追放された精霊の愛し子は運命の番をその腕に掻き抱く

濘-NEI-

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(47)明かされた真相

 シュレールの意向によりパメラは第二王子デルザリオの婚約者として南の大国オネストルに赴き、今年で在位四十五年を迎えた王に祝辞を述べるため、オルガッドを代表してオネストル王カイザル、王妃ミネソテジアに謁見すると、ようやく祖父母に対面を果たした。

 彼らはナザリアにその秘宝ありと言わしめたオフィーリアと、その兄である龍騎士エイブラハムの娘としてパメラを受け入れその帰還を喜び、けれどそこに二人の姿がないことを酷く悲しんだ。

 両親は強い絆で結ばれた夫婦であり、愛し合い幸せに過ごしたことを、家族三人で過ごした思い出話を織り交ぜて伝えると、祖父母はパメラが知らない在りし日の二人の思い出を語り、後悔を滲ませた。

 何故なら二人の血の繋がりは確かに濃い物ではあったが、エイブラハムはオフィーリアの母である王妃ミネソテジアの兄の遺児であり、祖父母により王子として迎え入れられた、母の従兄弟であったからだという。

 国の定める法により、対外的に兄妹とされた二人であったが、惹かれ合うのは必然だったのではないだろうかと、二人を引き裂こうとしたことに、祖父母はひどく悔やんだ様子を見せた。

 オフィーリアとエイブラハムが既に亡くなったことを受け、オネストルは王宮に喪に服す垂れ幕を下ろし半旗を掲げ、国を挙げて哀悼の意を表した。

 二人がこの世を去ってからおよそ六年、国民はその死を悼み、涙に暮れた。

 パメラはオネストルを去る際、今となっては形見となった耳飾りの返上を申し出るも、しかしこれを王に拒否されてしまう。

 これにはパメラがオネストルの正統な血を引く王女である証として、オフィーリアのみに許されたエミナイトの着用を、今後はパメラのみに認めるとするオネストル側の意向があった。

 そしてこの時、新たにエミナイトが散りばめられた首飾りと腕輪が贈られ、パメラは正式にオネストルの王女として、オルガッド王国の第二王子であるデルザリオの元に嫁ぐこととなった。

「なんだかまだふわふわした気持ちです」

「だろうな」

 オルガッドとオネストルを隔たる砂海は砂嵐が頻発する危険地帯であり、パメラとデルザリオたちは行きと同様に、オネストルのビザル港からコズラスタ大陸の西の海路を使う。
 そしてオルガッド北部のアダール港を目指す船の上で、パメラは人心地が付いたように大きく伸びをする。

「海ってこんなに気持ちのいい風が吹くんですね」

「ああ。そうだな」

 子どものようにはしゃぐパメラに優しい目を向けると、その胸元に輝く首飾りを見つめてデルザリオは呟いた。

「パメラ、言葉ばかりが先になってしまったが、婚礼を上げる前にお前と番いたい」

「デルザリオ様」

「相手に不足はあるが、兄上はご自身の望む幸せを手に入れた」

「まあ。そんなことを言っては、カミーリア様からお叱りを受けますよ」

「手加減を知らんやつだからな」

 そう答えてデルザリオは可笑しそうに肩を揺らす。

 デルザリオにとって、シュレールはマキナと幸せを掴んだが、パメラが危惧したようにマグラリアの幸せだけが気掛かりであった。

 まさかその相手がカミーリアだとは夢にも思わなかったが、確かに記憶を辿れば一時的にそのような噂が出回ったことがあった。
 しかし時を同じくして、カミーリアは騎士団を退団して大陸を渡ったと聞いていたし、いつの間にか噂は風化したので、あくまで貴族連中の下世話な噂話だったのだろうと勝手に思い込んでいた。

「兄上には、俺が介入しなくても、昔から心通わせる存在が居たのだな」

「そうですね」

「それが嬉しいと思った時、俺の中に在って消えなかった叔父上や兄上の、歪な恋情のような目で俺に懇願する姿がいつの間にか薄れてきた」

「デルザリオ様」

「許されたような気持ちになったのだ。身勝手だがな」

 少し卑屈な笑顔を浮かべるデルザリオに寄り添うと、パメラは顔を見上げて身勝手でもいいじゃないかと呟いた。

「マグラリア様は本当にお幸せそうです。だからもう、過去に起こったような悲しいことは起こりません」

「お前は俺が欲しい言葉ばかりくれるな」

「そうでしょうか」

「ああ、そうだ」

 デルザリオはパメラを抱きしめて、その額に口付けを落とすと、心地よく吹き付ける海風を受けながら、果てしなく広がる大海原を眺めた。
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