ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん

文字の大きさ
276 / 278

第二百七十四話:絶対零度の地下迷宮。大地の澱みと、氷河帝蟹(エンペラー・クラブ)の姿茹で

しおりを挟む

 ピピッ! ピピッ! ピピッ!

 500年モノの究極の氷温熟成マンモスステーキと、暴力的なまでに甘い雪中キャベツがもたらした至福の満腹タイム。
 俺たちがキャンピングカーの床暖房の上で極楽浄土を漂っていたその時、ダッシュボードのシステムコンソールがけたたましいアラート音を鳴らした。

 【警告:巨大なマナの歪みを検知】
 【推定:『大地の澱み(浄化目標)』の根源、あるいは未知の神話級食材の可能性アリ】

「食後の運動と行こうか」

 俺はパンパンに膨れたお腹をさすりながら立ち上がり、運転席へと陣取った。
 ソナー・レーダーが示す震源地は、現在地からさらに奥深く――分厚い永久凍土を何百メートルも下った、地底の底の底だ。

「ルークス君、正気かね!? この足元の氷河をどうやって掘り進むというのだ!?」
「決まってるでしょう。最短距離を『真っ直ぐ』です」

 俺はニヤリと笑い、キャンピングカーの魔導コンソールを操作した。

「システム・オールグリーン。『魔導熱線砲(メルティング・カノン)』、下部マウントへ展開。最大出力で照射開始!」

 ズギュゥゥゥゥンッ!!!!!

 車体底面から放たれた超高熱の赤いレーザーが、マイナス50℃に冷え切った永久凍土をジュワァァッ!と爆発的な水蒸気に変えて融解していく。
 キャンピングカーは、自らが溶かした氷の縦穴をエレベーターのように垂直降下し始めた。
 周囲は真っ白な水蒸気に包まれ、ガガガガッという振動が車体を揺らす。

「ひぃぃぃっ! 落ちてる! 落ちてますわルークス様!」
「ギャハハハ! ジェットコースターみたいだぞ主!」

 エレナ様が悲鳴を上げ、フェンが尻尾を振って喜ぶ中、数分間の垂直落下(という名の採掘)が続いた。

 ――ズズゥンッ。

 やがて、熱線砲が氷を貫き、キャンピングカーは広大な空間へとフワリと着地した。
 ホバーの推進力で姿勢を制御し、周囲の蒸気が晴れていく。

「……着いたぞ。ここが、アラートの震源地だ」

 俺たちはヘッドライトを点灯させ、窓の外を見た。
 そこは、息を呑むほどに美しく、そして恐ろしい「死の世界」だった。

 見渡す限りの巨大な地下空洞。
 壁も天井も、すべてが青白く発光するクリスタル氷で覆われている。天井からは巨大な氷柱(つらら)がシャンデリアのように垂れ下がり、鏡のように磨き上げられた氷の床が、車のライトを乱反射している。
 大気中の水分すら瞬時に凍りつく絶対零度の世界。吐く息は一瞬でダイヤモンドダストに変わり、キラキラと空宙を舞う。

「なんて美しい……。ですが、背筋が凍りつくような冷気を感じますわ」

 20万ポイントの『絶対結界付きダウンジャケット』を着ていなければ、窓越しの冷気だけで心臓が止まっていただろう。

「ルークス君、あれを見たまえ! 地底湖だ!」

 ガリウス所長が指差した空洞の中央には、凍りつくことなく青黒い水をたたえた巨大な地底湖が存在していた。
 そして、その湖の中心。

 ブクブク、ブクブク……。

 湖底から不気味な泡が立ち上り、周囲の氷から生命力とマナを吸い上げるようにして、どす黒い「氷苔」が異常繁殖していた。

「あれが……『大地の澱み』! 古代の呪われた氷苔だ! あれがマナの循環を阻害し、この大陸全体を極寒の地へと変えている元凶なのだ!」

 所長が震える声で解説した、その瞬間。

 ザバァァァァァァァンッ!!!!

 地底湖の水面が爆発し、想像を絶する巨大な「何か」が姿を現した。

「なっ……!?」

 それは、全身を分厚い氷の装甲と、呪われた氷苔で覆われた、超巨大な甲殻類だった。
 全幅は30メートルを超えようかという規格外のサイズ。
 鈍く光る十本の脚。そして、キャンピングカーすら一撃で両断できそうな、凶悪な巨大ハサミ。
 青白い冷気を吐き出しながら、八つの複眼が俺たちをギョロリと睨みつける。

 【鑑定結果】
 【対象:氷河帝蟹(エンペラー・クラブ)】
 【状態:『大地の澱み』寄生による凶暴化・巨大化】
 【装甲:絶対零度の氷殻(物理・魔法完全反射)】
 【危険度:神話級(世界を凍らせる者)】

「ひ、氷河帝蟹……!? 神話に名を残す氷の暴君が、大地の澱みに寄生されて蘇ったというのか! ル、ルークス君! 逃げるんだ! あれは物理攻撃も魔法も通じない『絶対零度の装甲』を持っている! 我々の手に負える相手ではない!」

 ガリウス所長が、顔面を蒼白にしてキャンピングカーのドアノブにしがみついた。
 巨大なハサミが振り上げられ、地底湖の冷気が一気に収縮し、究極の氷結魔法が放たれようとしている。
 まさに、絶望。世界の終わり。

 だが。
 俺は、シートベルトを外し、歓喜に打ち震えていた。

「所長。あんた、あれがただの化け物に見えるのか?」

「はっ? 何を言っているのだ!? あれはどう見ても世界を滅ぼす災厄……」

「バカ言っちゃいけない」

 俺は、ヨダレで口の周りをビチャビチャにしながら、キャンピングカーの扉を蹴り開けた。

「マンモス(極上肉)の次は、超特大のカニ(最高級海鮮)か!! 山の幸の後に海の幸! このコース料理、完璧すぎるだろ!!」

「……え?」

 所長がぽかんと口を開ける。
 だが、俺の目には、あの恐ろしい巨大怪物が「カニ味噌がギッシリ詰まった、歩く巨大な宝箱(タラバガニ)」にしか見えていなかった。
 あの極太の脚の中には、プリプリの身がはち切れんばかりに詰まっているはずだ。甘くて濃厚なカニの身。それをポン酢で……いや、ここはカニ酢でさっぱりと!
 想像しただけで、さっき満腹になったはずの胃袋が、ブラックホールのように新たなスペースを空け始めた。

「フェン! 出番だ! 極上のシーフードのお出ましだぞ!」
「ガウッ! 海鮮か! 生臭いのは嫌いだが、主が言うなら美味いのだろう!」

 俺とフェンは、マイナス50℃の地下空洞へと飛び出した。

『グシャァァァァァッ!!』

 氷河帝蟹が、俺たちを「邪魔なゴミ」と認識し、キャンピングカーほどもある巨大な右のハサミを振り下ろしてきた。

「危ないッ!」

 ドゴォォォォンッ!!
 氷の床が粉々に砕け散る。
 だが、俺とフェンは低重力(のような身軽さをもたらす防寒具)を利用し、紙一重で回避していた。

「おいフェン! 気をつけろ! 絶対に甲羅を割るなよ! カニ味噌がこぼれたら万死に値するぞ!」
「無茶を言うな! ならどうやって倒すのだ! 我の風の刃も、あの氷の甲羅には弾かれるぞ!」

 フェンの言う通りだ。
 絶対零度の氷殻は、物理攻撃も魔法も完全に反射する。俺の『真・アダマンタイトの鍬』で叩き割ることは可能かもしれないが、それでは中身の極上の身や味噌が台無しになってしまう。
 カニを倒す(調理する)ための、最適解。
 料理人(農民)なら、誰でも知っていることだ。

「決まってるだろ! カニはな……『茹でる』のが一番美味いんだよ!!」

「ゆ、茹でる……!?」

 俺は虚空をタップし、アイテムボックスを全開にした。
 そして、以前の火山エリアのクエスト報酬やポイントショップで買い漁り、死蔵していた『あるアイテム』を大量に引っ張り出した。

「喰らえ! 【間欠泉の熱石(極大・発熱魔石)】×100個だァァァッ!!」

 俺は、燃え盛るマグマのような赤い光を放つ巨大な熱石を、次々と地底湖へと放り投げた。
 ボチャン! ジュワァァァァッ!
 熱石が沈むたびに、絶対零度の地底湖の水が猛烈な勢いで沸騰していく。

「まだまだァ! ガリウス所長! キャンピングカーの『魔導熱線砲』を湖底に向けてフル稼働させろ! 最大出力だ!」
「む、無茶苦茶だ! 湖を沸騰させる気か!?」
「そうだ! ここはダンジョンじゃない! 超巨大な鍋だ!!」

 ズギュゥゥゥゥンッ!!
 キャンピングカーからの熱線が地底湖を撃ち抜き、水温が急激に上昇していく。

「フェン! お前の風魔法で湖の水をかき混ぜろ! 熱を均等に行き渡らせるんだ! 対流を作れ!」
「我をミキサー代わりに使う気か! ええい、やってやるわ! 『大竜巻(グランド・トルネード)』!!」

 フェンが起こした巨大な竜巻が、沸騰する地底湖の水をかき回す。
 マイナス50℃の地下空洞が、一転して巨大なサウナ――いや、地獄の釜茹で会場へと変貌した。

 ボコボコボコボコッ!!!
 凄まじい水蒸気が立ち上り、視界が白く染まる。

『ギ、ギィィィィ……!?』

 氷河帝蟹が、急激な水温上昇にパニックを起こして暴れ回る。
 自慢の絶対零度の甲羅が、沸騰するお湯によって急速に溶かされ、寄生していた『大地の澱み(氷苔)』も熱で剥がれ落ちていく。

「逃がすか! おとなしく赤くなれ!」

 俺は『真・アダマンタイトの鍬』を構え、湖から這い出ようとする巨大カニの脚を、ミネストローネの具材を鍋に押し込むように、峰打ちでバンバンと叩き落とした。

『グギュルルルルル……ッ!!』

 ボコボコと沸き立つ超巨大な鍋(地底湖)の中で。
 青白く不気味だった巨大カニの甲羅が、徐々に、しかし確実に色を変えていく。
 青から紫へ。紫から……鮮やかで、食欲を暴力的にそそる、見事な「赤」へ。

「おおおっ……! 色が変わっていくぞ! なんて美味そうな色だ!」

 熱を通すことで、甲殻類特有のアスタキサンチンが発色し、地底湖は巨大な海鮮スープの香りに包まれていった。
 カニの旨味が溶け出したお湯の匂い。
 磯の香りと、極上の出汁の香り。
 ダンジョンのボスの死臭など微塵もない。そこにあるのは、完全に「茹で上がった極上のタラバガニ」の匂いだった。

「ルークス君……君は、神話級の怪物を、ただの『茹でガニ』にしてしまったのか……?」

 ガリウス所長が、キャンピングカーの窓から顔を出し、信じられないものを見る目で呟いた。

 やがて、カニの動きが完全に止まり、地底湖の沸騰も収まった。
 水蒸気が晴れた後。
 そこには、見事なまでに全身が真っ赤に茹で上がり、湯気を立てている、超巨大な【氷河帝蟹の姿茹で】が鎮座していた。

 [システムログ]
 [浄化完了:大地の澱み(氷河大陸)]
 [討伐(調理)完了:氷河帝蟹(エンペラー・クラブ)]
 [ドロップアイテム:神話級・帝蟹の極太脚肉×20トン、究極の帝蟹味噌×5トン]

「……完璧だ。最高の茹で加減だぞ」

 俺は、ごくりと喉を鳴らし、『真・アダマンタイトの鍬』をカニ割り用のハンマーのように構え直した。

「さあ、みんな! 最高のカニパーティー(解体作業)を始めようか! エレナ様、マリアさん! カニ酢の準備はいいか!?」

「「「はいっ!!」」」

 キャンピングカーから、フォークとカニ酢を持った女性陣(とフェン)が、歓声を上げて飛び出してきた。
 極寒の地底迷宮は今、世界で一番熱く、そして美味しい宴の会場へと姿を変えたのだった。


【読者へのメッセージ】
第二百七十四話、いかがでしたでしょうか。
神話級のボスモンスターすら「巨大な鍋の具材」として処理してしまうルークス。
地形を変えるレベルの強引な調理法で、青白いカニが真っ赤に茹で上がっていくシズル感をお楽しみいただけたでしょうか。
「甲羅を割るな! カニ味噌がこぼれる!」という、戦闘中とは思えない怒号が本作の真骨頂です。
さて、大地の澱みを浄化(姿茹でに)し、見事に極上のカニを手に入れた一行。
次回は、いよいよお待ちかねのカニ実食&解体パーティーです!
プリプリの極太の身と、濃厚なカニ味噌の海に溺れる準備はよろしいですか?
続きが気になる方は、ぜひブックマークと評価をお願いします!
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

辺境の落ちこぼれと呼ばれた少年、実は王も龍も跪く最強でした

たまごころ
ファンタジー
村で「落ちこぼれ」と呼ばれた少年アレン。魔法も剣も使えず、追放される運命だった。 だが彼の力は、世界の理そのものに干渉する“神級スキル”だった。 自覚のないまま危機を救い、美女を助け、敵を粉砕し、気づけば各国の王も、竜すらも彼に頭を下げる。 勘違いと優しさと恐るべき力が織りなす、最強無自覚ハーレムファンタジー、ここに開幕!

転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!

nineyu
ファンタジー
 男は絶望していた。  使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。  しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!  リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、  そんな不幸な男の転機はそこから20年。  累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!

【完結】ここって天国?いいえBLの世界に転生しました

三園 七詩
恋愛
麻衣子はBL大好きの腐りかけのオタク、ある日道路を渡っていた綺麗な猫が車に引かれそうになっているのを助けるために命を落とした。 助けたその猫はなんと神様で麻衣子を望む異世界へと転生してくれると言う…チートでも溺愛でも悪役令嬢でも望むままに…しかし麻衣子にはどれもピンと来ない…どうせならBLの世界でじっくりと生でそれを拝みたい… 神様はそんな麻衣子の願いを叶えてBLの世界へと転生させてくれた! しかもその世界は生前、麻衣子が買ったばかりのゲームの世界にそっくりだった! 攻略対象の兄と弟を持ち、王子の婚約者のマリーとして生まれ変わった。 ゲームの世界なら王子と兄、弟やヒロイン(男)がイチャイチャするはずなのになんかおかしい… 知らず知らずのうちに攻略対象達を虜にしていくマリーだがこの世界はBLと疑わないマリーはそんな思いは露知らず… 注)BLとありますが、BL展開はほぼありません。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...