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7.模擬デート①
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昨夜はあまりにもショッキングなことが起こったせいか、なかなか寝付けなくて、真夜中にお風呂に浸かって明け方ようやく眠りについた。
だからだろうか、聞き慣れたアラームの音が鳴ってすぐに目が覚めると、部屋のカーテンを開けて眩しいほどの光を浴びてあくびを噛み殺す。
「うわぁ、いい天気だな」
昨日の雨が嘘みたいに、今日は雲ひとつない青空が広がっている。
ホテルのパジャマを脱いで、自前の服に着替え、早速顔を洗ってメイクを済ませる。飲食に携わる仕事なので、基本的にいつもメイクは最低限だけど、これで大丈夫だろうか。
エルバの実家に恋人役としてご挨拶に行くなら、髪をどんな風にセットしようか悩んでいると、突然ドアチャイムが鳴ってビクッとしてしまう。
慌てて時計を見るとまだ八時半。エルバは十時頃に迎えにくると言っていたから、彼が来るにはまだ早すぎる。
(え、なんだろう)
ビクビクしながらドアに近付いてドアスコープを覗く。レンズ越しに見えたのは、ワゴンを引いたベルボーイの姿だ。
「はい?」
「おはようございます。ルームサービスをお持ちしました」
「え? 頼んでませんけど」
「草壁様よりご依頼を承っております」
草壁様って誰だっけと一瞬ポカンとしたものの、すぐにエルバのことかと気が付いて慌ててドアを開ける。
そして朝食がセッティングされ、ここまで運んでくれたベルボーイが退室すると、焼き立てのパンの香りと美味しそうな匂いにお腹が鳴った。
「こんなことまで頼んでくれていたとは」
起きる時間まで見越していたのだろうか。
(確かに寝坊するなとは言われたけど)
同時に額にキスをされたことまで思い出してしまって、一晩経って忘れたはずの照れ臭さが一気に込み上げて顔が熱くなる。
「とりあえず、ご飯食べちゃおう」
リビングのソファーに座って手を合わせると、早速クロワッサンを手に取って口に運ぶ。
小ぶりなサイズのサクッとしたクロワッサンは、口に含んだ瞬間に濃厚なバターの香りが広がって、中の生地はしっとりとしていてほっぺたが落っこちそうだ。
そしてオムレツは中がトロッとしていて、ミルキーな舌触りを残しつつ、こちらもハーブが効いたバターの香りが爽やかに鼻に抜けていく。
「んー。美味しいぃ」
幸せを噛み締めつつ、エルバが手配してくれた朝食を食べ終えると、しっかりお腹も膨れて食後のコーヒーで気分もすっかりリラックス出来た。
食事を終えるとフロントに連絡を入れて、ルームサービスをチェックアウト後に片付けてもらう手筈を整える。
「そういえば、昨日エルバと連絡先交換したんだよね」
スマホを手に取って、昨夜ホテルに移動するタクシーの中で連絡先を交換した時のことを思い出す。
自分が勤める会社のCEOだと思うと、やっぱり少し抵抗はあったけど、連絡先を知らないのは何かと不便だし、いちいちタラントさんを介して連絡を取る訳にもいかない。
エルバの名前をタップして、朝食のお礼を兼ねて部屋で待っていればいいのかどうか、メッセージを打ち込んで送信する。
「あ、スマホの電池結構減ってる」
充電器なんて持ってきてないし、どこかでモバイルバッテリーを買った方がいいかもしれない。
そしてスマホを持ったまま洗面室に移動すると、結わずに下ろしたままの髪の毛をどうまとめるか悩んでしまう。
「買う服によるけど、ハーフアップでいいかな。それともシニヨンでまとめた方がいいかな」
鏡を見ながら、確かメイクポーチにヘアピンを入れていたはずだと手探りしていると、洗面台に置いたスマホが着信で震えた。
だからだろうか、聞き慣れたアラームの音が鳴ってすぐに目が覚めると、部屋のカーテンを開けて眩しいほどの光を浴びてあくびを噛み殺す。
「うわぁ、いい天気だな」
昨日の雨が嘘みたいに、今日は雲ひとつない青空が広がっている。
ホテルのパジャマを脱いで、自前の服に着替え、早速顔を洗ってメイクを済ませる。飲食に携わる仕事なので、基本的にいつもメイクは最低限だけど、これで大丈夫だろうか。
エルバの実家に恋人役としてご挨拶に行くなら、髪をどんな風にセットしようか悩んでいると、突然ドアチャイムが鳴ってビクッとしてしまう。
慌てて時計を見るとまだ八時半。エルバは十時頃に迎えにくると言っていたから、彼が来るにはまだ早すぎる。
(え、なんだろう)
ビクビクしながらドアに近付いてドアスコープを覗く。レンズ越しに見えたのは、ワゴンを引いたベルボーイの姿だ。
「はい?」
「おはようございます。ルームサービスをお持ちしました」
「え? 頼んでませんけど」
「草壁様よりご依頼を承っております」
草壁様って誰だっけと一瞬ポカンとしたものの、すぐにエルバのことかと気が付いて慌ててドアを開ける。
そして朝食がセッティングされ、ここまで運んでくれたベルボーイが退室すると、焼き立てのパンの香りと美味しそうな匂いにお腹が鳴った。
「こんなことまで頼んでくれていたとは」
起きる時間まで見越していたのだろうか。
(確かに寝坊するなとは言われたけど)
同時に額にキスをされたことまで思い出してしまって、一晩経って忘れたはずの照れ臭さが一気に込み上げて顔が熱くなる。
「とりあえず、ご飯食べちゃおう」
リビングのソファーに座って手を合わせると、早速クロワッサンを手に取って口に運ぶ。
小ぶりなサイズのサクッとしたクロワッサンは、口に含んだ瞬間に濃厚なバターの香りが広がって、中の生地はしっとりとしていてほっぺたが落っこちそうだ。
そしてオムレツは中がトロッとしていて、ミルキーな舌触りを残しつつ、こちらもハーブが効いたバターの香りが爽やかに鼻に抜けていく。
「んー。美味しいぃ」
幸せを噛み締めつつ、エルバが手配してくれた朝食を食べ終えると、しっかりお腹も膨れて食後のコーヒーで気分もすっかりリラックス出来た。
食事を終えるとフロントに連絡を入れて、ルームサービスをチェックアウト後に片付けてもらう手筈を整える。
「そういえば、昨日エルバと連絡先交換したんだよね」
スマホを手に取って、昨夜ホテルに移動するタクシーの中で連絡先を交換した時のことを思い出す。
自分が勤める会社のCEOだと思うと、やっぱり少し抵抗はあったけど、連絡先を知らないのは何かと不便だし、いちいちタラントさんを介して連絡を取る訳にもいかない。
エルバの名前をタップして、朝食のお礼を兼ねて部屋で待っていればいいのかどうか、メッセージを打ち込んで送信する。
「あ、スマホの電池結構減ってる」
充電器なんて持ってきてないし、どこかでモバイルバッテリーを買った方がいいかもしれない。
そしてスマホを持ったまま洗面室に移動すると、結わずに下ろしたままの髪の毛をどうまとめるか悩んでしまう。
「買う服によるけど、ハーフアップでいいかな。それともシニヨンでまとめた方がいいかな」
鏡を見ながら、確かメイクポーチにヘアピンを入れていたはずだと手探りしていると、洗面台に置いたスマホが着信で震えた。
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