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12.情熱の国①
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三日目の夕方にグラナダに向かい、早速ホテルにチェックインすると、懲りもせずに肌を重ねてお互いを貪り合った。
おじいちゃんやおばあちゃんの家だと、部屋は離れているけれど気を遣うからと、千颯くんはちょっと子どもみたいに必死になって私を抱いた。
初めて抱かれてから二度目の夜。最初はあまりの立派さに体も驚いていたけれど、抱かれているうちに慣れるもので、千颯くんに挿入されても圧迫感がマシになってきた気がする。
だからといって、終わった後に楔が引き抜かれると、喪失感や、まだ中になにか残ってるような感覚がなくなった訳じゃない。
四日目、晴天でお出掛け日和となったグラナダでの観光は、アルハンブラ宮殿や博物館を巡り、美味しい料理も堪能した。
そのまま夕方になって、今は飛行機でマドリードに戻っている最中だ。
「どうしたの。なんか困った顔してたけど」
「なんでもないよ。おばあちゃんたち待ってるよね」
「そうだな。気を遣って観光に行ってこいとは言ってくれたけど、やっぱり遊びにきてるのにいないのは寂しい思いさせてるかもね」
「お料理かなにか作って恩返しできないかな」
できれば日本食のスーパーでもあれば助かるんだけど、そんな都合のいい場所はないだろうか。
「ばあちゃんの楽しみ奪うからやめた方がいい」
「そんな」
「どうしてもって言うなら手伝ってあげて。料理はあの人のストレス発散だから。気を遣ってくれてるのにごめんね」
「そういうことなら仕方ないね」
それぞれ他人に任せたくない領分はある。いくら可愛い孫が連れてきた恋人とはいえ、おばあちゃんだって譲れないものはあるんだろう。
手作り料理で恩返しするのは諦めて、サポートを申し出ようと決意する。もしかしたら、それだって断られるかもしれないけれど、せっかく会いに来られたんだからなにかしたい。
「まあ、あんまり気は遣わなくていいよ」
「別に気を遣ってるつもりじゃないんだけど」
「お土産だけで喜んでくれるって」
「そんなものかな」
「そんなもんだよ」
ほっぺにチュッとキスされてギョッとしたものの、周りの人が気にしている様子もない。
気恥ずかしくて扇子でパタパタと顔を煽いで誤魔化していると、千颯くんが可笑しそうに肩を揺らす。
「スズは全然慣れないね」
「ちぃちゃんがトップギアすぎるんだよ」
「スズとのことはね、一切妥協したくないし後悔もしたくないから。思った時に行動しないとね」
なんでそこまで思ってくれるのか、私なんかにそんな価値があるのか不安になってくる。
私と違って千颯くんが望めば、どんな結果でも手に入りそうなのに。
「ちぃちゃんの恋愛はいつもそんな感じなの」
「ないない。俺他人にあんまり関心持てなくてさ。人当たりは良い方だし、距離感がバグってるとかよく言われるけど、心はなかなか開かないからね」
「今まで付き合った恋人にも?」
「だから言ったじゃん。転勤についてくるって言われて揉めたって」
「ああ、そんな話してたね」
今もしもそんな話が出たら私はどうするだろう。慎次郎の時みたいに、楽観的な答えを出すんだろうか。
千颯くんのことは好きだし、こうして出会えたことに運命めいたものは感じるけれど、全てを投げ打ってまで彼についていくことを選べるだろうか。
途端に自分がとんでもなく薄情な人間に思えて俯くと、千颯くんはなにかを感じ取ったのか、そっと優しく私の手を握ってくれる。
なにを言うでもなく、優しい温もりが繋がれた手から伝わってくると、始まる前から色々と考えすぎなのかもしれないと思えた。
私と千颯くんは付き合い始めてまだひと月も経ってない。なんとなくいろんなことが起こりすぎて気持ちが焦るけれど、ゆっくり考えていけばいいんだから。
マドリードに戻ると、千颯くんのおじいちゃんとおばあちゃんは寂しかったと大騒ぎしながらまた出迎えてくれた。
少し時間が遅いけれど、近くにあるタブラオに行こうと話が盛り上がり、帰るなり早々出かけることになった。
「ちぃちゃん、タブラオってなに?」
おじいちゃんやおばあちゃんの家だと、部屋は離れているけれど気を遣うからと、千颯くんはちょっと子どもみたいに必死になって私を抱いた。
初めて抱かれてから二度目の夜。最初はあまりの立派さに体も驚いていたけれど、抱かれているうちに慣れるもので、千颯くんに挿入されても圧迫感がマシになってきた気がする。
だからといって、終わった後に楔が引き抜かれると、喪失感や、まだ中になにか残ってるような感覚がなくなった訳じゃない。
四日目、晴天でお出掛け日和となったグラナダでの観光は、アルハンブラ宮殿や博物館を巡り、美味しい料理も堪能した。
そのまま夕方になって、今は飛行機でマドリードに戻っている最中だ。
「どうしたの。なんか困った顔してたけど」
「なんでもないよ。おばあちゃんたち待ってるよね」
「そうだな。気を遣って観光に行ってこいとは言ってくれたけど、やっぱり遊びにきてるのにいないのは寂しい思いさせてるかもね」
「お料理かなにか作って恩返しできないかな」
できれば日本食のスーパーでもあれば助かるんだけど、そんな都合のいい場所はないだろうか。
「ばあちゃんの楽しみ奪うからやめた方がいい」
「そんな」
「どうしてもって言うなら手伝ってあげて。料理はあの人のストレス発散だから。気を遣ってくれてるのにごめんね」
「そういうことなら仕方ないね」
それぞれ他人に任せたくない領分はある。いくら可愛い孫が連れてきた恋人とはいえ、おばあちゃんだって譲れないものはあるんだろう。
手作り料理で恩返しするのは諦めて、サポートを申し出ようと決意する。もしかしたら、それだって断られるかもしれないけれど、せっかく会いに来られたんだからなにかしたい。
「まあ、あんまり気は遣わなくていいよ」
「別に気を遣ってるつもりじゃないんだけど」
「お土産だけで喜んでくれるって」
「そんなものかな」
「そんなもんだよ」
ほっぺにチュッとキスされてギョッとしたものの、周りの人が気にしている様子もない。
気恥ずかしくて扇子でパタパタと顔を煽いで誤魔化していると、千颯くんが可笑しそうに肩を揺らす。
「スズは全然慣れないね」
「ちぃちゃんがトップギアすぎるんだよ」
「スズとのことはね、一切妥協したくないし後悔もしたくないから。思った時に行動しないとね」
なんでそこまで思ってくれるのか、私なんかにそんな価値があるのか不安になってくる。
私と違って千颯くんが望めば、どんな結果でも手に入りそうなのに。
「ちぃちゃんの恋愛はいつもそんな感じなの」
「ないない。俺他人にあんまり関心持てなくてさ。人当たりは良い方だし、距離感がバグってるとかよく言われるけど、心はなかなか開かないからね」
「今まで付き合った恋人にも?」
「だから言ったじゃん。転勤についてくるって言われて揉めたって」
「ああ、そんな話してたね」
今もしもそんな話が出たら私はどうするだろう。慎次郎の時みたいに、楽観的な答えを出すんだろうか。
千颯くんのことは好きだし、こうして出会えたことに運命めいたものは感じるけれど、全てを投げ打ってまで彼についていくことを選べるだろうか。
途端に自分がとんでもなく薄情な人間に思えて俯くと、千颯くんはなにかを感じ取ったのか、そっと優しく私の手を握ってくれる。
なにを言うでもなく、優しい温もりが繋がれた手から伝わってくると、始まる前から色々と考えすぎなのかもしれないと思えた。
私と千颯くんは付き合い始めてまだひと月も経ってない。なんとなくいろんなことが起こりすぎて気持ちが焦るけれど、ゆっくり考えていけばいいんだから。
マドリードに戻ると、千颯くんのおじいちゃんとおばあちゃんは寂しかったと大騒ぎしながらまた出迎えてくれた。
少し時間が遅いけれど、近くにあるタブラオに行こうと話が盛り上がり、帰るなり早々出かけることになった。
「ちぃちゃん、タブラオってなに?」
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