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6.作戦会議③
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そして好きなものの話になり、意外にも聞いてる音楽や好きな映画に共通点があったりして、休みが合った日に、二人でどう過ごしているかが決めやすくなった。
「とりあえずこんなものかな」
「あとはお互いの呼び方かな」
「ハードル高いのきた」
「ロッソはなんで呼ばれたい? あだ名っぽい感じにするか、下の名前か」
「瑞穂でいいよ。私は歳下だし、エルバのことは草壁さんって呼んだ方が自然だよね」
「俺のことも慶弥でいいよ」
「えー。仮にも勤め先のトップだよ? 呼び捨てはマズいよ」
「でも苗字は距離があると思うな」
「んー。なら、慶弥さん?」
「えーっと、いや、まあそうなんだけど」
「なに」
「いや、ロッソにそう呼ばれると、思ったより破壊力がデカいなと思って」
「もう、それよりまたロッソって呼んでるよ。私は瑞穂だってば」
エルバが困惑してる意味が分からなくて、ちゃんと名前を呼ぶように注意する。
確かにゲーム仲間なのは隠さない方がいいだろうけど、名前までゲームのユーザー名で呼び合っていては信憑性に欠ける。
「分かったよ」
エルバは心を決めたように溜め息を吐き出すと、不意に色気ダダ漏れな雰囲気を作って私に微笑みかける。
「ねえ瑞穂、瑞穂は俺のどこが好きなの」
「……は?」
「答えてよ瑞穂」
「ちょ、ちょっと待った!」
思わず叫ぶように片手を前に突き出すと、そのやり方は反則ではないだろうかと、熱くなる顔をもう片方の手で覆う。
「どうしたんだよ瑞穂」
「それわざとでしょ。やめてって」
ここに来てようやく、エルバがなにを指して破壊力がデカいと言ったのか理解出来た。
ゲーム内のロッソと違って本名を呼ばれると、なんだか妙にリアルだし、揶揄われていると分かっていても、どこが好きかなんて聞かれたら、嫌でも綺麗な顔に目がいって意識してしまう。
エルバはそれを分かってやってるからタチが悪い。
「ね。名前呼ばれるのって、意外とくるよね」
「明日までに慣れるなんて無理かも」
思わず頭を抱えると、エルバが可笑しそうにクスクス笑う。
「でも実際さ、明日はそういうことも聞かれるかもしれないよ? 耐性作っとかないと自爆したら大変だからね」
「そりゃそうだけど」
「だからこその練習だよ。さあ、瑞穂。俺のどこが好きなのか言ってみて」
「もう、面白がってる場合じゃないでしょ」
「面白がってなんかないよ。俺はね、瑞穂の姉御肌でサッパリした感じが好きかな。あと顔もタイプ」
「は?」
「面倒見がいい感じなのに、二人兄妹の妹だって聞いて驚いたよ」
サラッと流されたけど、今なにか恐ろしいことを言われなかっとだろうか。
(この人今、私の顔がタイプって言わなかった⁉︎)
あまりに意識しすぎて、一気にまた顔が熱くなる。
「あれ、どうしたの。顔真っ赤だけど」
「うるさいな。エルバが変なこと言うからでしょ」
「こら。エルバじゃないだろ」
揶揄い半分で伸ばされた手を払いのけるつもりだったのに、その手を掴まれて顔を覗き込まれてしまう。
「俺は慶弥、そう呼ぶんでしょ」
「うぅう」
「ほらね。照れるし、結構恥ずかしいんだよこれ」
明らかに分かっていて揶揄ってるエルバの余裕綽々な笑顔はムカつくけど、確かに名前一つでこの反応をしていては、明日の挨拶は成り立たない。
掴まれた腕を振り払うと、ふざけるのはこの辺にしてと仕切り直す。
「細かい設定以前の問題だった。盲点だよ」
「じゃあ、エルバとロッソのままでいく?」
「それは変だもんね」
「だよね。俺のこと、ちゃんと慶弥って呼べそうかな」
「明日は、ちゃんとする」
「練習しなくていいの」
クスッと笑って肩を揺らすエルバを睨むと、無闇に揶揄って楽しまないように釘を刺す。
「あんまりそんなことすると、私も仕返しするからね」
「出来るの?」
「とりあえずこんなものかな」
「あとはお互いの呼び方かな」
「ハードル高いのきた」
「ロッソはなんで呼ばれたい? あだ名っぽい感じにするか、下の名前か」
「瑞穂でいいよ。私は歳下だし、エルバのことは草壁さんって呼んだ方が自然だよね」
「俺のことも慶弥でいいよ」
「えー。仮にも勤め先のトップだよ? 呼び捨てはマズいよ」
「でも苗字は距離があると思うな」
「んー。なら、慶弥さん?」
「えーっと、いや、まあそうなんだけど」
「なに」
「いや、ロッソにそう呼ばれると、思ったより破壊力がデカいなと思って」
「もう、それよりまたロッソって呼んでるよ。私は瑞穂だってば」
エルバが困惑してる意味が分からなくて、ちゃんと名前を呼ぶように注意する。
確かにゲーム仲間なのは隠さない方がいいだろうけど、名前までゲームのユーザー名で呼び合っていては信憑性に欠ける。
「分かったよ」
エルバは心を決めたように溜め息を吐き出すと、不意に色気ダダ漏れな雰囲気を作って私に微笑みかける。
「ねえ瑞穂、瑞穂は俺のどこが好きなの」
「……は?」
「答えてよ瑞穂」
「ちょ、ちょっと待った!」
思わず叫ぶように片手を前に突き出すと、そのやり方は反則ではないだろうかと、熱くなる顔をもう片方の手で覆う。
「どうしたんだよ瑞穂」
「それわざとでしょ。やめてって」
ここに来てようやく、エルバがなにを指して破壊力がデカいと言ったのか理解出来た。
ゲーム内のロッソと違って本名を呼ばれると、なんだか妙にリアルだし、揶揄われていると分かっていても、どこが好きかなんて聞かれたら、嫌でも綺麗な顔に目がいって意識してしまう。
エルバはそれを分かってやってるからタチが悪い。
「ね。名前呼ばれるのって、意外とくるよね」
「明日までに慣れるなんて無理かも」
思わず頭を抱えると、エルバが可笑しそうにクスクス笑う。
「でも実際さ、明日はそういうことも聞かれるかもしれないよ? 耐性作っとかないと自爆したら大変だからね」
「そりゃそうだけど」
「だからこその練習だよ。さあ、瑞穂。俺のどこが好きなのか言ってみて」
「もう、面白がってる場合じゃないでしょ」
「面白がってなんかないよ。俺はね、瑞穂の姉御肌でサッパリした感じが好きかな。あと顔もタイプ」
「は?」
「面倒見がいい感じなのに、二人兄妹の妹だって聞いて驚いたよ」
サラッと流されたけど、今なにか恐ろしいことを言われなかっとだろうか。
(この人今、私の顔がタイプって言わなかった⁉︎)
あまりに意識しすぎて、一気にまた顔が熱くなる。
「あれ、どうしたの。顔真っ赤だけど」
「うるさいな。エルバが変なこと言うからでしょ」
「こら。エルバじゃないだろ」
揶揄い半分で伸ばされた手を払いのけるつもりだったのに、その手を掴まれて顔を覗き込まれてしまう。
「俺は慶弥、そう呼ぶんでしょ」
「うぅう」
「ほらね。照れるし、結構恥ずかしいんだよこれ」
明らかに分かっていて揶揄ってるエルバの余裕綽々な笑顔はムカつくけど、確かに名前一つでこの反応をしていては、明日の挨拶は成り立たない。
掴まれた腕を振り払うと、ふざけるのはこの辺にしてと仕切り直す。
「細かい設定以前の問題だった。盲点だよ」
「じゃあ、エルバとロッソのままでいく?」
「それは変だもんね」
「だよね。俺のこと、ちゃんと慶弥って呼べそうかな」
「明日は、ちゃんとする」
「練習しなくていいの」
クスッと笑って肩を揺らすエルバを睨むと、無闇に揶揄って楽しまないように釘を刺す。
「あんまりそんなことすると、私も仕返しするからね」
「出来るの?」
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