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地底人を探して
第一地底人発見!
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休憩後にジャングルを移動しながらエルに色々と教えてもらう・・・はずだった。
「え、じゃあ兄貴の世界には奴隷はいないのか?でも毎日何時間も働かされるのはイヤだな」
エルは俺の元居た世界に興味を持ってしまい、質問攻めにあっていた。
「戦ったこともないって・・・それで兄貴はそんなヒョロヒョロでよわっちい・・・おっと失礼しやした」
「ま、まあ俺はよわっちいからこうやってエルに教えてくれって言ってるんだよ」
ジャングルの中の道なき道をエータとアレックスが草や木をかき分けて道を作ってくれていたので、ゆっくりした移動だった。
彼らは無造作に草むらに入り、ただ足踏みを繰り返しながら歩くだけで草木は地面に伏して濃い青臭さを周囲の蒸れた空気に滲ませていた。
俺とエルは草木や動物の話しをしていた。
エルは咄嗟に身をかがめて人差し指を立てて自らの口に当てて俺を見た。
俺はドキっとしたが、冷静に口を閉じ、アレックスとエータを見たらやっぱり動きを止めている。
前からたまにある、嫌な緊張感の沈黙で、俺の心臓の音だけが大きく鼓動しているようだった。
近くの草をガサガサと震わせる音が俺の耳にも聞こえてきた。
だけど、アレックスもエータも戦うような素振りは見せていない?
音は段々と近付いてきて、そちらの方を全員で見ていた。
草をかき分けて大きなヘビの頭が見えた。俺の顔より大きく見える。
俺は誇張抜きで一メートルくらい飛びあがり「でたー」と大声で叫んでしまった。
全身から一気に汗が吹き出る。
「気配を探る達人が何人もいると思ったら、やっぱりあんたらか」
ヘビは草をかき分けて俺たちの前に全身を表すと手足が生えていた。
光を反射する深い緑色のウロコに全身覆われているが顔から首の下あたりまでは白かった。
白目のない真っ黒い瞳に僅かに開いた真っ赤な口から、たまにチロリと先端の別れた舌が覗く。本能なのだろうか?舌を見ていると食べられてしまうと感じているように体がこわばる。
服も靴も来ていないのに腰にベルトをし、それには剣がつられていて、リュックを背負っている。
「やあリグンドロム。元気にしているかね?」
「ああ、まあいつも通りだ。アレクシウス殿は久しぶりだな。彼はこの前言っていた者だね?思いのほか早かったのだな」
「そうであるな。馬車を入手できたので予想外の時間短縮ができた」
俺はヘビに見えたけど、トカゲなのか?俺と同じくらいの身長があるトカゲに見えるけど、なんか見た目よりも知的で温厚に見える。エータの知り合いなのか?アレックスも知っている?
そんな事を考えてボーっと見ていたのだが、トカゲ人は俺の方を見ている。
「君がエータ殿の言っていたケン殿だね?多様な知識を持ち、思慮深いと伺っている。私はリグンドロム・サンツ・クツ・プオン。よろしくお願いしたい。救世主殿」
は?え?救世主ってなんだ?俺のこと?何も考えられなくなり、フリーズしてあっけに取られていたが、右手を差し出しているから握手して挨拶を返さなければ!?
「け、ケンです。よ、よろしくお願いします。リグンド・・・さん。すいません名前が・・・」
右手を握り、左手で頭を掻いて焦っている俺にたいして、トカゲ人は温和に
「はは、我々の名前は長いのでな。人間には難しいだろう。今君が言ったようにリグンドでもリグンでも構わないよ」
「名前を覚えられなくてすみません。リグンさん」
見た目と違って優しい人でよかったと俺はほっとした。けど
「え、エータ!救世主って何?後でちゃんと説明してくれよな!」
「まあまあ、とにかく私が案内しますので我々の居住区にいきましょう」
俺は歩き出そうとして、あっけにとられているエルに躓いた。
「あ、ゴメンエル」
「ち、地底人・・・はじめてみた」
俺はそのつぶやきで、衝撃を受けた。地底人ってドワーフじゃないのか!
リグンに案内されて歩き出したのだが、森を抜けるのに二時間以上歩いた。
途中から登山道のような登りの山道になっていた。
背の低い木が立ち並ぶ斜面に、道の部分だけがキレイに木も草も生えていない。
この部分をよく歩いているのか、自然にそうなっているのかはわからなかったが、俺一人だけが「ぜーぜーひーひー」言いながら歩いていた。
全身汗だくで、足を一歩前に出すのも足も全身も鉛のように重く感じていた。
ふらつく体をなんとか支えながらも、呼吸するたびに肺が焼けたように痛い。
道中でエータに色々聞こうと思っていたのだが、呼吸だけで精一杯だった。
「もうすぐだが、休憩にしますかな?」
俺は返事ができなかったが、無情なエータは
「不要である」
俺はその返事で冷や汗が出てきた。時刻は昼過ぎくらいだろうか?曇っているが若干暑くなってきているような気もする。
岩場の亀裂なような部分にたどり着くと、リグンは「帰還したぞ」と言いながら岩の亀裂に入っていった。
俺は息も絶え絶えで倒れこみたかったが、ついたと思って気力をふり絞ってついていった。
岩場の亀裂なんて普段の俺だったら絶対に近付かないのに、この時は恐怖心はなかった。
「え、じゃあ兄貴の世界には奴隷はいないのか?でも毎日何時間も働かされるのはイヤだな」
エルは俺の元居た世界に興味を持ってしまい、質問攻めにあっていた。
「戦ったこともないって・・・それで兄貴はそんなヒョロヒョロでよわっちい・・・おっと失礼しやした」
「ま、まあ俺はよわっちいからこうやってエルに教えてくれって言ってるんだよ」
ジャングルの中の道なき道をエータとアレックスが草や木をかき分けて道を作ってくれていたので、ゆっくりした移動だった。
彼らは無造作に草むらに入り、ただ足踏みを繰り返しながら歩くだけで草木は地面に伏して濃い青臭さを周囲の蒸れた空気に滲ませていた。
俺とエルは草木や動物の話しをしていた。
エルは咄嗟に身をかがめて人差し指を立てて自らの口に当てて俺を見た。
俺はドキっとしたが、冷静に口を閉じ、アレックスとエータを見たらやっぱり動きを止めている。
前からたまにある、嫌な緊張感の沈黙で、俺の心臓の音だけが大きく鼓動しているようだった。
近くの草をガサガサと震わせる音が俺の耳にも聞こえてきた。
だけど、アレックスもエータも戦うような素振りは見せていない?
音は段々と近付いてきて、そちらの方を全員で見ていた。
草をかき分けて大きなヘビの頭が見えた。俺の顔より大きく見える。
俺は誇張抜きで一メートルくらい飛びあがり「でたー」と大声で叫んでしまった。
全身から一気に汗が吹き出る。
「気配を探る達人が何人もいると思ったら、やっぱりあんたらか」
ヘビは草をかき分けて俺たちの前に全身を表すと手足が生えていた。
光を反射する深い緑色のウロコに全身覆われているが顔から首の下あたりまでは白かった。
白目のない真っ黒い瞳に僅かに開いた真っ赤な口から、たまにチロリと先端の別れた舌が覗く。本能なのだろうか?舌を見ていると食べられてしまうと感じているように体がこわばる。
服も靴も来ていないのに腰にベルトをし、それには剣がつられていて、リュックを背負っている。
「やあリグンドロム。元気にしているかね?」
「ああ、まあいつも通りだ。アレクシウス殿は久しぶりだな。彼はこの前言っていた者だね?思いのほか早かったのだな」
「そうであるな。馬車を入手できたので予想外の時間短縮ができた」
俺はヘビに見えたけど、トカゲなのか?俺と同じくらいの身長があるトカゲに見えるけど、なんか見た目よりも知的で温厚に見える。エータの知り合いなのか?アレックスも知っている?
そんな事を考えてボーっと見ていたのだが、トカゲ人は俺の方を見ている。
「君がエータ殿の言っていたケン殿だね?多様な知識を持ち、思慮深いと伺っている。私はリグンドロム・サンツ・クツ・プオン。よろしくお願いしたい。救世主殿」
は?え?救世主ってなんだ?俺のこと?何も考えられなくなり、フリーズしてあっけに取られていたが、右手を差し出しているから握手して挨拶を返さなければ!?
「け、ケンです。よ、よろしくお願いします。リグンド・・・さん。すいません名前が・・・」
右手を握り、左手で頭を掻いて焦っている俺にたいして、トカゲ人は温和に
「はは、我々の名前は長いのでな。人間には難しいだろう。今君が言ったようにリグンドでもリグンでも構わないよ」
「名前を覚えられなくてすみません。リグンさん」
見た目と違って優しい人でよかったと俺はほっとした。けど
「え、エータ!救世主って何?後でちゃんと説明してくれよな!」
「まあまあ、とにかく私が案内しますので我々の居住区にいきましょう」
俺は歩き出そうとして、あっけにとられているエルに躓いた。
「あ、ゴメンエル」
「ち、地底人・・・はじめてみた」
俺はそのつぶやきで、衝撃を受けた。地底人ってドワーフじゃないのか!
リグンに案内されて歩き出したのだが、森を抜けるのに二時間以上歩いた。
途中から登山道のような登りの山道になっていた。
背の低い木が立ち並ぶ斜面に、道の部分だけがキレイに木も草も生えていない。
この部分をよく歩いているのか、自然にそうなっているのかはわからなかったが、俺一人だけが「ぜーぜーひーひー」言いながら歩いていた。
全身汗だくで、足を一歩前に出すのも足も全身も鉛のように重く感じていた。
ふらつく体をなんとか支えながらも、呼吸するたびに肺が焼けたように痛い。
道中でエータに色々聞こうと思っていたのだが、呼吸だけで精一杯だった。
「もうすぐだが、休憩にしますかな?」
俺は返事ができなかったが、無情なエータは
「不要である」
俺はその返事で冷や汗が出てきた。時刻は昼過ぎくらいだろうか?曇っているが若干暑くなってきているような気もする。
岩場の亀裂なような部分にたどり着くと、リグンは「帰還したぞ」と言いながら岩の亀裂に入っていった。
俺は息も絶え絶えで倒れこみたかったが、ついたと思って気力をふり絞ってついていった。
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