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地底人を探して
遺跡の中の会議のお時間
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エルはおなかに穴が空き、背中まで貫通する深手を負っていたが、一命は取り留めた。
「少し休めば大丈夫っす」
出血が多いが、食事をして休息すれば大丈夫だろうとのエータは診断した。
「しかし、ケンの兄貴は泣き虫っすね」
笑ってからかう余裕も出てきたようで、俺は安心した。
洞窟の入口の方に盗賊の生活用品や食料もあったので、一旦そこまで戻って休憩することにした。
アレックスはすっかり回復したようで、切られた手足や指は元通りになっていた。
それでも俺は心配になり
「アレックス、どこも痛くないか?エルと一緒にしっかり休んで」
そう声をかけたのだが、返答は
「・・・また服がダメになってしまった」
相変わらずでほっと安心した。
ゴーは食料を集めたり、毛布にエルを寝かせたりしていた。
料理をしようとエータが言い出した時にゴーは
「残りの盗賊や頭目は見つかりましたか?我々は蜘蛛以外には遭遇していません」
そう報告するとエータは、さも当然という感じに
「すべて排除済である」
そして続けて
「外に哨戒に出ている残党の可能性は高いが、入口付近の状況を見ればここには戻ってこないであろう」
ゴーと俺は驚けばいいのか関心すればいいのか、苦笑いで顔を見合わせていた。
エルは眠ってしまい、そのまま放置する訳にもいかず、俺達はここで今後の計画を話し合った。
「先ほどの制御ルームで吾輩と接続できるモジュールがある。しかし、電力が供給されていない」
俺は色々な疑問が浮かんできた。
電源はどこかから供給できるのか?エータと接続することによりエータの内部的な問題、欠落した記憶の問題や、コンピューターを俺が操作できるのか?そもそも文字が読めるのか・・・等々
「え、エータ先生。疑問があるのですが・・・」
文字が読めないと言ったらまた叱責をされそうな予感がしたが、恐る恐る手を上げて発言した。何か新入社員として入社したころのオロオロする自分を思い出した。
「君の質問でアレクシウスやゴールアも明確な目的を認識することができる。疑問を呈したまえ」
俺はオドオドしながらも、電源やコンピューターの操作、文字が読めない事を告げた。
エータは意外にも、穏やかに順を追って説明してくれた。
「電源に関しては、この規模の施設なら補助電源を備えている。しかし、それだけで動かせない規模の施設があるのなら、メインの電源を復旧させる必要がある」
「コンピューター端末の電源だけなら、その補助電源だけでなんとかなるんじゃないのか?」
「いい質問だ。端末だけならば十分だが、そこから得る情報次第でさらなる電力が必要になる可能性はあると覚えておいてくれたまえ」
俺は何かわかったようなわからないような気分だったが、頷いた。
アレックスは椅子に座って目を閉じていたが、ゴーは話しについていけないようで
「荷物を整理して、保存食などを作っておきますね」
そう言って、自分にできる仕事をやりにいった。そんな姿にエータは
「今後の行動をゴールアにも理解して欲しいのだが、彼は己に可能な行動を的確に選択し実践する。効率的な彼の行動はケンにも見習ってほしいのだがね」
「そんな言い方・・・」
先ほどのゴーに引きずられて泣き叫んでいる自分を思い出して、言葉に詰まった。
エータが言うのなら冗談や、からかいなのではなく真実なのだろう。そう思うことにした。
エータは気にせずに話しを続けた。
「端末の操作に関しては、君になら十分可能なはずだがね?この世界で君以上の適任はいない。吾輩のシステムも停止する訳ではないから随時指示を出すから心配は無用だ」
俺はエータに褒められて表情が一瞬緩んだ。そしてはっとした。
エータはわざとけなしてから褒めて上げてをしているのか?これは高度なAIの演算で人心掌握術をしているのか?思い切って俺は聞いてみた。
「え、エータはわざとひどい言い方をしてから褒めるようにプログラムされているのか?」
「ひどい言い方など一度もしていないではないかね。的確に真実を伝えるのが吾輩の使命だ」
そう言われると「君は非効率だ」と言われているみたいで悲しいのです。
でも、褒められているのも真実なんだと思うこともできた。
「文字に関してはアレクシウスやゴールアに随時聞いて理解するのが現状では効率的であるな。時間がある時に彼らや吾輩が君に指導していく計画を立てよう」
机に向かう俺の後ろで「今日の勉強の時間は16時間だ」等とガミガミ言うエータを想像して俺は震えた。
「ま、まあ文字の勉強は機会があったら、で」
震える俺を無視して、エータは話しをまとめた。
「補助電源システムを発見して起動または修復が第一目標だ。吾輩が単独で遺跡内部を探索してくる。君たちはここで休息したまえ。ケン、今は休息が優先事項と心得てくれたまえ」
何故か俺に念を押してから、エータは暗い洞窟に消えていった。
「私が見張るので、先にお休みになってください」
少し離れたからゴーに言われて俺は床に敷いた毛布の上で横になった。
「少し休めば大丈夫っす」
出血が多いが、食事をして休息すれば大丈夫だろうとのエータは診断した。
「しかし、ケンの兄貴は泣き虫っすね」
笑ってからかう余裕も出てきたようで、俺は安心した。
洞窟の入口の方に盗賊の生活用品や食料もあったので、一旦そこまで戻って休憩することにした。
アレックスはすっかり回復したようで、切られた手足や指は元通りになっていた。
それでも俺は心配になり
「アレックス、どこも痛くないか?エルと一緒にしっかり休んで」
そう声をかけたのだが、返答は
「・・・また服がダメになってしまった」
相変わらずでほっと安心した。
ゴーは食料を集めたり、毛布にエルを寝かせたりしていた。
料理をしようとエータが言い出した時にゴーは
「残りの盗賊や頭目は見つかりましたか?我々は蜘蛛以外には遭遇していません」
そう報告するとエータは、さも当然という感じに
「すべて排除済である」
そして続けて
「外に哨戒に出ている残党の可能性は高いが、入口付近の状況を見ればここには戻ってこないであろう」
ゴーと俺は驚けばいいのか関心すればいいのか、苦笑いで顔を見合わせていた。
エルは眠ってしまい、そのまま放置する訳にもいかず、俺達はここで今後の計画を話し合った。
「先ほどの制御ルームで吾輩と接続できるモジュールがある。しかし、電力が供給されていない」
俺は色々な疑問が浮かんできた。
電源はどこかから供給できるのか?エータと接続することによりエータの内部的な問題、欠落した記憶の問題や、コンピューターを俺が操作できるのか?そもそも文字が読めるのか・・・等々
「え、エータ先生。疑問があるのですが・・・」
文字が読めないと言ったらまた叱責をされそうな予感がしたが、恐る恐る手を上げて発言した。何か新入社員として入社したころのオロオロする自分を思い出した。
「君の質問でアレクシウスやゴールアも明確な目的を認識することができる。疑問を呈したまえ」
俺はオドオドしながらも、電源やコンピューターの操作、文字が読めない事を告げた。
エータは意外にも、穏やかに順を追って説明してくれた。
「電源に関しては、この規模の施設なら補助電源を備えている。しかし、それだけで動かせない規模の施設があるのなら、メインの電源を復旧させる必要がある」
「コンピューター端末の電源だけなら、その補助電源だけでなんとかなるんじゃないのか?」
「いい質問だ。端末だけならば十分だが、そこから得る情報次第でさらなる電力が必要になる可能性はあると覚えておいてくれたまえ」
俺は何かわかったようなわからないような気分だったが、頷いた。
アレックスは椅子に座って目を閉じていたが、ゴーは話しについていけないようで
「荷物を整理して、保存食などを作っておきますね」
そう言って、自分にできる仕事をやりにいった。そんな姿にエータは
「今後の行動をゴールアにも理解して欲しいのだが、彼は己に可能な行動を的確に選択し実践する。効率的な彼の行動はケンにも見習ってほしいのだがね」
「そんな言い方・・・」
先ほどのゴーに引きずられて泣き叫んでいる自分を思い出して、言葉に詰まった。
エータが言うのなら冗談や、からかいなのではなく真実なのだろう。そう思うことにした。
エータは気にせずに話しを続けた。
「端末の操作に関しては、君になら十分可能なはずだがね?この世界で君以上の適任はいない。吾輩のシステムも停止する訳ではないから随時指示を出すから心配は無用だ」
俺はエータに褒められて表情が一瞬緩んだ。そしてはっとした。
エータはわざとけなしてから褒めて上げてをしているのか?これは高度なAIの演算で人心掌握術をしているのか?思い切って俺は聞いてみた。
「え、エータはわざとひどい言い方をしてから褒めるようにプログラムされているのか?」
「ひどい言い方など一度もしていないではないかね。的確に真実を伝えるのが吾輩の使命だ」
そう言われると「君は非効率だ」と言われているみたいで悲しいのです。
でも、褒められているのも真実なんだと思うこともできた。
「文字に関してはアレクシウスやゴールアに随時聞いて理解するのが現状では効率的であるな。時間がある時に彼らや吾輩が君に指導していく計画を立てよう」
机に向かう俺の後ろで「今日の勉強の時間は16時間だ」等とガミガミ言うエータを想像して俺は震えた。
「ま、まあ文字の勉強は機会があったら、で」
震える俺を無視して、エータは話しをまとめた。
「補助電源システムを発見して起動または修復が第一目標だ。吾輩が単独で遺跡内部を探索してくる。君たちはここで休息したまえ。ケン、今は休息が優先事項と心得てくれたまえ」
何故か俺に念を押してから、エータは暗い洞窟に消えていった。
「私が見張るので、先にお休みになってください」
少し離れたからゴーに言われて俺は床に敷いた毛布の上で横になった。
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