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地底人を探して
ケンの気持ちと仲間の結束
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夕飯までまだ時間があったので、俺はシロンの様子を見に来ていた。
エルロットが戻るまでは特にやることもなく、自由時間のような感じだった。
俺は盗賊団が遺跡にいたらいたで、また虐殺があるのではないか、エルは本当に盗賊団と無関係なのか、気がかりで落ち着いていられなかった。
荷物を宿の部屋で片づけていたが、ゴーが不要なものを馬車に置きに行くと言ったのでついてきたのだ。俺一人で知らない人がいるうまやまで来る勇気はなかった。
「シロン・・・疲れてないか?」
馬の首を撫でながらつぶやいた。
「・・・ケン、心配ですか?」
荷物を積み終えたゴーはいつのまにか俺の隣に来ていた。
「うん・・・盗賊でも死ぬのは見たくないし・・・エルも大丈夫かな」
ゴーは少し斜め上を見上げていた。それから視線をケンに移して
「例えばですよ?エルが盗みを働いて追われてここにきます」
ゴーは俺の後ろに回って
「あ、兄貴!助けてくれって言われたらどうします?目の前には被害者の商人や役人がいたら?」
「え・・・ど、どうしよう・・・」
「アイツはそういう人種ですよ。今はやらなくても、いつかそんな日がきます。わかってますよね?」
ゴーの目は確信を疑わないように力強くケンを見つめた。
「うん・・・でも、でもチャンスを与えるのはダメなのか?」
「そのチャンスでこちらがピンチにならなければいいんですが・・・ケンに被害が及ぶようなら私は容赦しません」
ゴーは俺の為を思って言ってくれているのはわかる。わかるんだけど・・・
「しかし、それでこそ私が見込んだケンなのですね」
あんまりキラキラした目で見るのはやめてください。
部屋に戻り、紅茶を飲んでいたらエルが窓から戻ってきた。さっきも思ったけどここ二階・・・
「だいたいわかりましたぜ、ヤツらのねぐらが・・・」
エルの報告だと、クッキースカーフ団は東の森の方からくることが多いそうだ。
過去に迎撃して追撃したのだが、盗賊団の待ち伏せや迎撃にあって命からがら逃げ帰ってきた兵士がいるので、間違いないらしい。
「で、あるならば、おそらくこのターミナルの地点付近か」
エータは自分の頭の中の地図を見ながら場所を特定したようだった。
「これはあっしの経験則ですが、昼夜の見張りはもちろん、街の中にも街の様子を伺っているヤツラの仲間はいますぜ。あ、あっしじゃないですからね!」
エルは片手をパーにしてエータに突き出している。子供の歌舞伎役者に見えた。
「ふむ。一度意見を聞きたい。吾輩が今から単騎で乗り込んで制圧してしまうのが最も効率的だが、どうかねケン。一緒に行くかね?」
「え!?」
俺は突然話しを振られて頭が真っ白だった。なんで俺・・・?
「全員で行動するのもそれなりにメリットはある。吾輩とアレクシウスが二手に別れての二面襲撃を行い、別の出入口を警戒するためにケン達が見張るのだ。取りこぼさぬようにな」
取りこぼし・・・一人も逃がさないつもりなのか・・・
「その・・・盗賊は戦意をなくしたら全員殺さなくても・・・親玉だけ倒せば!」
「非効率だ」
エータは一言で終わらせた。俺は唖然としていた。
「盗賊を逃がしても他の被害者を増やすだけです。また徒党を組むかもしれないし、ケンが逆恨みで狙われることもあるでしょう」
ゴーは真剣な顔で俺を見つめている。
「・・・ケンの安全が最優先だ」
アレックスも同意を示してしまった。仕方ないのか・・・
心のどこかで、たとえ盗賊でも人がたくさん死ぬ、仲間たちがまた手を汚してしまうのかと心配だったが、結束している仲間たちを信じることにした。
結局全員で向かう事になった。
今日はしっかりと休養して明日の朝食後に出発するが、馬車は使用せずに歩いて移動することになった。馬や馬車の安全を考えたら街に保管したほうがいいと。
山間部に近い深い森の中の可能性が高いので、馬車でいったところでかなりの距離を歩いて移動しなければならないと言われ、俺は担がれる自分を想像してしまっていた。
俺は疲れていたのか、夕食後にすぐ眠ってしまった。
エータとエルは夜間に宿を抜けて街付近の偵察をしたようだ。エルは盗賊団に情報を流しているヤツに目ぼしをつけているとドヤ顔で夕食時に言っていた。
朝起きると隣のベッドでエルは寝ていたが、「うわ」っと飛び起きて俺の顔を見て
「え、エータの旦那ってあんなに強かったんすね・・・」
俺は怖くて夜間の偵察で何があったのか聞けなかった。
「後顧の憂いは断った。朝食が終わったら出発しよう」
エータは自身の体を布で拭きながら言った。
エルロットが戻るまでは特にやることもなく、自由時間のような感じだった。
俺は盗賊団が遺跡にいたらいたで、また虐殺があるのではないか、エルは本当に盗賊団と無関係なのか、気がかりで落ち着いていられなかった。
荷物を宿の部屋で片づけていたが、ゴーが不要なものを馬車に置きに行くと言ったのでついてきたのだ。俺一人で知らない人がいるうまやまで来る勇気はなかった。
「シロン・・・疲れてないか?」
馬の首を撫でながらつぶやいた。
「・・・ケン、心配ですか?」
荷物を積み終えたゴーはいつのまにか俺の隣に来ていた。
「うん・・・盗賊でも死ぬのは見たくないし・・・エルも大丈夫かな」
ゴーは少し斜め上を見上げていた。それから視線をケンに移して
「例えばですよ?エルが盗みを働いて追われてここにきます」
ゴーは俺の後ろに回って
「あ、兄貴!助けてくれって言われたらどうします?目の前には被害者の商人や役人がいたら?」
「え・・・ど、どうしよう・・・」
「アイツはそういう人種ですよ。今はやらなくても、いつかそんな日がきます。わかってますよね?」
ゴーの目は確信を疑わないように力強くケンを見つめた。
「うん・・・でも、でもチャンスを与えるのはダメなのか?」
「そのチャンスでこちらがピンチにならなければいいんですが・・・ケンに被害が及ぶようなら私は容赦しません」
ゴーは俺の為を思って言ってくれているのはわかる。わかるんだけど・・・
「しかし、それでこそ私が見込んだケンなのですね」
あんまりキラキラした目で見るのはやめてください。
部屋に戻り、紅茶を飲んでいたらエルが窓から戻ってきた。さっきも思ったけどここ二階・・・
「だいたいわかりましたぜ、ヤツらのねぐらが・・・」
エルの報告だと、クッキースカーフ団は東の森の方からくることが多いそうだ。
過去に迎撃して追撃したのだが、盗賊団の待ち伏せや迎撃にあって命からがら逃げ帰ってきた兵士がいるので、間違いないらしい。
「で、あるならば、おそらくこのターミナルの地点付近か」
エータは自分の頭の中の地図を見ながら場所を特定したようだった。
「これはあっしの経験則ですが、昼夜の見張りはもちろん、街の中にも街の様子を伺っているヤツラの仲間はいますぜ。あ、あっしじゃないですからね!」
エルは片手をパーにしてエータに突き出している。子供の歌舞伎役者に見えた。
「ふむ。一度意見を聞きたい。吾輩が今から単騎で乗り込んで制圧してしまうのが最も効率的だが、どうかねケン。一緒に行くかね?」
「え!?」
俺は突然話しを振られて頭が真っ白だった。なんで俺・・・?
「全員で行動するのもそれなりにメリットはある。吾輩とアレクシウスが二手に別れての二面襲撃を行い、別の出入口を警戒するためにケン達が見張るのだ。取りこぼさぬようにな」
取りこぼし・・・一人も逃がさないつもりなのか・・・
「その・・・盗賊は戦意をなくしたら全員殺さなくても・・・親玉だけ倒せば!」
「非効率だ」
エータは一言で終わらせた。俺は唖然としていた。
「盗賊を逃がしても他の被害者を増やすだけです。また徒党を組むかもしれないし、ケンが逆恨みで狙われることもあるでしょう」
ゴーは真剣な顔で俺を見つめている。
「・・・ケンの安全が最優先だ」
アレックスも同意を示してしまった。仕方ないのか・・・
心のどこかで、たとえ盗賊でも人がたくさん死ぬ、仲間たちがまた手を汚してしまうのかと心配だったが、結束している仲間たちを信じることにした。
結局全員で向かう事になった。
今日はしっかりと休養して明日の朝食後に出発するが、馬車は使用せずに歩いて移動することになった。馬や馬車の安全を考えたら街に保管したほうがいいと。
山間部に近い深い森の中の可能性が高いので、馬車でいったところでかなりの距離を歩いて移動しなければならないと言われ、俺は担がれる自分を想像してしまっていた。
俺は疲れていたのか、夕食後にすぐ眠ってしまった。
エータとエルは夜間に宿を抜けて街付近の偵察をしたようだ。エルは盗賊団に情報を流しているヤツに目ぼしをつけているとドヤ顔で夕食時に言っていた。
朝起きると隣のベッドでエルは寝ていたが、「うわ」っと飛び起きて俺の顔を見て
「え、エータの旦那ってあんなに強かったんすね・・・」
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エータは自身の体を布で拭きながら言った。
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