エターナルウィンター(邪狼神の籠愛)

みゃー

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屋根の上

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次の日も、ゼインは、伏せをして眠る銀狼の大きな背中に持たれて、暖かい部屋で本を読んでいた。

銀狼は、時々大きなあくびをしながら、気持ち良さそうにウトウトウトウトしている。

一人と一匹の、のんびりと穏やかな時間が流れる。

しかし、ふとした瞬間にゼイン
は…

自分がこんな事をしている場合では無い事を思い悩んでいた。

何カ国か話せる自分は、罪を犯し天界を追放された邪狼神を殺しに、隣国の教会から送り込まれたのだ。

子供の頃、捨てられていた自分を拾い優しく育てて下さった、あの高潔な教皇様の為…

恩を返す為…

必ず邪狼神を殺害しなければならない。

しかし、やはりもしかして…

自分の後ろの銀狼とあのグレイの髪の青年が、邪狼神と何か関係があれば…

(どうか…無関係であって欲しい)

と思うと、もうそれ以上何も考えられなくなっていた。

今日も、やはり外の雪の勢いは収まらない。

それなのに、この風雪の吹きすさぶ中、城の屋根の上の遠くからそのゼインと銀狼を覗く男がいた。

ブロンドの短い髪のこの若く美しい男は、長い黒のコートを寒風になびかせ、服全てを同色で統一していた。

そして、人間離れしてかなり視力が良く、特にゼインの顔を長い時間ただ呆然と眺めていた。

「ご主人様…」

その横には飛びながら、喋るカラスが一匹いた。

だが男は、まだゼインの顔を見詰めるのに夢中になるあまり、その声に反応しない。

「ご主人様!!」

「あっ!ああ…」

男は、やっとハッと我に返り、冷静に穏やかに言った。

「で、どうであった?」

「はい…やはり、この城の防御はかなり厳しくて、中には入れぬかと…」

「そうか…」

男が、小さくため息を付いた。

しかし、男の視線は、ゼインから離れる事は無い。

「しかし、私が窓の外から見ておりましたら、何やら城の中に3.4歳でしょうか?ピンクのドレスを着た人では無い小さな娘が、小さなドラゴンを連れて城の中をずっと徘徊しております。邪悪な気はあまり感じませんでしたが…注意は必要かと…」

「そうか…」

男は、まだずっとゼインを見詰めている。

そしてそのまま、そっと微笑み呟いた。

「ハーディー…いや…今は名前は、ゼインか…早く教皇の命令通りその背後の邪狼神を殺すのだ、そして、私と一緒に、共に帰ろう…」

















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