役立たずの【種子生成】スキルで追放されたので、辺境でもふもふドラゴンと自由に生きることにした

はぶさん

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第十八話 ドワーフの石積みと、夏夜の夢 第2部『発明の喜びと、料理人の知恵』

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数日後。ズボラの、職人としての魂が込められた郷の発明品第一号、木製の簡易「クレーン」が、ついにその姿を現した。
それは、僕が描いた拙い設計図を、ズボラが見事に実用的な形へと昇華させた、木工技術の結晶だった。滑らかに磨き上げられた滑車、オークの怪力でもびくともしない強靭な蔓(つる)を編み込んだロープ、そして、全体のバランスを取るための、絶妙な位置に配置された重石。
「よし、試してみるぞ!」
ドガたちオークも、「こんな木のオモチャで、本当にあの岩が上がるのか?」と、半信半疑といった顔で、その様子を見守っている。
僕たちは、クレーンのロープを、昨日ズボラがどうしても持ち上げられなかった、巨大な石材に括り付けた。そして、オークの若者たちが、数人がかりで、掛け声と共に、ロープの反対側をゆっくりと引き始める。
ギシギシ、と木が軋む音。
ロープが、はち切れんばかりに張り詰める。
次の瞬間、あれほど僕たちを苦しめた巨大な石材が、まるで羽のように、ふわり、と宙に浮いたのだ。
「「「おおおおおおっ!浮いた!石が浮いたぞ!」」」
オークたちから、童心に返ったような、驚きと喜びの雄叫びが上がる。
ギムレットさんも、その光景を、腕を組んで、じっと見ていた。彼は、僕の設計図を一瞥した時と同じように、ゆっくりとクレーンに近づくと、その構造、木の組み方、滑車の動きを、厳しい職人の目で検分している。
「ふん。小僧の考えそうな、奇妙な仕掛けじゃな。じゃが……理屈は、通っておる。ドワーフの知恵とは違うが、これもまた、一つの真理か」
頑固な師匠が、僕の異世界の知恵を、初めて認めてくれた瞬間だった。

クレーンの導入によって、壁と地下貯蔵庫の工事は、飛躍的にスピードアップした。
石壁は、日に日に、天に向かってその高さを増していく。
だが、僕たちの前に、新たな敵が立ちはだかった。季節は本格的な夏を迎え、容赦なく照りつける太陽の光が、仲間たちの体力を、じりじりと奪っていくのだ。特に、石の加工と運搬という重労働を担うオークたちやズボラの疲労は、日に日に色濃くなっていた。
「……よし!」
仲間たちのその様子を見ていたガラクが、厨房で、ポン、と手を打った。
彼は、まず、僕が書き留めていた薬草図鑑のページを、真剣な眼差しでめくり始める。「(疲労回復……滋養強壮……。ふむ、このハーブと、この草の根の組み合わせは、いけるかもしれねえな……)」
そして、涼しい顔で昼寝をしていたハグレの元へと向かった。
「ハグレちゃん、頼む!最高の氷を、ちょいとばかし分けてくれ!」
ハグレは、面倒くさそうに「ふしゅん」と鼻を鳴らしながらも、ガラクが差し出した大きな甕(かめ)の中に、ひんやりとした美しい氷を、たっぷりと生み出してくれた。
ガラクは、まず、森で採れた甘い果実を搾り、その氷でキンキンに冷やした、特製の果実ジュースを作った。そして、それを、真っ先にコハクとハグレの前に差し出す。
「ほらよ、お前たちも、毎日みんなを癒して、立派に働いてるからな。夏バテに効く、特製だぜ」
「きゅん!」「……くるる」
二匹は、嬉しそうに、その冷たいジュースを飲み始めた。
そして、ガラクは、本命の調理に取り掛かる。
砕いた氷と、数種類のハーブ、そして、汗で失われた塩分を補うための、貴重な塩をほんの少しだけ加えた、特製の**「魔法のスポーツドリンク」**。
それを、汗だくで働いていたズボラやオークたちに配ると、誰もが、その体に染み渡るような優しい味わいと、すっと疲れが引いていく不思議な感覚に、目を見開いた。
「……うめえ。なんだこれ、力が湧いてくるようだぜ……」
ズボラが、感動の声を漏らす。
シルヴァンの「クレーン」が、仕事の効率を上げた。
そして、ガラクの「魔法のドリンク」が、仲間たちの心と体を癒す。
僕たちの郷では、困難が訪れるたびに、仲間たちの知恵と優しさが、新たな発明を生み出していくのだった。
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