役立たずの【種子生成】スキルで追放されたので、辺境でもふもふドラゴンと自由に生きることにした

はぶさん

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第十八話 ドワーフの石積みと、夏夜の夢 第三部『完成した醸造所と、それぞれの役割』

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夏の太陽の下、僕たちの郷の一大計画は、数週間の時を経て、ついに完成の時を迎えた。
ズボラが、ドワーフの斧で彫り上げた、美しい龍の飾りがついた樫の木の扉を、ゆっくりと石の壁にはめ込む。ギシ、という重々しい音は、新たな歴史の扉が開く音のようだった。ギムレットさんが、その最後の仕事ぶりを、厳しい、しかし満足げな眼差しで見守っている。
僕たちの目の前には、郷で初めてとなる、石造りの壮麗な建物が、どっしりと大地に根を下ろしていた。
苔むした森の風景に、まるで何百年も前からそこにあったかのように自然に溶け込む、美しく、そして堅牢なドワーフ建築。それは、まさしく僕たちの「夢の城」だった。
「……できた」
誰かが、ぽつりと呟いた。
その場にいた、僕も、ガラクも、ズボラも、そして手伝いに来てくれていたドガたちオークも、ただ、言葉を失い、自分たちが作り上げた傑作を、感無量で見上げていた。
ズボラは、自分が初めてゼロから学んで組み上げた石壁を、誇らしげに、そして愛おしそうに撫でている。**(俺が……これを……)**彼の胸には、"ガラクタ"ではない、本物の職人としての確かな自信が、温かい灯火のように宿っていた。
ギムレットさんは、数十年の時を経て、再び自分の城を取り戻した王のように、その胸を張っていた。**(長かった……じゃが、一人では、決してこの城は建たなかった……)**
「……見事なもんだな」
ドガが、心からの感嘆の声を漏らす。彼らオークがいなければ、この城は決して完成しなかった。これは、郷の仲間たち全員の、そして、種族を超えた友情の結晶だった。

僕たちが、その達成感に浸っていた、その時だった。
ギムレットさんが、パン、と力強く手を叩いた。
「おい、小僧ども!いつまで見とれておる!外側ができただけじゃぞ!」
彼は、ニヤリと、悪戯っぽく笑った。
「本当の仕事は、ここからじゃ!」
ギムレットさんは、完成したばかりの醸造所を指さし、次なる段階を高らかに宣言した。
醸造設備の設置と、伝説のエールを造るための、長い長い仕込みの始まりを。
彼は、まるで軍隊の司令官のように、僕たち仲間たちに、それぞれの新たな役割を言い渡した。
「ズボラ!お前ほどの腕なら、わしのエールを熟成させる、最高の樫の木の樽が作れるはずじゃ!わしの生涯最高の傑作を、お前の最高の樽で眠らせてみたいとは思わんか!」
「……!ああ、任せてくれ、師匠!俺の魂を込めて、最高の樽を彫り上げてみせる!」
ズボラが、職人として、最高の挑戦に目を輝かせる。
「ガラク!シルヴァン!お前さんたちは、この醸造の『心臓』を任せる!」
ギムレットさんは、僕とガラクの肩を、力強く叩いた。
「わしの伝統の酵母と、シルヴァンの生み出した奇跡の酵母。この二つを最高の状態で培養し、エールに命を吹き込むのが、お前さんたちの仕事じゃ!」
「へへっ、面白え!最高の酒の心臓、この俺が握ってやるぜ!」
ガラクが、不敵な笑みを浮かべた。
そして、最後に、ギムレットさんは、静かに佇むハグレへと向き直った。
「そして、お嬢ちゃん。お前さんには、最も重要な役割がある。この醸造所の、全ての水の管理者、**『水の主(ウォーター・マスター)』**じゃ。お前さんの承認なくして、一滴の水も、この釜に入ることは許さん!」
最高の樽を作る職人。
最高の酵母を育てる料理人と、創造主。
そして、最高の水を供給する、龍の主。
**ハグレは、その荘厳な役職名に、一瞬きょとんとした顔をしたが、やがて、自分がどれほど重要な役割を任されたのかを理解すると、胸を張り、「ふしゅん!」と一つ、誇らしげに、そして力強く鼻を鳴らした。**
建物の完成という一つのゴールは、最高の酒を造るという、新たな物語の始まりに過ぎなかった。
僕たちの、次なる協奏曲の、高らかな序曲が、夏の郷に響き渡った。
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