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6.作戦会議①
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作戦会議は難航したまま、レンタルスペースの利用時間も迫ってきたので、とりあえず移動しようと話がまとまった。
そして片付けをし始めたところで、再びタラントさんの奥さん、つまりエルバのお姉さんから電話がかかってきたことで、タラントさんの離脱が確定した。
「すまん」
「仕方ないだろ。まだなにも決めてないから、姉ちゃんの前でアラが出るとヤバいし」
「本当に。でもお姉さん、よく納得してくれましたね」
タラントさんが持ち帰ってくれると言うので、みんなでゴミを片付けながら会話を続ける。
「そこはほら、久々にゆっくり会える時間をこれ以上は邪魔出来ないって言っといた。俺だけ先に帰ることになって本当に申し訳ない」
「大丈夫ですよ。今日はご馳走になりました! ありがとうございます。またオフ会しましょうね」
「ロッソ……お前は本当にいい奴だな」
タラントさんは大袈裟に喜んで私にハグすると、エルバと少しやり取りをしてから先に家へと帰っていった。
「さて。この後どうしようか」
「どうしようか。今日は終電で帰るつもりだったから、ホテルまだ探してないんだよね。駅前のビジホなら泊まれるかな」
「そうなの? だったら知り合いに伝手があるから、宿泊代は俺が出すよ」
「え、そんなの悪いよ」
「いいからいいから。ちょっと待っててね」
エルバはそう言うと、すぐにスマホを取り出してどこかに電話をかける。
その間に、忘れ物やゴミが残ってないか確認して回ると、思ったよりもすぐに電話を終えたエルバが、忘れ物はないかとこの家の鍵を目線の高さで振った。
「ホテルの予約取れたよ。あとは、清次郎がタクシー手配してくれたから、それが来たら出ようか」
「それはありがたいね、まだ雨凄いもん」
「まさかこんなに悪天候になるとは思わなかったね」
「それよりどうする? 明日の打ち合わせはいつしようか」
「それなんだけど、知り合いが広めの部屋を押さえてくれたから、もしロッソが大丈夫ならそこで打ち合わせ出来るかな」
「え、それって今日泊まる部屋でってこと?」
「まあ、初対面の相手とホテルで二人きりってのは嫌だよね」
「んー、そうだね。でも時間が時間だし、別の場所でっていうのも難しいよね」
「そうなんだよ。いきなり俺の家でって訳にもいかないし」
「確かに」
どうするべきか悩んでいると、タクシーが到着してしまって、とりあえずレンタルスペースからは移動せざるを得なくなった。
エルバは変な人ではないし、そもそもうちの会社のCEOという立場もあるから、まさか私に手を出そうなんて考えはないだろう。
だけどネットでやり取りをしていたとはいえ、エルバが言う通り私たちは初対面で、恋人ではなく、そのフリをする約束をしただけの間柄だ。
タクシーで雑談をしながら、この後どうするか悩みつつ、話をするだけなら問題はないかとエルバの顔を盗み見る。
(しかし、本当に綺麗な顔立ちだな)
改めて見ると、いつだったかホテルの同僚が、エルバのことをイケメンのCEOだと騒いでいたのを思い出す。
「どうかした?」
「ううん。ちょっと私で釣り合うのか不安になっただけ」
「なんだそれ。ロッソは可愛いと思うよ」
「なっ」
褒め言葉のつもりなのだろうけど、爽やかな笑顔でサラッと言われると、色んな意味で破壊力が凄い。
この人を恋の相手として意識しないなんて、私に出来るのかどうか不安になってくるけれど、エルバからしたら六つも歳が違う私なんかは子どもみたいなものだろう。
そう思って冷静を装って、褒めるなら美人と言って欲しいなどと悪態ついて誤魔化してしまった。
するといつの間にか目的地のホテルに到着したようで、エルバはスマートに清算を終え、そのままエスコートされてタクシーを降りる。
「え、まさかこのホテルなの」
「そうだよ。さ、行こう」
そして片付けをし始めたところで、再びタラントさんの奥さん、つまりエルバのお姉さんから電話がかかってきたことで、タラントさんの離脱が確定した。
「すまん」
「仕方ないだろ。まだなにも決めてないから、姉ちゃんの前でアラが出るとヤバいし」
「本当に。でもお姉さん、よく納得してくれましたね」
タラントさんが持ち帰ってくれると言うので、みんなでゴミを片付けながら会話を続ける。
「そこはほら、久々にゆっくり会える時間をこれ以上は邪魔出来ないって言っといた。俺だけ先に帰ることになって本当に申し訳ない」
「大丈夫ですよ。今日はご馳走になりました! ありがとうございます。またオフ会しましょうね」
「ロッソ……お前は本当にいい奴だな」
タラントさんは大袈裟に喜んで私にハグすると、エルバと少しやり取りをしてから先に家へと帰っていった。
「さて。この後どうしようか」
「どうしようか。今日は終電で帰るつもりだったから、ホテルまだ探してないんだよね。駅前のビジホなら泊まれるかな」
「そうなの? だったら知り合いに伝手があるから、宿泊代は俺が出すよ」
「え、そんなの悪いよ」
「いいからいいから。ちょっと待っててね」
エルバはそう言うと、すぐにスマホを取り出してどこかに電話をかける。
その間に、忘れ物やゴミが残ってないか確認して回ると、思ったよりもすぐに電話を終えたエルバが、忘れ物はないかとこの家の鍵を目線の高さで振った。
「ホテルの予約取れたよ。あとは、清次郎がタクシー手配してくれたから、それが来たら出ようか」
「それはありがたいね、まだ雨凄いもん」
「まさかこんなに悪天候になるとは思わなかったね」
「それよりどうする? 明日の打ち合わせはいつしようか」
「それなんだけど、知り合いが広めの部屋を押さえてくれたから、もしロッソが大丈夫ならそこで打ち合わせ出来るかな」
「え、それって今日泊まる部屋でってこと?」
「まあ、初対面の相手とホテルで二人きりってのは嫌だよね」
「んー、そうだね。でも時間が時間だし、別の場所でっていうのも難しいよね」
「そうなんだよ。いきなり俺の家でって訳にもいかないし」
「確かに」
どうするべきか悩んでいると、タクシーが到着してしまって、とりあえずレンタルスペースからは移動せざるを得なくなった。
エルバは変な人ではないし、そもそもうちの会社のCEOという立場もあるから、まさか私に手を出そうなんて考えはないだろう。
だけどネットでやり取りをしていたとはいえ、エルバが言う通り私たちは初対面で、恋人ではなく、そのフリをする約束をしただけの間柄だ。
タクシーで雑談をしながら、この後どうするか悩みつつ、話をするだけなら問題はないかとエルバの顔を盗み見る。
(しかし、本当に綺麗な顔立ちだな)
改めて見ると、いつだったかホテルの同僚が、エルバのことをイケメンのCEOだと騒いでいたのを思い出す。
「どうかした?」
「ううん。ちょっと私で釣り合うのか不安になっただけ」
「なんだそれ。ロッソは可愛いと思うよ」
「なっ」
褒め言葉のつもりなのだろうけど、爽やかな笑顔でサラッと言われると、色んな意味で破壊力が凄い。
この人を恋の相手として意識しないなんて、私に出来るのかどうか不安になってくるけれど、エルバからしたら六つも歳が違う私なんかは子どもみたいなものだろう。
そう思って冷静を装って、褒めるなら美人と言って欲しいなどと悪態ついて誤魔化してしまった。
するといつの間にか目的地のホテルに到着したようで、エルバはスマートに清算を終え、そのままエスコートされてタクシーを降りる。
「え、まさかこのホテルなの」
「そうだよ。さ、行こう」
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