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20.思わぬ再会①
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生理が終わって体調も良くなり迎えた翌週の土曜日。早速予約した産婦人科で医師に診てもらい、生理不順に関しては薬で様子を見ることになった。
それともう一つ。千颯くんが一緒に来ると言ったので、こんな機会もないだろうし、ブライダルチェックをすることにした。
「なかなか恥ずかしかったわ」
検査の内容について言っているのだろう。採血に加えて検尿や精液検査があるはずだから、男性には確かにハードルが高いんだと思う。
「二人とも健康体ではあるけど、結果が出るまではなんだかソワソワするね」
薬局で薬を受け取り最寄り駅まで歩いていると、行き交う人とすれ違いざまにぶつかりそうになって千颯くんに抱き留められる。
「危なかった。気を付けなね」
「ありがとう」
今日は天気もいいし、土曜日だからか人が多くてうっかりするとまたぶつかりそうになるかもしれない。
「あれ、涼葉?」
先ほどぶつかりかけた人物が振り返ってこちらを見ている。突然下の名前で呼ばれて顔を上げると、慎次郎がそこに立っていた。
「慎次郎⁉︎」
「おお、やっぱり涼葉か。久しぶりだな。……あ、ごめん。一人じゃなかったんだな」
「ああ、うん。千颯、この人は堂本さん。堂本さん、こちらは私の婚約者の南方さん」
「どうも。涼葉がお世話になりました」
千颯くんは慎次郎が元カレだとすぐに察したようで、にこやかな笑顔で挨拶をしているけれど目が笑っていない。
「いえ、突然すみません。こちらから声をかけておいてなんですが、俺今は出張中でちょっと急ぐので。また連絡してもいいかな、高橋さん」
「えっと……」
返事に困って言い淀むと、千颯くんが小声で構わないよと囁いた。
「あ、南方さんに悪いか」
「いえ。連絡程度なら別に構いませんので、お気遣いなく」
「ありがとうございます。じゃあ失礼します」
千颯くんと慎次郎で話が完結してしまった。慎次郎は本当に急いていたみたいで、すぐに人混みの中へと消えていった。
「あれ、転勤で別れた彼だよね」
「うん……そうだけど」
「彼に婚約者って紹介しなかったら暴れるとこだった」
「ちぃちゃん」
「なんだろうね。完全に終わった関係だって分かってるのになんかイライラする」
「不可抗力だから」
「連絡来ても二人で会うとかはダメだからね」
「会わないよ。私にはちぃちゃんが全てだもん」
「そういう言い方はズルいよな」
苦笑した千颯くんに鼻を摘まれる。道端でイチャイチャしてるみたいです恥ずかしいけれど、確かに今の再会は心配させただろうし、ここは羞恥にも耐えるしかない。
「スズが同じ立場になったら俺の気持ち分かるだろ」
「……簀巻きにして吊るす」
「あはは。じゃあ俺も吊るそうかな」
「ごめんなさい」
「まあいいや。それよりどこかでランチにしようか」
「そうだね。お腹減った」
気持ちを切り替えて再び歩き出すと、駅から電車に乗って家の近くに移動した。
明日はブライダルフェアに行く予定なので、今夜は千颯くんの家に泊まる。なんだかんだ千颯くんの家に来るのは久しぶりで、不思議と新鮮な気持ちになる。
「ちぃちゃんの家って、やっぱり広いよね」
相変わらずものが少ないリビングを眺めて、キッチンで飲み物を用意してくれている千颯くんに声をかける。
「そうかな。スズの家も広い方じゃない?」
「うちワンルームだよ?」
「でも布団も敷けるし、あんまり狭く感じたことないけどね。はいどうぞ。熱いから気を付けて」
「このマグカップ。使うの久々だよ」
コーヒーの入った揃いのマグカップを受け取ると、隣に座った千颯くんがテレビをつけた。
「最近は俺がスズの家に行くことが多かったもんね」
「本当に、その節はお世話になりました」
生理でへばってる間、千颯くんは何度もお見舞いと称して家に来てくれた。なにをするでもなく、ただ側にいてくれただけだけれど、一人で情緒が落ち着かない中かなり慰められた。
「で?」
「で、とは」
「元カレくん、連絡来たの?」
「さあ、どうだろ。全然スマホ見てなかったから」
それともう一つ。千颯くんが一緒に来ると言ったので、こんな機会もないだろうし、ブライダルチェックをすることにした。
「なかなか恥ずかしかったわ」
検査の内容について言っているのだろう。採血に加えて検尿や精液検査があるはずだから、男性には確かにハードルが高いんだと思う。
「二人とも健康体ではあるけど、結果が出るまではなんだかソワソワするね」
薬局で薬を受け取り最寄り駅まで歩いていると、行き交う人とすれ違いざまにぶつかりそうになって千颯くんに抱き留められる。
「危なかった。気を付けなね」
「ありがとう」
今日は天気もいいし、土曜日だからか人が多くてうっかりするとまたぶつかりそうになるかもしれない。
「あれ、涼葉?」
先ほどぶつかりかけた人物が振り返ってこちらを見ている。突然下の名前で呼ばれて顔を上げると、慎次郎がそこに立っていた。
「慎次郎⁉︎」
「おお、やっぱり涼葉か。久しぶりだな。……あ、ごめん。一人じゃなかったんだな」
「ああ、うん。千颯、この人は堂本さん。堂本さん、こちらは私の婚約者の南方さん」
「どうも。涼葉がお世話になりました」
千颯くんは慎次郎が元カレだとすぐに察したようで、にこやかな笑顔で挨拶をしているけれど目が笑っていない。
「いえ、突然すみません。こちらから声をかけておいてなんですが、俺今は出張中でちょっと急ぐので。また連絡してもいいかな、高橋さん」
「えっと……」
返事に困って言い淀むと、千颯くんが小声で構わないよと囁いた。
「あ、南方さんに悪いか」
「いえ。連絡程度なら別に構いませんので、お気遣いなく」
「ありがとうございます。じゃあ失礼します」
千颯くんと慎次郎で話が完結してしまった。慎次郎は本当に急いていたみたいで、すぐに人混みの中へと消えていった。
「あれ、転勤で別れた彼だよね」
「うん……そうだけど」
「彼に婚約者って紹介しなかったら暴れるとこだった」
「ちぃちゃん」
「なんだろうね。完全に終わった関係だって分かってるのになんかイライラする」
「不可抗力だから」
「連絡来ても二人で会うとかはダメだからね」
「会わないよ。私にはちぃちゃんが全てだもん」
「そういう言い方はズルいよな」
苦笑した千颯くんに鼻を摘まれる。道端でイチャイチャしてるみたいです恥ずかしいけれど、確かに今の再会は心配させただろうし、ここは羞恥にも耐えるしかない。
「スズが同じ立場になったら俺の気持ち分かるだろ」
「……簀巻きにして吊るす」
「あはは。じゃあ俺も吊るそうかな」
「ごめんなさい」
「まあいいや。それよりどこかでランチにしようか」
「そうだね。お腹減った」
気持ちを切り替えて再び歩き出すと、駅から電車に乗って家の近くに移動した。
明日はブライダルフェアに行く予定なので、今夜は千颯くんの家に泊まる。なんだかんだ千颯くんの家に来るのは久しぶりで、不思議と新鮮な気持ちになる。
「ちぃちゃんの家って、やっぱり広いよね」
相変わらずものが少ないリビングを眺めて、キッチンで飲み物を用意してくれている千颯くんに声をかける。
「そうかな。スズの家も広い方じゃない?」
「うちワンルームだよ?」
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「このマグカップ。使うの久々だよ」
コーヒーの入った揃いのマグカップを受け取ると、隣に座った千颯くんがテレビをつけた。
「最近は俺がスズの家に行くことが多かったもんね」
「本当に、その節はお世話になりました」
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