ぼっちの俺にはラブコメは訪れないんですか?

最東 シカル

文字の大きさ
5 / 60
第1章 ぼっち君の日常

第5話 変人同士の邂逅

しおりを挟む
 えっ?いや、そんな変なものを見る目で見ないでほしいのですが。その権利はこちら側にあるはずだ。
 そうだよな。うんそうだ。この家は芦田家の家だ。

「あの、この家に何か用ですか?」

「・・・どちら様ですか?」

「この家の者です」

「・・・そうですか」

 なんか分かんない人だな。質問してるのに勝手に落ち込まないでほしい。

「親に用があるなら、いつも帰りは遅いのでまだ居ません」

「いえ、違います。あの・・・ただ、この家をもう一度見たかったのです」

 うん?益々不審者説が濃厚になってきたぞ。人んのポスト勝手に覗いたり、周囲をうろついたり。見たかったって、どういう意味だ?

「・・・見るのは別に構いませんが、他所よその家のポストを覗き見るのはおすすめできませんよ」

「っ!い、いや違います!あれはちょっと気になったというか、なんというか・・・」

「?・・なんか変な所ありました?」

「え?・・あっはい!ありました。なんかポストの形が特殊だなーと思って、興味本位で覗いてしまいました。ほんとにすみません!ただ、盗みなどはしていません!なんなら調べてもらっても結構です!」

 まくし立てるようなその物言いに、余計疑念が積もってゆく。

 てかポストの形めっちゃ普通ですやん・・・そんな慌てて怪しまれないと思ってるのか、この子は。俺の高校の制服を着ていることから同じ学校の女子生徒だとは分かるが、ちょっと心配になってくる。
 調べても良いと言われた時、少し俺の体が反応したのは気のせいだろう。疚しいことなんて考えてないんだからねっ。

 うちの高校は一年生が緑、二年生が赤、三年生が青と学年ごとに色分けして分かりやすくする。この子は赤色のリボンなので、俺と同学年だ。
 ちなみに俺の妹の千恵は一年生だ。先輩からもモテモテらしいよ、くやしい。

「・・まぁ別に気にしてませんので」

「本当にすみません」

 これが漫画の世界ならば、背景にショボーンと言う文字が書かれているだろう。
 本当に落ち込んでいるみたいなので、咎める気も失せてきた。はぁ・・・周りから見れば俺が悪いみたいじゃん。いかんいかん早くこの場を脱せねば。

「用がないなら俺はこれで」

 そう言って、家に入ろうと思った時


「にいちゃーーん!」


 振り返る。走る鬼が居た。逃げる。掴まる。

「なんでいっつも先に帰るの!?」

 ハァハァと息を切らしながら言葉を紡ぐ千恵。

「待ってたけど、居なかったもんで・・(汗)」

「・・嘘下手すぎ」

「あはは・・」

「まぁいいや」

「切り替えが早いとこは千恵の美徳ポイントだな」

「調子に乗るな陰キャ」

 クラスメイトに言われてもダメージはこないが、身内の人間に言われると結構くる。泣いていい?

「え、古瀬先輩?」

 さっきからずっと蚊帳の外にされていた不審者に、ようやく妹が気づく。

 不審者こと古瀬さんは、さっきまでの兄妹漫才を唖然と見ていたせいか口が半開きだ。ちょっと可愛い。

「あっは、はい。そうですが・・・」

「えー!なんで古瀬先輩がここに居るんですか?あっ!もしかして家が近いとか?まさかあの古瀬先輩が近所だなんて、もーそういうのは先に言ってくださいよー。水臭いなー」

 やけにテンションが高い妹。さっきまでの俺への態度が嘘みたいだ。母親が電話に出た時、瞬時に声を変えるあれだ。
 というか、妹がここまで興味を持つとは珍しい。もしかしてこの不審者、学校では結構ヒエラルキー高いかも。そう考えるとさっきまでの俺の態度間違えたかもしれない。やばい、明日学校に行ったら靴箱に大量のごみが入ってるとか洒落にならん。

「千恵。あの人と知り合いか?」

「知り合いっていうか、ちょっと話したことがあるってくらいかな。というか同級生なのに知らないとか言わないよね?」

 ・・・・クラスで一緒になった人以外はほとんど知らないなんて、言えない

「まぁ流石に古瀬先輩は知ってると思うけど。あんだけ美人さんだし」

「・・・もちろんだ」

 話を合わせないとまた妹にいじめられる。だまって頷いとこう。

「あのー?私はここの近所ではありませんよ」

 さっきから妹とコソコソと話をしていたら、古瀬さんが声をかけてきた。

「えっ!じゃぁなんでこんな住宅街にいるんですか?」

「え、えっと・・・気まぐれ、です」

「ふーん。古瀬先輩でもそういう時あるんですねっ」

 ちょこちょこ、こちらに気まずそうに目を合わせてくる古瀬さん。なんか助けを求めてるっぽい。
 早くこの場を去りたい俺としては、その助けを無碍にするわけにはいかない。

「俺は先に帰っとく。あんまり家の前で長居するんじゃないよ」

「っ!」

 すまん古瀬さん。やっぱり陰キャには壁が高いようです。


 その後妹が30分後に帰ってきた。30分も何を話すのかねいったい。古瀬さんには悪いことしたな。けど今日限りの関係だ。別に気にすることもないだろう。

「ねぇ兄ちゃん、古瀬先輩が明日の昼休み図書準備室で待ってるだって」


 高校生活終了のお知らせ。まさか俺にもフラグ回収が適応されるとは。


 その後、何時間にも渡り古瀬さんとの関係を妹に詰問されたが、ほんとのこと言っても全く信用されない。終始妹は不機嫌で、ご機嫌を取るのに粉骨砕身した。歩いて20分のコンビニにパシらされる兄。どう思う?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。

失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?

さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。 しかしあっさりと玉砕。 クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。 しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。 そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが…… 病み上がりなんで、こんなのです。 プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...