お見合いから本気の恋をしてもいいですか

濘-NEI-

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23.望まぬ再会①

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 慎次郎が私の目の前に現れて三日ほどだった頃、共通の友人を介して謝罪の連絡があった。
 友人にはどうしたのかと聞かれたけれど、連絡がつかないから頼んだんだと思うと言って明言は避けた。
 最近の千颯くんはあの件以来ナーバスで、平日にも拘わらずお互いの家を行き来してずっと一緒に過ごしている。
 ようやく迎えた金曜日の今日も、仕事帰りに待ち合わせをしていて、ちょうど今から待ち合わせ場所に向かう最中だ。
 バッグからスマホを取り出して、千颯くんにもうすぐ着きますとメッセージを送る。すぐに既読がついてもう待ち合わせ場所で待っているとメッセージが来た。
 電車を降り、人混みに逆らうように駅前の待ち合わせ場所に急ぐ。千颯くんの風貌ならかなり目立つので探しやすくて助かる。
「ちぃちゃん!」
「おお。お疲れ様」
「お待たせ。ごめんね、随分早かったんだね」
「さっき着いたとこだよ。じゃあ行こっか」
「うん」
 新橋駅から銀座方面に歩き、お互いだと知らずに出会った日に行ったダイニングバーに向かう。今日は個室が取れなかったらしいけれど、食事もお酒も美味しいので楽しみだ。
「なんか懐かしさすら感じるよね」
「ちょっと前なんだけどね、半年も経ってないし」
「あの日がなかったら、今とは違う感じになってたのかな」
「どうだろう。お見合いはしただろうけど、確かに付き合うまでいかなかったかもしれないね」
 ダイニングバーに着くと、フロアを進んでお店の奥の角の席に案内される。個室じゃないけれど、なかなかいい席で落ち着いて食事ができる気がする。
「さて。とりあえずビールにする?」
「そうだね」
「最初のメニューは適当に選んじゃっていい?」
「いいよ。ちぃちゃんのセンスに任せる」
「お、言ったな。俺のセンスに感動して泣くなよ?」
「なに言ってんの」
 テーブルを挟んで千颯くんの肩を叩く。ふざけながらタブレットで注文を済ませると、程なくして早速ビールが運ばれてきた。
「なにに乾杯する?」
「今週もお疲れ様でしたで良くない?」
「じゃあ今週はよく頑張りました! お疲れ様、乾杯」
「はい、乾杯」
 グラスを合わせて乾杯すると、真っ先に運ばれてきたタコのカルパッチョを食べる。
「んー。美味しい」
「歯ごたえがいいね」
 美味しい料理を食べながら、スペインに行った時に食べた料理の話になり、また遊びに行きたいねと千颯くんが何気なく言う。
「じいちゃんもばあちゃんも喜ぶからさ」
「なら今度は、できるだけ早めにチケットとか手配しようね。私もまた遊びに行きたいけど、あの金額は怖すぎる」
「パッケージツアーとかなら安くはなるだろうけど、自由度が下がるからなあ」
「やっぱりそういうものなんだ」
「まあ金額のことは気にしなくていいよ。時期にもよるし、安い時期に行くとかさ」
「そうだね。それなら行きたい」
 スペインでの思い出話になり、タブラオで泣いたことを今さら揶揄われる。あんなにも感情を剥き出しにするようなフラメンコを見たら、心揺さぶられるのは仕方ないと思う。
「そういえば、ばあちゃんがさ……」
「千颯? やっぱり、千颯だよね」
 千颯くんがなにか思い出したように口を開いた時、隣の席に案内された二人連れの女性の片方が突然声をかけてきた。
「……?」
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