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第4話 上手くいかないことがあっても、占いのせいにするくらいが人生ちょうどいいよ

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「わかりました。もし、万が一、天文学的確率で私が占いができるとして」

「占いはやってただろ」

副会長が突っかかるが……とりあえず、無視。

「本当に何かの間違えで、私は占いが得意だとしましょう」

「会長、今のところ100人の生徒全員が外れてないらしいですよ!」

今度は書記だが……こいつも、無視。

あと、100人もやってないから!98人だから!

とりあえず占いができると仮定して、会長に質問をする。

「私に何を占ってもらいたいんですか?」

占えと言っても、もう少し細かくないと正確な答えは出てこない。

そして、もう一言付け加える。

「あと、早く帰りたいです」

「さっきから、急いでるけど何か用事でもあるの?」

会長が答える前に、書記が口を開いた。

「のっぴきならない、事情が」

「のっぴきならない事情って……もしかして、放課後に占う予定入ってたの?」

「いえ、今日はないです」

「ふむ、今日は……?」

隣で話を聞いていた、副会長がチャキッとメガネを直す。

「そ、それで、何を占って欲しいんですか?」

急いで、話を元に戻す。

会長は少し悩んでるようだった。机に寄りかかって、頬杖をついている。

そんな、会長を見て絵になるなと思った。それは、ため息が出るくらいに。全てが完璧に揃っている、今の少し不安気な様子も全てが要素だ。

「環さん、明日は空いてる?」

っと、いけない。見惚れてる場合じゃない!会長の言葉で私の意識は引き戻された。

「明日ですか?お昼なら空いてますけど」

「話が長くなりそうだから、明日のお昼でもいいかな?」

「え……」

いきなり、誘拐したくせに明日に変更?それは、頼む側の態度なのか?そもそも誘拐が頂けないが!

「おい、お前会長が頼んでるんだぞ!即答をしろ!」

私が返答しないので、副会長が睨んできた。

「蓮少し黙ってて」

それを、冷たく会長が制したのだ。

「申し訳ありません」

副会長は素直に受けて、すぐに後ろに下がった。

この時初めて、引き締まった空気になった。いつもの体育館で見ている、みんなが憧れるあの生徒会・・・

「それで明日でいいかな?」

もう一度、会長が聞いてくる。

「わかりました」

思うところもあったが、本気で必要にされていることを感じたので、引き受けた。この様子なら、占ったことも黙っててくれるだろう。

「……話聞くだけですからね」



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