【悪役令嬢ゲームブック】正しいルートでトゥルーエンドを【ルートは7通り】

九十九沢 茶屋

文字の大きさ
17 / 30

【38】【39】【40】【41】

しおりを挟む
【38】

 書斎の時計が17時の鐘の音を告げて、その音に本の世界から現実へと意識が戻ってきた。
 もう17時になっていたのね。

「少しだけのつもりが、だいぶ時間が経っていたのね」

 このまま読書を続けるのも悪くないけれど、そろそろ夕食の時間だし、明日は、朝からパーティの支度で大わらわだものね。
 部屋に戻るとしましょう。

「うん、久し振りにのんびりとした一日だったわ」

わたくしはグーッと伸びをすると、本を書棚にもどすと、そのまま書斎を後にした。

 
⇒【63】へ進む



 ꕤ.。✼••⋅⋅⊱∘┈┈┈┈•>✾<•┈┈┈┈∘⊰⋅⋅••✼。.ꕤ



【39】

「楽しそうに弾いてたのに、邪魔しちゃった?」
「ううん、大丈夫よ。手慰みに弾いてただけだから」
「そうなの? 良かった」

 安心したようにホッと息を吐いてから、マティは、手にしていたバイオリンのケースからバイオリンを取り出した。

「あら、マティも弾きに来たの? わたくしは大分弾いたし、退散するわね」

「え、退散しないていいよ! 折角なんだし、一緒に演奏しない? 最近は義姉さま忙しくて、それどころじゃなかったでしょ?」


 ニコリと、やや不敵な笑みを浮かべながら、マティはバイオリンを構える。


 マティアスはバイオリン、わたくしはピアノで、前はよく一緒に演奏していたものね。お妃教育が始まってからは、家で楽しんで弾く、なんて時間はほとんどなくなってしまったけれど。

「今日は予定ないんでしょ? それともピアノの腕、なまっちゃった?」
「もう、そんな訳ないじゃない! お妃教育で時間取られたからと言っても、ピアノに触れる時間が全く無かった訳ではないのよ?」
「じゃ、いいじゃない。久し振りにさ。どう?」

 口調は強気に聞こえるけれど、わたくしを見上げながら言うその言葉から、わたくしと演奏をしたいというのが伝わってきて。マティは、こうやって見上げながらのおねだりが上手いのよね。わたくしが弱いだけとも言うけれど。
 でも、わたくしも一緒に演奏するのは嫌いじゃないし、むしろとても好き、それにマティとの演奏なんて随分久し振りだったし、その提案に乗る事にした。

「そうね、久し振りに何曲か、一緒に演奏しましょうか」
「うん、義姉さま!!」

 そう言って、マティは嬉しそうにニパッとした笑みを浮かべてくれた。

 そうして、わたくしはピアノを、マティはバイオリンでの二人で奏でる演奏をしばらく堪能した。


⇒【58】へ進む 



 ꕤ.。✼••⋅⋅⊱∘┈┈┈┈•>✾<•┈┈┈┈∘⊰⋅⋅••✼。.ꕤ



【40】

 書斎の時計が15時の鐘の音を告げて、その音に本の世界から現実へと意識が戻ってきた。
 もう15時になっていたのね。

「少しだけのつもりが、だいぶ時間が経っていたのね」

 このまま読書を続けるのもわるくないけれど、他の場所に行くことにしようかしら。
 どうしましょう。

 

庭園へ花を見に行く  ⇒【42】へ進む
演奏室でピアノを弾く ⇒【53】へ進む
お父様の執務室へ行く ⇒【52】へ進む



 ꕤ.。✼••⋅⋅⊱∘┈┈┈┈•>✾<•┈┈┈┈∘⊰⋅⋅••✼。.ꕤ



【41】

「トルデリーゼ・ルントシュテット!! 私は第一王子たるキリルの名に於いて、貴様との婚約を破棄するとここで宣言する! 貴様の様な性格がドブのように濁って腐りきったような者が、私の婚約者など、不釣り合いにも程がある!!」

 突然の殿下の婚約破棄宣言に、周囲は先程以上にざわつきを見せ始める。

 大半は困惑した囁きや、わたくしへの憐れみの眼差しが殆どのようね。

「そして私はこちらの、マリーリア・ベルツ嬢と、新たに婚約をすることをここに誓う!!」

 マリーリア男爵令嬢の腰に手を回しながらそう宣誓する殿下の姿。

 婚約破棄を叫んだと思ったら、その場ですぐに、別の女性と婚約をするとの叫びに、卒業生も在校生も、教師や演奏されてた楽団の皆様や、給仕をされていた方々までも。
 全員が全員何を見せられてるのか聞かされてるのか理解出来ないと言わんばかりに、ポカンとした顔になって、殿下達を見つめた。

「殿下」

 わたくしはカーテシーの状態から、静かにスッと姿勢を戻し、殿下を静かに見つめた。

「この婚約は王家と我が家でわたくし達がまだ幼い頃にとりきめたものです。陛下や王妃陛下はご承知なのでしょうか?」
「ハッ! 私ももう学園を卒業し、これからは陛下である父の跡を継いでいき、後々には王となるのだからな! 何も問題あるまい!」

 いや、問題ありまくりですが?

 確かに殿下は立太子されてますが、だからってそんな独裁者的な発言を今からしたら、殿下の派閥にいる貴族達が「この人の下にいて大丈夫なのか」みたいに思われてしまいますが。
 案の定、パーティに参加されていた生徒の親御さん達の中には、今のやり取りだけで、眉をしかめていたり、既に伝令を飛ばそうとしている人も見受けられる。
 陛下にしても、あの自分にも人にも厳しい陛下の耳に入られた日には、大変な未来が待っていると思わないのかしら……。

 まぁ、そんな事気が付いてもない、考えてもないのでしょうけれども。

「殿下、まずは陛」
「まず権限がどうこうよりも!! 貴様は学園にいた時、リーリアを陰でずっと虐めていたのだろ! この陰湿な性悪女め!」
「わたし……本当に辛くて……でも私は平民の出ですし、仕方ない事なのですと……」

 わたくしの発言を遮り、あらぬ罪を着せようとし、更には会ってもいない令嬢は、わたくしにいじめられたとポロポロと涙をこぼし始めてきて。

「あぁリーリア、そなたは何も悪くない! 私がもっと早くに婚約を破棄し、アイツを処刑なり国外追放なりして処分していれば、これほど悲しませずに済んだものを……!」
「キリル様……!!」

 ……。
 …………。
 ………………。

 二人共愛称で呼び合い見つめ合うと、周囲の視線なぞ気にする事なく、ヒシッと抱き合う。

 前世の小説やマンガでよく見た、断罪劇中の中に突如始まる三文芝居。
 読んでた分には「来た来たー!」位のテンプレ展開で笑ってたけれども、あれは関わりない第三者だから出来るのねと、よーーく分かるわ。

 何を見せられてるのかしら。と言う気持ちと。
 うわ、ウザッ。空気読みなさい貴方方。と言う気持ちと。
 その他にも色々な冷めた目で見るだけの状況に、巻き込まれた側のわたくしは今すぐ邸に帰ってしまいたくなっている。が、そこはなんとか耐える事にして。

 わたくしは扇で口元を隠し、ハーッと一つ息を吐いた。
 今、殿下の口から出た【処刑】【追放】【処分】、これはマズい発言なのを、わたくし含め、周りの人達は判っている。
 これは殿下が王になったら、自分達も同じ目に合う可能性があるからだ。

 生徒や先生方は真っ青だし、来賓の方々や一部生徒の親御さんは、生徒を連れて静かに退場しようとまでしている。 
 自分で自分の首を絞めた事に気が付いてない殿下はまだ、抱き合っていた。……まだやってたのね。

 とりあえず、このままではどうにもならないしと、わたくしは話を進める事にした。


⇒【77】へ進む



 ꕤ.。✼••⋅⋅⊱∘┈┈┈┈•>✾<•┈┈┈┈∘⊰⋅⋅••✼。.ꕤ
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

乙女ゲームの悪役令嬢は前世の推しであるパパを幸せにしたい

藤原遊
ファンタジー
悪役令嬢×婚約者の策略ラブコメディ! 「アイリス・ルクレール、その波乱の乙女ゲーム人生――」 社交界の華として名を馳せた公爵令嬢アイリスは、気がつくと自分が“乙女ゲーム”の悪役令嬢に転生していることに気づく。しかし破滅フラグなんて大した問題ではない。なぜなら――彼女には全力で溺愛してくれる最強の味方、「お父様」がいるのだから! 婚約者である王太子レオナードとともに、盗賊団の陰謀や宮廷の策略を華麗に乗り越える一方で、かつて傲慢だと思われた行動が実は周囲を守るためだったことが明らかに……?その冷静さと知恵に、王太子も惹かれていき、次第にアイリスを「婚約者以上の存在」として意識し始める。 しかし、アイリスにはまだ知らない事実が。前世で推しだった“お父様”が、実は娘の危機に備えて影で私兵を動かしていた――なんて話、聞いていませんけど!? さらに、無邪気な辺境伯の従兄弟や王宮の騎士たちが彼女に振り回される日々が続く中、悪役令嬢としての名を返上し、「新たな人生」を掴むための物語が進んでいく。 「悪役令嬢の未来は破滅しかない」そんな言葉を真っ向から覆す、策略と愛の物語。痛快で心温まる新しい悪役令嬢ストーリーをお楽しみください。

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら

渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!? このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!! 前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡ 「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」 ※※※ 現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。 今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました! ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが

侑子
恋愛
 十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。  しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。 「どうして!? 一体どうしてなの~!?」  いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。

政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~

巫叶月良成
ファンタジー
政治家の娘として生まれ、父から様々なことを学んだ少女が異世界の悪徳政治をぶった切る!? //////////////////////////////////////////////////// 悪役令嬢に転生させられた琴音は政治家の娘。 しかしテンプレも何もわからないまま放り出された悪役令嬢の世界で、しかもすでに婚約破棄から令嬢が暗殺された後のお話。 琴音は前世の父親の教えをもとに、口先と策謀で相手を騙し、男を篭絡しながら自分を陥れた相手に復讐し、歪んだ王国の政治ゲームを支配しようという一大謀略劇! ※魔法とかゲーム的要素はありません。恋愛要素、バトル要素も薄め……? ※注意:作者が悪役令嬢知識ほぼゼロで書いてます。こんなの悪役令嬢ものじゃねぇという内容かもしれませんが、ご留意ください。 ※あくまでこの物語はフィクションです。政治家が全部そういう思考回路とかいうわけではないのでこちらもご留意を。 隔日くらいに更新出来たらいいな、の更新です。のんびりお楽しみください。

死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?

六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」 前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。 ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを! その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。 「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」 「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」 (…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?) 自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。 あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか! 絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。 それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。 「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」 氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。 冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。 「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」 その日から私の運命は激変! 「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」 皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!? その頃、王宮では――。 「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」 「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」 などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。 悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!

処理中です...