異世界に転生したのにスキルも貰えずに吸血鬼に拉致されてロボットを修理しろってどういうことなのか

ピモラス

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逃走 窃盗 戦闘

ジンナとエミカ ゴーの回復

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 俺はジンナの隣に座っている。
 皆でジンナの元を訪れてゴーの容体を聞いていた。
「傷は塞がったけれど、まだ安定はしていない。血も足りないから五日くらいは寝ていたほうがいい。意識は早ければ明日明後日には戻ると思う」
 そんな診察結果でした。ほっと一安心。

 それと、エミカにジンナの様子を見てきてと頼んでいた件は、「もう大丈夫」という一言で終わりだった。
 エミカの寝る所は今日は床に毛布を敷いて寝るが、明日リビングに砦から調達してきたベッドを置く手筈になった。

 ジンナが食事にするといい、エルとアレックスは隣の家に戻っていった。
 エミカも同席していたが、ジンナは唐突に話しをはじめた。
「いつかケンにも見せようと思っていたの。でも実際は嫌われるかもしれないってばっかり考えて怖かった。でもケンなら受け入れてくれるって信じていたの」
 そう言ってからジンナは俯いた。
 俺もエミカも黙ってジンナの言葉を待っていた。
「でも・・・跪いて・・・美しいとか言われて・・・私・・・どうしたらいいのか・・・何て答えたらいいのかわからなくて・・・ごめんなさい」
 俺は慌てて
「い、いや、ジンナが謝る事じゃないよ!俺こそ変なことしてごめん・・・」
 二人で黙って俯いていると、エミカは笑い出した。
「ははは、いや君たちをバカにしているんじゃないんだ。君たち二人とも美しい。優しさと思いやりに溢れている。それと・・・」
 エミカは真顔で立ち上がり
「ゴールア殿の命を救ってくれた事、感謝する。ジンナにはもう言葉に出来ない恩義しかない。私に出来る事なら、なんでも命じてくだされ」
 ジンナはまたどうしていいのかわからないようでオロオロしだした。
「ああ、エミカはこういうヤツなんだよ」
 俺はエミカに座るように言ってから、ゴーがエミカの一族の為に別行動していたことを簡単に説明した。エミカも補足説明して、ゴーにも感謝と謝罪をしなければならないと真剣に言っていた。
「そうだったんだ。ゴールアさん?もケンと一緒に旅をしていてこんな事に・・・」
 色々と理解して落ち着いてきたジンナは改めて
「エミカ、ケンを助けて守ってあげて・・・あと・・・」
「それは前にも聞いている。命にかえても成し遂げると約束しよう。あと?」
「エミカも死んだらダメ。あと・・・私の・・・友達になってくれる?」
 消え入るような声で、顔を赤く染めるジンナはそう言っていた。
「はっはっは。それは無理だ」
 愕然とするジンナの顔を見て、俺は怒鳴ってしまった。
「おいエミカ!お前何言ってんだ!」
「私の中ではジンナ。君は既に親友であり、命をかけて守る対象だ。まあ君たち夫婦と言ったほうがいいだろう」
 何故か勝ち誇っているエミカ。
「もう・・・紛らわしい言い方するなよエミカ。よかったなジンナ。ジンナ?」
 ジンナは静かに泣いていた。
「うん・・・ケン、エミカ。私、生きてきてはじめて幸せなのかもしれない」
 その言葉は、心の奥底から湧き上がった初めての感情だった。言葉にするだけで胸が熱くなる――そんな感覚にジンナは戸惑いながらも、初めて味わう幸福を受け入れようとしていた。
 俺はそんなジンナが愛おしく、エミカの前だけど抱きしめてしまった。

 俺とエミカは、昼間のグリフィン騒動からの疲労と、ゴーの一命を取り留めた安心感からか、その夜はすぐに眠ってしまった。
 そして翌日も俺たちは砦に運搬に来ていた。
 もうグリフィンもいないし、安心して運搬という名の盗賊稼業が出来る・・・
 ゴーが来てしまった以上、別の問題が発生したかもしれない。
 これを黙って見逃してくれるのか?
「兄貴!武器庫に剣とか槍がいっぱいある!兄貴も剣もらっていきますかい?」
 エルは馬車の荷台にジャラジャラと数本の剣を積み込んでいた。
「エルがその剣でゴーに切られないといいな」と心の中で呟いた。

 そうして物資を持って村砦の往復という日常生活に戻っていた。
 その翌日もタンスやテーブルなどを積んで村に戻ると、村の入口でロイが慌てて俺の元に来た。
「ケン、お前の家のケガ人が目を覚ました。そしたら暴れ出した」
「は?」
 俺は事態が理解できず、とにかく家に走った。
 家の前には長老やヒロミスもいた。
「アレクシウス様、ケン殿、皆さま。おかえりなさい。帰って早々なんですが・・・」
 長老の話しをまとめると、ゴーはフラフラとこの家から出てきたようだ。
 何か意味不明な事を呟きながらヨタヨタとあるく姿を目撃した住民が人を呼んだ。
 長老も到着し、ゴーを遠巻きに見つめる村人から一歩出て
「落ち着いてください。まだ無理をしたらいけません」
 そう言ったのだが、ゴーは
「早く戻らなければ・・・ナカニスはどこだ・・・王都へ・・・」
 そのような事と、他にも誰かの名前か地名を呟いていたようで、対話は出来ないと考えた長老は寝かそうと思い近付くと暴れ出したらしい。
 仕方ないので、数人で押さえつけ、ベッドにしばりつけて寝かせているようだ。
「あの、ゴーは無事なんですね?村人にけが人も無し?なんかすみません」
 なんとなく、申し訳ない気分で謝罪しておいた。
 診察台に縛られているゴーはおとなしく、気を失っているようだった。
 ジンナはまだ寝ているのか、部屋のドアは閉まっている。
「とりあえずはケンが見張っていてくれ。後で私が交代に来よう」
 エミカがそう申し出てくれた。
「この部屋に今日持ってきたベッドを置いて、残りの荷物を長老の家に降ろしたらまた来る」
 そういって出ていった。
 俺はリビングから椅子を持ってきて、ゴーの眠る診察台の横に置いて座った。
「ゴー・・・せっかく助かった命なんだから無茶しないでくれよ・・・」
 口を開けて眠るゴーに俺はそう言い聞かせた。

 その後、眠るゴーを見張る俺の元へジンナが起きてきた。
 何か騒がしいのは知っていたが、起きられなかったらしい。
「ケンがそばにいてくれると思うと安心して・・・」
 そんなかわいいことを言うので、しばらく抱擁してしまいました。

 それはさておき、ジンナは眠るゴーを診察した。
 経過は順調だが、まだ血が足りないのと、損傷した部分は完全には結合してはいないとのこと。まだ数日は安静にして、起きたら食事を摂取させたほうがよいとの見解。
「しばらくは俺とエミカが交代で暴れないように見張る」と話しているとエミカがやってきた。

 エミカは気を聞かせて、俺とジンナの食事を持ってきてくれた。
 エミカにも「ゴーはまだ絶対安静」と伝えて交代してもらい、俺とジンナは食事をした。
 アレックスとエルも様子を見に来てくれたが、ゴーの意識が戻ることはなかった。
 診察室で俺とジンナとエミカは雑談をしながらゴーを見張っていたが、
「私がケン達が眠っている間は見ておく」
 ジンナはそう申し出てくれたので、俺たちは眠った。

 まだ日が昇る前だろうか?
 ジンナは俺をゆすって「あの人が起きたみたい」と起こしてくれた。
 俺は寝ぼけながら診察室に入ると、ゴーはうつろな瞳で天井を見上げていた。
「ゴー。気が付いたか?」
 ゴーは首だけで俺の方を見て
「私は・・・死んだのか・・・ケン・・・」
 そう言って泣き出してしまった。
 俺はゴーを落ち着かせながら、なんでゴーがここにいるのかを説明した。
 ゴーはまだ意識がはっきりしないのか、曖昧な返事をしていたが、突然目を見開き
「閣下が危ない!王都に戻らなければ!」
 そう言って起き上がろうとするが、ベッドに縛られて動けなかった。
「ゴー!落ち着いて。まずは自分の体をちゃんと治さないと」
 俺はゴーに言い聞かせて落ち着かせようとしているところにジンナとエミカもやってきた。
 俺は落ち着かせるために、話題を変えようと思い、ジンナを紹介した
「彼女はジンナ。そ、その・・・俺の嫁さんで、ゴーを治療して助けてくれた人」
 ゴーはもがいていたのだが、段々と俺の言葉が理解できたのか、動かなくなった。
「ケンの嫁さん・・・はっ!私はゴールアと申します。このような恰好で失礼なのですが・・・」
 突然かしこまった挨拶をしていたのだが、再度突然はっとして
「・・・そうだ、私は背後から刺されたのだ。ナカニスを疑っていたのに、彼女に助けられて・・・」
 俺がじっとゴーの目を見つめると、ゴーも俺を見つめ返した。もう目は泳いでいない。
「ゴー、縄をほどくよ。もう暴れないでくれよ」
 そうして縄をほどくと、ゴーはすぐにベッドから降りてジンナに向かって礼を述べた。
「命を救ってくれて感謝します。ケンにも何度も助けられて、奥様にも命を救っていただき・・・」
 俺はゴーが正気に戻ってくれてほっとした。
 そしてジンナを見ると、何故か顔を真っ赤にして口をパクパクしている?
「な、ど、どうしたんだジンナ!大丈夫か?」
 俺はジンナが心配で、正面に立ち、肩を両手で掴んだ。
「・・・ケンが俺の嫁さんって・・・奥様って・・・」
 口元に耳を寄せるとそんな事をボソボソ呟いている。
 た、多分大丈夫だろうけど、エミカに寝室に寝かせるように頼んでおいた。

 ベッドの縁にゴーを座らせて、俺は何があったのか、どこまで覚えているかを聞いた。
「まだ体調も万全じゃないから無理して思い出したり話したりしなくてもいいから。絶対に無理はしないでくれ」
 そう念をおしておいた。エミカも戻ってきた所でゴーは話し始めた。

 ゴーの話しでは、貴族の中に王に反発する勢力があるらしく、その一派が軍権を握るべく人を送り込んだり懐柔しているようだ。
 ゴーの補佐についた人物をゴーは疑っていたのだが、最終的にその人はゴーを助けて死んでしまったようだ。犯人はその補佐官の下についた下士官の二人だったが、その二人も既に死んでしまったらしい。
「私は自分の目で見て、共に行動すればわかると自信があったのだが・・・もうどこまでやつらが浸食しているのかわからない。ローレン卿なら大丈夫だと思うが、万が一もある。十分に警戒したほうが良いと伝えないと安心できない」
 そう言われると、普段しっかりしていて、油断なんてしなそうなゴーがここまでの傷を負ってしまうような手段を準備できるような相手だ。警戒しすぎるなんてことはない。
「でも、さすがにローレン卿を襲撃なんてないんじゃないか?」
「やつらは巧妙だ。豚人の襲撃の影で暗躍しているのは間違いない。混乱のどさくさに紛れての襲撃はある」
 ゴーは確信しているようだ。
「ケン。私は体調が回復次第、閣下の元へ一度戻ろうと思う。今しばらくは別行動になるが、許してもらえるか?」
 俺は何かゴーの言い方に違和感をおぼえた。素直にそれを告げた。
「いちいち俺の許可なんかいらないよ。ゴーが無事に・・・生きてまた会えるのならそれで十分だ。俺はゴーの上司じゃない。俺たちは「仲間」で「友達」だろ?」
 ゴーは一瞬涙を堪えるようなしわくちゃな顔になってから、笑顔になって
「ああ、そうだなケン」
 そう返事した。エミカも優しく見守っていたが、俺はちょっと恥ずかしくなって
「とりあえず、暴れないで安静にしてちゃんと食事をしなさい。これは命令だ!」
 そう言って三人で笑いあった。
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