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第50話 融和の石焼きビビンバと、一つの食卓 (50-2)
しおりを挟む翌日、大洞窟には、村中のゴブリンたちが、固唾をのんで集まっていた。
俺は、まず、両派閥に指示を出した。
「長老派の方々は、村に残された最後の**『月光茸』**を。若者派の方々は、あなた方が見つけた、**地上の芋やハーブ**を。それぞれの誇りを、ここへお持ちください」
やがて、洞窟の両端に、二つの食材の山が築かれた。片や、淡い光を放つ神聖なキノコ。片や、泥にまみれた、生命力あふれる根菜。それは、この村の分裂を、そのまま象徴しているかのようだった。
俺は、その中央に立ち、**『石焼きビビンバ』**作りを宣言する。
「この料理は、まだ完成していません。あなた方自身の手で、完成させるのです」
俺はまず、**ナムル**…つまり和え物作りから始めた。
「最高の調和は、それぞれの個性を、まず認めてあげることから始まります。月光茸には月光茸の、芋には芋の、最高の輝かせ方がある。それらを無視して一つの鍋に放り込むのは、対話の放棄です」
俺の指示のもと、長老たちは若者に月光茸の扱い方を教え、若者たちは長老たちに芋の甘みを引き出す方法を教える。最初はぎこちなく、敵意さえあった彼らが、食材を通して、徐々に対話を始めたのだ。
最高のビビンバには、最高のタレが必要だった。
「きゅいん!」
その時だった。モグモグが、洞窟の奥の、誰も近づかなかった祭壇の裏から、一つの小さな壺を運んできたのだ。中には、地熱で何十年も熟成されたという、赤黒いペースト状の苔**『竜の舌苔(りゅうのぜったい)』**が入っていた。
「族長! これは…!」
ゴブリンたちが息を呑む。それは、辛みと、強烈な旨味を持つ、彼らの伝説の調味料だった。
俺は、その『竜の舌苔』をベースに、最高のタレを作り上げた。役者は、全て揃った。
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