現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん

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第224話:星降る夜の演奏会と、古き記憶の残響

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星からの招待状

『共生の庭』での「暴走カボチャ事件」から数日。
不器用ながらも、少しずつ土に馴染もうとする星屑の民たちの姿は、今や職人たちにとっても微笑ましい日常の風景となっていた。

ある日の午後、作業の手を止めたエコーが、アークとアルフォンスの元へやってきた。
『……創造主、盟主。提案ガ、アル』
エコーは、体の明滅を少し速め、もじもじしているように見える。
『先日ノ「スープ」ノ、御礼ガシタイ。我ラノ文化、「星ノ旋律(スター・シンフォニー)」ヲ、披露サセテホシイ』

「星の旋律?」
アークが尋ねると、エコーは誇らしげに胸のコアを輝かせた。
『光ト、振動(音)デ、心ヲ伝エル儀式。……貴公ラノ「歌」ニ、近イ。感謝ヲ、形ニシタイ』
「へぇ、そいつは楽しみだ!」
アルフォンスが快諾し、その夜、建設中の庭で即席の演奏会が開かれることになった。

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光のオーケストラ

夜の帳が下りると、庭にはダグやグンナル、セーラたち陽だまりの街の仲間たちに加え、噂を聞きつけたエルフたちも興味津々で集まっていた。
中央の広場に、エコーたち星屑の民十数体が円を描いて整列する。

『……開始』
エコーの合図と共に、彼らの体がふわりと浮遊した。
**キィィン……コォォン……**
澄み切った金属音が響き渡る。それは楽器の音ではない。彼らの体を構成する『星屑鋼』そのものが共鳴し合う、星のさざめきのような音色だ。
同時に、彼らのコアから無数の光の粒子が放出された。
光は空中で幾何学模様を描き、螺旋を描き、まるで生きているかのように舞い踊る。

「うわぁ……綺麗……」
リーリエが息を呑む。
青、銀、紫。冷たくも美しい宇宙の色彩が、夜の森を幻想的に彩っていく。

アークの膝の上で、相棒のウルが「きゅいっ!」と身を乗り出した。目の前をふわふわと漂う光の粒を、蝶々だと思ったのか、無邪気に前足で捕まえようと空を切る。光の粒が鼻先に触れてパチンと弾けると、ウルは「くしゅん!」と可愛らしくくしゃみをして、アークの胸に顔を埋めた。
その愛らしい光景に、観客たちから温かい笑い声が漏れた。

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温もりの学習成果

演奏が進むにつれ、光の色に変化が現れた。
これまでの彼らにはなかった、暖色――スープのような黄金色や、ランタンのような柔らかな橙色の光が混じり始めたのだ。
それは、彼らがこの街で触れた「温もり」や「人々の笑顔」を表現しようとした、学習と感謝の成果だった。

『……届ケ。我ラノ、感謝……』
エコーたちの想いが、光の雨となって降り注ぐ。
冷たい宇宙の輝きと、地上の温かい灯火。異なる二つの光が混ざり合い、見たこともない美しいオーロラとなって夜空を覆った。
職人たちは仕事の手を止め、涙ぐみながらその光を見上げていた。言葉はなくとも、心は確かに通じ合っていた。

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古き記憶の残響

演奏が最高潮に達した時、不思議な現象が起きた。
彼らの共鳴音に呼応して、背後にそびえる**『古代遺跡』の壁面が、低く唸るように振動し始めたのだ。**
「……なんだ!?」
アルフォンスが警戒して立ち上がる。

遺跡の頂上から、一筋の光が天に向かって放たれ、それがスクリーンとなって空中に巨大な映像を投影した。
それは、彼ら星屑の民の「記録(ログ)」ではなく、この星自身が記憶していた「過去の映像」のようだった。

映し出されたのは、遥か太古の空。
燃え盛る赤い星から逃げ延び、傷つき、ボロボロになって宇宙を漂う、一隻の巨大な『舟』(彼らの祖先)。
力が尽き、墜落しようとする舟。
だが、この星の大気圏に突入した瞬間、地上から二色の光――**黄金と白銀の光**が伸び、その舟を優しく受け止めたのだ。
それは、当時の『陽の世界樹』と『陰の世界樹』が、枝を伸ばして迷子を抱きとめるような姿だった。

『……! コレハ……』
エコーたちが、演奏を忘れてその映像を見つめる。
映像の中の舟は、森の奥深くに軟着陸し、やがて木々に覆われ、眠りにつく。
それは「侵略」でも「不時着」でもなかった。
**この星が、傷ついた旅人を「招き入れ、守った」瞬間だったのだ。**

#### 
星と大地の絆

映像が霧散し、静寂が戻る。
「……そうか」
アークが、静かに呟いた。その目は、真実を知った喜びに濡れている。
「君たちは、迷子じゃなかったんだ。この星が、君たちを助けたんだね」

エコーが、震えるように明滅した。
『……我ラハ、拒絶サレタノデハナカッタ……。守ラレテ、イタ……?』
数万年の孤独と、「自分たちは異物なのではないか」という恐怖が、その真実によって解き放たれていく。
『……感謝スル。コノ星ニ。ソシテ、気ヅカセテクレタ、陽ダマリノ民ニ』

エコーは、アークたちの前に降り立つと、その機械の体を深く折り曲げた。
それは、以前の形式的な礼ではない。魂からの、深い敬愛の礼だった。

宴のあと、アークはアルフォンスと共に、静かになった庭を見渡した。
「兄さん。この『共生の庭』は、きっとすごい場所になるよ。星の記憶と、大地の記憶が繋がる場所だ」
「ああ。俺たちの仕事は、まだまだこれからだな」

星空の下、ウルが満足げに欠伸をする。
その夜、陽だまりの街は、かつてないほど優しい夢に包まれて眠った。

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