異世界に転生したのにスキルも貰えずに吸血鬼に拉致されてロボットを修理しろってどういうことなのか

ピモラス

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地底人の集落で

地底人の住処

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入口は鍾乳洞のような感じだったが、所々に照明がついている。
照明!?松明とかじゃないのか?ランプとかか?
俺は感覚がバグったのかと思ったが、エルもキョロキョロと見まわしている。
赤っぽい照明に照らされた鍾乳洞は神秘的な雰囲気だったのだが、進んでいくと人工的に作られたような広間に出た。床・壁・天井までもが石を削り、磨きぬかれ、光を反射している。俺は疲れを忘れて見とれていた。角までキレイに加工されている。天井も高いのにだ。
広間の中に四人のトカゲ人改め地底人が立っていた。リグンと同じように剣を腰から下げている。門番なのだろうか?光を反射するウロコは金属のように見えた。
「客間の方に案内してくれ!」
リグンの声が反射する広間で、門番の一人が近付いて「こちらへ」と広間のドアの一つを開けて案内してくれた。滑らかな動作で足音がしない。
前に見た近代的な遺跡とは違う、人工的に掘削された廊下を通り、部屋に案内された。
「後程お声をかけるので、それまでおくつろぎください」
地底人の門番は丁寧に頭を下げて退室していった。
大きなテーブルと椅子があったので、俺はたまらず椅子に座りテーブルに「ぐへー」と声を漏らしつっぷした。
「ぷっ、兄貴だらしないっすね」
そう言って俺の隣にエルがちょこんと座った。
「はは、エルには少し高い椅子とテーブル・・・」
俺はつっぷしているテーブルと椅子が鉄でできているのに気が付いた。ひんやりと心地良い触り心地だが、間違いない。
「こ、これ鉄のテーブルと椅子だ」
「君のいた世界にはなかったのかね?一般的な物だと思うがね」
同じく金属で出来たエータは不思議そうに感じる表情をしていたが
「木で出来た物しか見たことなかったよ。あ、遺跡以外は」
「そうであるな。ここまで金属を加工できるのは地底人しかいないが、武器や馬具などは加工金属ではなかったかね?君の世界では骨や石で武器を作るのかね?」
俺は石オノでマンモスを狩るような風景を想像していた。そして急に思い出した。
「あ、エータ!俺が救世主ってなんだ?」
「兄貴は救世主じゃないっすか!あっしを買ってくれた!」
「・・・ケンは俺を救うのだろう?」
「ちょっと!今はそうじゃなくて!エータ!?」
「君は吾輩も修復する救世主であろう?」
「あーもう!エルが余計な事いうから!ちゃんと説明してくれよエータ!」
何故か俺がエキサイトしだしたらエルは大笑いして、アレックスまで穏やかな表情になっていた。
「失礼する。みなさん仲がいいのだな!長老達との会談の準備が出来たので移動願いたい」
おそらく笑顔のリグンが入ってきた。俺には表情はわからないが、声は楽し気だった。しかし、内容は楽しくなさそうだった。


リグンに先導されて広間に戻り、別の扉を抜けて会議室のような四角く長テーブルを囲むような配置の部屋に案内された。
今更気が付いたが、ドアも金属製だった。
部屋の中には既に4人の地底人が着席していた。
俺の目にはリグンも長老も部屋にいる他の地底人も区別がつかなかったが、リグン以外は武器を持っていない。一人しかはっきりとわからない状態だった。
俺たちが部屋に全員入るのを確認すると、着席を促されて座った。
「では長老」
立ったままのリグンに促され、立ち上がった地底人が一度お辞儀をした。
「アレクシウス殿、ご無沙汰しております。エータ殿、約束通り連れてきてくれたのだね。そしてケン殿、よくおいでくださった」
俺は名前を呼ばれた途端に緊張して、会社のえらい人に囲まれている気分になって喉がカラカラだったが、立ち上がった。一斉に地底人達の視線が俺に集中する。
「け、ケンです。よろしくお願いします」
そう言って頭を下げた。顔の横を一筋の汗が流れたのがわかった。早く帰りたいとか考えていた。リグンを含む地底人達はまだじっと俺を見ている・・・
地底人達はヒソヒソと何かを話していたが、僅かに「やはりエータ殿のいう通りだ」的な言葉が漏れ聞こえた。エータは何を言ったんだ!?恐怖を感じ出していた。
「ごほん。丁寧な挨拶は好感が持てます。聞いた通り立派な青年のようで安心しました。隣にいるのは御子息様ですかね?」
「え?ああこれ?」
俺は「ごしそく」が咄嗟に理解できなかったので、エルを指さしてそう言った。
「あ、兄貴!『これ』ってなんすか!!」
机を叩いて立ち上がる怒ったエルを見て緊張がほぐれていく。
「あ、ご、ごめんエル。つい・・・」
そんな様子を見て地底人も笑い出した。表情はまったく変わらないのに、声だけ笑っているのが不気味だったが、アレックスも穏やかな表情をしていたので安心した。
「これは失礼を。弟君なのですね。それで、本題なのですが・・・」
何故か弟になったが、もうスルースキルを発動させて触れないでおく。エルも黙って座った。
「エータ殿から説明があったと思いますが、我々は絶滅の危機に瀕しています」
エータから全く何にも説明を聞いていないのに、長老は説明を始めた。もう聞いてませんとか言えない空気になっているので黙って聞くことにした。


地底人は過去のピークでは3000人を超える規模だったらしいのだが、長老が生まれた時には2~300人程度に減っていたようだ。
過去の記録が途切れ途切れながら残っているので間違いないとの事。
記録と長老の見てきた事実から、明らかに出生率が現象しているのは判明しており、結婚した夫婦の間で一人も子供が出来ない家庭も多く、生まれても一人しか生まれない状態に陥っているとのことだった。
以前より問題となっており、定例の会議の最中にエータが腕の修理は頼めないかと訪れた。手を貸す条件として少子化問題の解決を頼めないかとの事だった。

「お恥ずかしい話しなのですが、もう身内では解決できないのです。エータ殿の修復の件でも力をお貸ししたいのですが、働き手も減っているのが現状で」
長老は立ち上がり、俺の顔をじっと見つめ
「エータ殿の話しでは、我らの知らない方法もあるらしいのだが、エータ殿だけではできないと申しました。しかし、多くの知識を持ち、親身になって相談できる者をつれてくるとおっしゃってくれたのです。ケン殿、我らにお力をお貸しください」
長老以外の地底人も席を立ち、俺に頭を下げてしまった。俺は正直「なんで?」って思っていた。多分表情にも出ていたと思う。
ただ、エータが俺のいない所で俺の事をそんな風に言ってくれていたのが嬉しかった。
俺はばれないように震えている手足に力を入れて立ち上がった。
「お、俺に何ができるのかわからないけど、協力したいとおも、思います」
「おお!?」
「や、やはり!!」
「救世主だ!救世主さまだ!」
リグンを含む地底人たちは騒ぎ出し、一人は泣き出してしまった。
「こ、これ!静まりなさい。お恥ずかしい所を・・・失礼しました」
長老もそういいながら嬉しそうなのが表情がわからないけどわかった。
でも俺に何ができるんだ?
その前にエータを問い詰めないと!!
それだけを俺は心に誓った。
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