異世界ほのぼのクッキングロード ~元フードコーディネーター、不思議な食材で今日も一皿~

はぶさん

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第37話 故郷への帰路と、職人のバウムクーヘン (37-1)

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ドワーフの王国『ボル・ダライン』を救った英雄として、盛大な宴で見送られた俺たち。
国中のドワーフたちが、別れを惜しんで、涙を流してくれた。王は、最高の謝礼を、と言ってくれたが、俺は何も受け取らなかった。この冒険で得た、新しい友との絆と、弟子たちの成長。それ以上の宝物は、ないのだから。

俺と、一番弟子のレオ、そして最高の相棒モグモグは、鍛冶師ボルギンと共に、懐かしき港町への帰路についていた。
旅の雰囲気は、行きとは、全く違っていた。
レオをはじめとする弟子たちの顔には、もう、王都育ちの若者のような、脆いプライドはない。泥と汗にまみれ、困難を乗り越えた、一人の職人としての、静かな自信が満ち溢れていた。

そして、旅の最後の夜。
港町の灯りが、もう遠くに見える、最後の野営地で。
俺たちは、焚き火を囲んでいた。

「……師匠」
焚き火の炎を見つめながら、レオが、ぽつりと、静かに言った。
「俺たち弟子は、この旅で、本当に、成長できたのでしょうか……?」

その問いは、ここにいる、全ての弟子たちの、心の声だった。
俺は、その、真摯な瞳を見つめ返した。
そして、言葉ではなく、一つの料理で、彼らの問いに答えることを、決意した。

「……お前たち、最後の授業を始める」

俺は、静かに立ち上がった。
そして、旅の荷物の中から、一本の、磨き上げられた木の棒を取り出した。

「今から、この焚き火の上で、菓子を作る。厨房もない、この場所で作るには、あまりにも無謀で、そして、究極の職人技が試される、焼き菓子をな」

俺の言葉に、弟子たちだけでなく、ドワーフのボルギンも、驚きの顔を向ける。

俺が、弟子たちへの**「この旅の集大成」として作り始めるのは。
焚き火の上で、一本の芯木(しんぎ)を回し続け、そこに、生地を、薄く、薄く、何層にも、何層にも、焼き重ねていく――『バウムクーヘン』**。
菓子の王様と呼ばれる、その一皿だった。
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