」
全然アレックスの母と関係の無い要求だった・・・

部屋に戻るとエータは当たり前のように俺の部屋に来たので(ゴーも当然のようにいる)
「あの本っていつの間に持ってきていたんだ?」
「ロスタルを出る前に一度戻ると伝えたではないかね?」
「あー」
俺は曖昧な顔で頷いた。
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