異世界に転生したのにスキルも貰えずに吸血鬼に拉致されてロボットを修理しろってどういうことなのか

ピモラス

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逃走 窃盗 戦闘

再び、王都へ

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 ゴーには休養を申しつけ、ジンナやヒロミス、長老に食事の世話をしながら様子を見ておいてほしいと頼んできた。
 俺たちはゴーが回復するまで、いつもの荷物運搬と言う名の盗賊稼業に精を出していた。
 アレックスにもゴーの言っていた事態とローレン卿の事を伝えた。
「・・・セバスチャンなら大丈夫だろう」
 そう言っていたが、少し心配しているようで、たまに遠くを見つめているようだ。

 グリフィン騒動やゴーの事もあったが、俺はこの先の事を考えていた。
 エミカの一族の手助けをするかわりにエータの修理をする。
 それが目的なのはかわらない。
 しかし、村の安全や安定して生活できる環境を整えておかないと、エミカの一族が移住してきても生活できないかもしれない。
 そう思って村の復興を手伝いながら、グリフィン討伐や豚人の警戒をしていた。
 グリフィンは撃退したし、豚人も最近はなりを潜めている。
 ゴーは順調に回復しているようだ。きっと一人で王都に戻ったほうが軍に潜伏したりして行動がしやすいだろうし。
 ジンナとは一緒にいたい。
 けれど、エミカとの約束やエータの修理も進めなければ・・・
「今日、村に戻ったら長老に相談してみよう」
 俺はひそかにそう決意した。


 今日も砦からの物品を馬車に積み込んで村に戻った。
 馬車で運搬できるといっても、一日一往復。おそらく砦には100人規模の人が生活していただけの物品がある。まだまだ大量のベッドなどの家具や食器があった。
 村では新しい家具を使用し、古い家具などを解体し、外周の柵や各家の補修などに当てていた。
 見た目がつぎはぎな家でも実用性は高いようだ。
「ケン殿、今日も大量ですな。お陰で住民の生活の質も向上してきているようです」
 寝具や衣服も元兵士のキレイなものを使用している人が多い。
「長老、後で少しお話しがあります。俺の仲間も集めてですが・・・」
「ええ、構いませんよ。出立の件ですな」
 やはり、長老にはすぐにわかったようだ。俺たちがいつまでも滞在しているとは思っていないだろうとは思っていたが。

 荷物を下ろし、後はロイ達に任せて俺たちは長老の家に集まった。
「長老、それとみんなにも聞いてほしいんだけど、そろそろエミカの一族の元に向かわないか?」
 俺はそう話し始めた。
 ゴーが回復次第、ゴーと共に王都に向かう。
 ゴーは途中で軍を見つけたら一人で合流してもらうか、王都では別行動をしてローレン卿の元へ向かう。俺たちはエータと合流してエミカの一族の元へ向かう。
 ざっくりだがそんな説明をした。
「グリフィンも討伐したし、最近は豚人もこの周辺では見かけなくなりました。村も資源が増えて安定しているし・・・どうですか長老。許可していただけますか?」
 長老は背筋を伸ばして
「許可も何も、止める理由はありません。むしろ我々は感謝しかありません。私どもの為にお引止めして、さらに助力を願い出ている立場です。むしろ、足止めしていた事をお詫びさせていただきたい」
 そうして謝罪をしはじめたが、エミカが
「将来、我が一族の住まわせてもらう地になる村に尽くすのは当然だ。結果、自分達の為の行為だ。頭を上げてください」
 エミカの毅然とした態度に、長老も好感を持ったようで
「では、対等な立場として受け入れます。しかし、助力は惜しみません」
 その後も談笑しながら相談した。
 ゴーの回復の状況を見て、俺たちの旅立ちは三日後と決まった。


 俺たちは家に戻った。
 ジンナには事前に少し相談していたのだが、改めてゴーとジンナに報告をした。
 ゴーは少し痩せたが、体力もだいぶ戻ってきたようで毎日何時間も筋トレをしている。
 ジンナは少し悲しそうな顔をしながらも
「ケンが帰ってくるのを待っている」
 そう笑顔で答えてくれた。ゴーは
「私はいつでもいけます。出撃の下知を!」
 いや、元気になったのはいいけど、どこに出撃するんだ?とりあえず、無理をせず、しっかりと休養しておくように言っておいたけど、あんまり伝わっていないかもしれない。

 その後も俺たちは盗賊稼業に勤しみ、ついに旅立ちの日を迎えた。
 日の出前に出発準備を済ませた。
 ジンナは涙を堪えながらも笑顔で手を振っていた。
「私はすぐに戻るつもりだ!ケンはわからないけどな。そうしたらまた寝床を貸してくれ」
 エミカのお別れの挨拶で、ジンナは少し元気になったようで安心した。
 長老やヒロミス、ロイやユリと言った少数に見送られて俺たちは村を出た。

 朝日を受けながら、俺たちは王都を目指した。
 道中の街に寄るか、迂回したほうがいいのか馬車の中で話し合っていた。
 街道を使用したほうが馬車の速度もあがるし、馬の負担も減る。しかし、要らぬトラブルに巻き込まれる可能性もまたあがる。
 そんな話しをしているなかで、御者台のゴーから声がかかる。
「だいぶ先ですが煙が上がっています。あの方向は街の・・・」
 ゴーはこの先の街に以前来たようだ。
 兵舎の指揮官とは知り合いのようだ。指揮官は信頼できるが、どこにどれだけ裏切者がいるのかわからないと説明した上で
「危険かもしれませんが、街に向かってもいいですか?」
 俺は皆が頷くのを確認して「行こう」と答えた。

 街に入る前から、エルは「そんな・・・グリフィンは生きていたのか?」そう呟いた。
 門は開けっ放しになっており、警備の兵士はいない。
 そこかしこに倒れた人々と、それに肩を貸して助ける兵士や住民。
 それと豚人の死体。
 ゴーは兵舎の前で馬車を止めると飛び降りて兵舎に入った。
「おい、タウベ!タウベは、指揮官はどこだ?」
 そう叫んでいた。
 俺は一応警戒して、御者台をアレックスに頼み、エルとエミカは馬車から出ないように言い、ゴーの後を追った。

 俺とゴーは包帯を巻いた兵士に案内されて医務室に入る。
 医務室前の廊下までたくさんの人が寝かされている。兵士だけではなく、一般人も多い。
 室内の僅かなベッドに寝かされた人は、全身傷だらけで、額からはまだ鮮血が滴っていた。
「タウベ!無事・・・ではなさそうだが、生きているな!」
 ゴーもその顔を見て一瞬言葉に詰まっていたが、優しく肩に触れていた。
「おお、ゴー隊長!戻ってきてくれたのだな」
「そういうわけでは・・・ま、まあ状況を説明してくれ」
 タウベという人物は血を流しながらも大きな声で説明してくれた。
 今日の明け方、突風とともに片目の大鷲が現れて人を襲った。
 兵士を集め迎撃していると、呼応したように豚人も集まってきた。
 大鷲は豚人の一味なのかと思い、撤退を考えた時には豚人が大鷲に襲われた。
 大鷲は荒れ狂い、兵士も一般人も豚人も見境なく襲い暴れる。
 混乱の中、豚人との前線で少しでも統率を取ろうとタウベが奮戦していると、大鷲は唐突に去っていった。
 豚人の残党を討伐した所でタウベは倒れたようだ。
「ありゃなんだ?てっきり豚人が引きつれているのかと思った時には敗戦を覚悟したね」
「ああ、疲れてる所無理を言ってすまなかったな。しかしお前がいれば再建できるな。ゆっくり休んでくれ」
 ゴーはやや強引に話しを終わらせて立ち去った。

 そ、そんな・・・グリフィンは死んでいなかったのか?
 俺はあの時に動かなくなるのをこの目で見たのに・・・頭をアレックスに踏まれてピタリと動きを止めて・・・ま、まさか・・・脳震盪で止まっただけだったのか?
 その後、数人の兵士にグリフィンの飛び去った方向を聞いて、俺たちはさらに驚愕した。
 王都方面に向かって飛び去ったと数人が証言したのだ。
「とにかく王都を目指そう」
 そうして俺たちは王都に向けて馬車を出発させた。
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