4 / 5
香水の君 4
しおりを挟む
俺がタンカルムの香水を作ってる本人と伝えると、香水の君は勿論、周りの、特に、令嬢達から息を飲む声をが聞こえてきた。
「あの、ルグラン様。私は、シャルロット・カルパンティエと申します」
「カルパンティエ……あぁ、カルパンティエ伯爵家のご令嬢ですね」
「左様でございます。ルグラン様が、タンカルムの香水を作られてるとの事で、失礼ながら、お声を掛けさせて頂きました。かの香水は素晴らしいお品と常々思っており、私もタンカルムの香水を、愛用しておりますの」
そして、俺が香水の君を抱き抱えてるにも関わらず、近寄って、こうやって声を掛けてくるものも出てくる始末だ。
俺の家は、数ある伯爵家の中でも末端の末端でしかない。
だから今まで、特に同じ伯爵家からしたら、相手にならないと思われており、こぞって声を掛けられる何て事は無かったんだがな。
こうもあからさまだと、いっそ清々しい程に醜くて笑える。
俺が作ってる香水は、自分が作ってるとか特に口外してなかった。
殿下や王女達も愛用している話は有名だから、作成主が分かれば、こうなるだろうとは思ってはいたのもあって、言わないでいただけだし。
「御愛用いただき、ありがたく存じます」
「えぇ、当然の事ですわ。宜しければ、色々お話したいのですが、如何? 香水について、色々お伺いしたいわ」
「有難いお申し出にはございますが、これからグラッセ子爵、子爵令嬢を、お送りしなければですので。それに、よろしいのですか?」
「? 何がかしら?」
「私は、調香師ではありません。貴族が作る香水は、金銭に困ってるのではないかと、そう思ってらっしゃるのでしょう?」
「!……、え、その、あれは……」
まさか聞かれていたとは、思っていなかったのだろう。
俺はにっこり笑みを浮かべると、焦る令嬢の方へ、もう視線を向ける事は無く、再び歩き出した。
ふと、視線を向ければ、香水の君が心配そうに、俺を見上げている。
「大丈夫ですよ。それよりも、ここは騒がしくて、体に響いてしまうね。すぐ馬車まで行くから、待っててくれるかな」
「は、はい」
素直に頷く香水の君。
こんな無駄話をしてる間にも、彼女の体調は悪くなっていっている。急がなくては。俺は従者の者と共に、馬車のある方へと彼女の体に負担が行かない程度の早さで向かった。
「ベル、具合はどうだい?」
「ありがとうございます、お兄様。先程まで、ルグラン様が運んでくださいましたし、今もこうして横になれてますから、楽ですわ」
馬車まで送るが、2人の体調が心配になり、付き添いをしても良いか聞くと、逆に申し訳なさそうに、グラッセ子爵令息と従者に、頭を下げられてしまったけれども。
馬車の中は、クッションやブランケットなどが常備されているらしく、香水の君を運ぶとすぐに、グラッセ子爵令息が、手馴れた動きで、香水の君を横にさせていった。
馭者も水を用意してきていたりと、慌てずに対応しているのもあり、良くある光景なのだろうなと思う。
カタカタと静かにゆっくり走り出す馬車の速さも、それを物語ってる。
「グラッセ子爵令息、君も休んだ方が良いのでは?」
「ありがとうございます。私は、熱までは出ておりませんので、このままで大丈夫です」
「そうか。だが、顔色はやはり良くない。無理はしないようにな」
「お気遣い、ありがとうございます」
柔らかな笑みを浮かべて、グラッセ子爵令息が、頭を下げる。
兄妹共に、柔らかなウェーブのかかったハニーブロンドの髪が、頭を下げる仕草だけでも、儚い印象を与える。
と、そこで強い視線を感じ、そちらへと顔を向けると、横になっている香水の君が、じっと俺を見つめていた。
「あの、ルグラン様。私は、シャルロット・カルパンティエと申します」
「カルパンティエ……あぁ、カルパンティエ伯爵家のご令嬢ですね」
「左様でございます。ルグラン様が、タンカルムの香水を作られてるとの事で、失礼ながら、お声を掛けさせて頂きました。かの香水は素晴らしいお品と常々思っており、私もタンカルムの香水を、愛用しておりますの」
そして、俺が香水の君を抱き抱えてるにも関わらず、近寄って、こうやって声を掛けてくるものも出てくる始末だ。
俺の家は、数ある伯爵家の中でも末端の末端でしかない。
だから今まで、特に同じ伯爵家からしたら、相手にならないと思われており、こぞって声を掛けられる何て事は無かったんだがな。
こうもあからさまだと、いっそ清々しい程に醜くて笑える。
俺が作ってる香水は、自分が作ってるとか特に口外してなかった。
殿下や王女達も愛用している話は有名だから、作成主が分かれば、こうなるだろうとは思ってはいたのもあって、言わないでいただけだし。
「御愛用いただき、ありがたく存じます」
「えぇ、当然の事ですわ。宜しければ、色々お話したいのですが、如何? 香水について、色々お伺いしたいわ」
「有難いお申し出にはございますが、これからグラッセ子爵、子爵令嬢を、お送りしなければですので。それに、よろしいのですか?」
「? 何がかしら?」
「私は、調香師ではありません。貴族が作る香水は、金銭に困ってるのではないかと、そう思ってらっしゃるのでしょう?」
「!……、え、その、あれは……」
まさか聞かれていたとは、思っていなかったのだろう。
俺はにっこり笑みを浮かべると、焦る令嬢の方へ、もう視線を向ける事は無く、再び歩き出した。
ふと、視線を向ければ、香水の君が心配そうに、俺を見上げている。
「大丈夫ですよ。それよりも、ここは騒がしくて、体に響いてしまうね。すぐ馬車まで行くから、待っててくれるかな」
「は、はい」
素直に頷く香水の君。
こんな無駄話をしてる間にも、彼女の体調は悪くなっていっている。急がなくては。俺は従者の者と共に、馬車のある方へと彼女の体に負担が行かない程度の早さで向かった。
「ベル、具合はどうだい?」
「ありがとうございます、お兄様。先程まで、ルグラン様が運んでくださいましたし、今もこうして横になれてますから、楽ですわ」
馬車まで送るが、2人の体調が心配になり、付き添いをしても良いか聞くと、逆に申し訳なさそうに、グラッセ子爵令息と従者に、頭を下げられてしまったけれども。
馬車の中は、クッションやブランケットなどが常備されているらしく、香水の君を運ぶとすぐに、グラッセ子爵令息が、手馴れた動きで、香水の君を横にさせていった。
馭者も水を用意してきていたりと、慌てずに対応しているのもあり、良くある光景なのだろうなと思う。
カタカタと静かにゆっくり走り出す馬車の速さも、それを物語ってる。
「グラッセ子爵令息、君も休んだ方が良いのでは?」
「ありがとうございます。私は、熱までは出ておりませんので、このままで大丈夫です」
「そうか。だが、顔色はやはり良くない。無理はしないようにな」
「お気遣い、ありがとうございます」
柔らかな笑みを浮かべて、グラッセ子爵令息が、頭を下げる。
兄妹共に、柔らかなウェーブのかかったハニーブロンドの髪が、頭を下げる仕草だけでも、儚い印象を与える。
と、そこで強い視線を感じ、そちらへと顔を向けると、横になっている香水の君が、じっと俺を見つめていた。
0
あなたにおすすめの小説
ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に
ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。
幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。
だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。
特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。
余計に私が頑張らなければならない。
王妃となり国を支える。
そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。
学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。
なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。
何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。
なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。
はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか?
まぁいいわ。
国外追放喜んでお受けいたします。
けれどどうかお忘れにならないでくださいな?
全ての責はあなたにあると言うことを。
後悔しても知りませんわよ。
そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。
ふふっ、これからが楽しみだわ。
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。
当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。
しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。
最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。
それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。
婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。
だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。
これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる