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第3章 これから、変わる
第53話 嵐の前の前の静けさ
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教室に戻ると、メイド喫茶仕様だった装飾は既に取り払われ、見慣れた教室風景に戻っていた。ちらほらと、まだ撤去しきれていない装飾もあるがあれはわざと残しているのだろう。委員長が自作して、自慢していた装飾『ようこそ!メイド喫茶へ』という看板。かなりの出来だったので委員長は皆に褒められ嬉しがっていた。
最初はメイド喫茶なんてはしたないなんて言ってた癖に、いざやってみると一番やる気を出していたのは委員長だった。流石委員長、切り替えが早い。
「おい芦田。お前どこ行ってたんだ?いつの間にか消えてたから探したぞ」
お前がキモ過ぎて離れたかったなんて、言えない。
「外の出し物見るためにブラブラしてた」
「なんだよ、それなら俺も一緒に行ってやったのに」
「・・・そう」
こっちから願い下げである。
「もうすぐ昼休み終わるし、午後は【トーソーモデルズ】だぞ」
「ああ、そんなのあったね」
「誰に投票した?」
「・・・するの忘れてた」
「はぁ?」
すっかり頭の中から失念していた。
◇◆
――1か月前――
「・・・投票箱?」
授業も終わり、早く帰って寝ようと思っていそいそと生徒玄関へ直行すると、途中廊下にでかでかと張ってあったポスターに思わず目を引かれた。
ポスターには『東総文祭!!真冬の大旋風~我らの熱で寒さを吹っ飛ばせ~』とある。これは確か今年の文化祭のスローガンだった気がする。そしてその下に、
『第10回 東総高校【トーソーモデルズ】』
10回目なのか。思ったより歴史があって驚いた。モデルを輩出するための催し物らしいが、見た感じ凝ってるらしい。概要には、某テレビ局や人気タレントの名前、この【トーソーモデルズ】を取材するための報道陣が名を連ねている。
「『用紙にあなたが推す人の名前を書き、隣の投票箱に投入してください』・・・」
一人一名のみです、か。
これはインチキされる可能性があるんじゃないか?どうしても推している人が居るために、何枚も同じ人の名前を書いて投票するとか。実際居そうだ。西条とか。あと西条とか。
・・・いや、その可能性は無さそうだ。何故ならしっかりと注意事項が表記してある。
『人数確認を生徒会の全員で行います。不正は絶対にしないでください』
ここまで書いてやる馬鹿はいないだろう。どれほど絵里奈が好きだろうと流石の西条もやらないと思いたい。
・・・?これは去年の【トーソーモデルズ】の順位か。各学年ごとに男女1~3位が表記されている。
上から3年生か。・・・知らない人ばかりだな。次の2年生も誰も知らん。(知ってる訳ない)1年生は流石に何人か知ってるだろ。
《1年生》
(男子)
・1位 横島 修斗
・2位 槻谷 友也
・3位 蛯原 亮
(女子)
・1位 古瀬 麻衣
・2位 瀬口 絵里奈
・3位 志水 萌香
あ、ストーカー君じゃん。槻谷君、去年2位だったのか。まあ、顔だけはめっちゃ良かったしね。一時期はブサメンストーカー君に成り下がったが、そろそろ顔の傷も癒えた頃だろうか。退学してからあいつの噂は何も聞かない。退学した当初こそ学校の話題の一つとなったが、それもすぐに鎮火し、燃えカスひとつさえ無いほど綺麗に消え去った。まあ、こんなもんだよね。あとは1位と3位の男子。これはどちらとも知らない。少なくとも2Dじゃないことは確かだ。一体誰だろうか。少し気にはなる。
そして女子。
1位が古瀬さん。2位が絵里奈だという事は、以前神咲さんに聞いたため既に知っている。彼女達の人気は凄まじいようで、票数は出ていないが2人はかなり接戦だったようだ。そして僅差で1位に輝いたのは古瀬さん。見事優勝したわけだ。
まぁ、当の本人は全く嬉しくないらしいけどね。古瀬さんは出たくて出てるわけでもないし、1位なんて取りたくもないのだろう。俺の勝手な見解だが、彼女はただ”平和に過ごせればいい”のだと思う。なんとなくだが、彼女を見ていてそんな感じがした。
だがこの前のアナさん絡みの一件は、その平和から遠く離れていたと思う。古瀬さんのあの辛そう仲を見て、若山さんは何を思っただろうか。俺と若山さんはあの後、まるで何事もなかったかのように過ごした。古瀬さんもそうだった。
多分、これからもそうなのだろう。誰もあの件には触れず、風化し、忘れる。別に俺はそれでいいと思っている。だって人間関係ってそういうもんでしょ。”適切な距離”があってこそじゃないのか?俺は友達というのが分からない。何をもってして友達なのか。どのラインを超えたら友達の領域に入るのか、分からない。少なくとも、今の3人の関係を俺は友達とは言えない。いや、言いたくないか。本当の友達ってなんだろうか・・・。
・・・考えても仕方ない事を考えるのは、いつから癖づいていただろうか。俺は変な癖ばっかりだ。つまらない事でいちいち悩むは、よそう。
あれ?3位の清水萌香って、あの?
十中八九そうだろうとは思うが、まさかあのロリっ子が選ばれるとは。あの子は脳みそが空っぽだが、容姿は優れている。・・・祐樹が投票してそうだな。あいつあんなもの書いてたしな。嫌な物を思い出した。
◇◆
『では!!第十回 東総高校【トーソーモデルズ】を開始します!!」
そしてやけに可愛い声をした放送と共に、この先東総高校の歴史にも残る、波乱の【トーソーモデルズ】が始まった。
最初はメイド喫茶なんてはしたないなんて言ってた癖に、いざやってみると一番やる気を出していたのは委員長だった。流石委員長、切り替えが早い。
「おい芦田。お前どこ行ってたんだ?いつの間にか消えてたから探したぞ」
お前がキモ過ぎて離れたかったなんて、言えない。
「外の出し物見るためにブラブラしてた」
「なんだよ、それなら俺も一緒に行ってやったのに」
「・・・そう」
こっちから願い下げである。
「もうすぐ昼休み終わるし、午後は【トーソーモデルズ】だぞ」
「ああ、そんなのあったね」
「誰に投票した?」
「・・・するの忘れてた」
「はぁ?」
すっかり頭の中から失念していた。
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――1か月前――
「・・・投票箱?」
授業も終わり、早く帰って寝ようと思っていそいそと生徒玄関へ直行すると、途中廊下にでかでかと張ってあったポスターに思わず目を引かれた。
ポスターには『東総文祭!!真冬の大旋風~我らの熱で寒さを吹っ飛ばせ~』とある。これは確か今年の文化祭のスローガンだった気がする。そしてその下に、
『第10回 東総高校【トーソーモデルズ】』
10回目なのか。思ったより歴史があって驚いた。モデルを輩出するための催し物らしいが、見た感じ凝ってるらしい。概要には、某テレビ局や人気タレントの名前、この【トーソーモデルズ】を取材するための報道陣が名を連ねている。
「『用紙にあなたが推す人の名前を書き、隣の投票箱に投入してください』・・・」
一人一名のみです、か。
これはインチキされる可能性があるんじゃないか?どうしても推している人が居るために、何枚も同じ人の名前を書いて投票するとか。実際居そうだ。西条とか。あと西条とか。
・・・いや、その可能性は無さそうだ。何故ならしっかりと注意事項が表記してある。
『人数確認を生徒会の全員で行います。不正は絶対にしないでください』
ここまで書いてやる馬鹿はいないだろう。どれほど絵里奈が好きだろうと流石の西条もやらないと思いたい。
・・・?これは去年の【トーソーモデルズ】の順位か。各学年ごとに男女1~3位が表記されている。
上から3年生か。・・・知らない人ばかりだな。次の2年生も誰も知らん。(知ってる訳ない)1年生は流石に何人か知ってるだろ。
《1年生》
(男子)
・1位 横島 修斗
・2位 槻谷 友也
・3位 蛯原 亮
(女子)
・1位 古瀬 麻衣
・2位 瀬口 絵里奈
・3位 志水 萌香
あ、ストーカー君じゃん。槻谷君、去年2位だったのか。まあ、顔だけはめっちゃ良かったしね。一時期はブサメンストーカー君に成り下がったが、そろそろ顔の傷も癒えた頃だろうか。退学してからあいつの噂は何も聞かない。退学した当初こそ学校の話題の一つとなったが、それもすぐに鎮火し、燃えカスひとつさえ無いほど綺麗に消え去った。まあ、こんなもんだよね。あとは1位と3位の男子。これはどちらとも知らない。少なくとも2Dじゃないことは確かだ。一体誰だろうか。少し気にはなる。
そして女子。
1位が古瀬さん。2位が絵里奈だという事は、以前神咲さんに聞いたため既に知っている。彼女達の人気は凄まじいようで、票数は出ていないが2人はかなり接戦だったようだ。そして僅差で1位に輝いたのは古瀬さん。見事優勝したわけだ。
まぁ、当の本人は全く嬉しくないらしいけどね。古瀬さんは出たくて出てるわけでもないし、1位なんて取りたくもないのだろう。俺の勝手な見解だが、彼女はただ”平和に過ごせればいい”のだと思う。なんとなくだが、彼女を見ていてそんな感じがした。
だがこの前のアナさん絡みの一件は、その平和から遠く離れていたと思う。古瀬さんのあの辛そう仲を見て、若山さんは何を思っただろうか。俺と若山さんはあの後、まるで何事もなかったかのように過ごした。古瀬さんもそうだった。
多分、これからもそうなのだろう。誰もあの件には触れず、風化し、忘れる。別に俺はそれでいいと思っている。だって人間関係ってそういうもんでしょ。”適切な距離”があってこそじゃないのか?俺は友達というのが分からない。何をもってして友達なのか。どのラインを超えたら友達の領域に入るのか、分からない。少なくとも、今の3人の関係を俺は友達とは言えない。いや、言いたくないか。本当の友達ってなんだろうか・・・。
・・・考えても仕方ない事を考えるのは、いつから癖づいていただろうか。俺は変な癖ばっかりだ。つまらない事でいちいち悩むは、よそう。
あれ?3位の清水萌香って、あの?
十中八九そうだろうとは思うが、まさかあのロリっ子が選ばれるとは。あの子は脳みそが空っぽだが、容姿は優れている。・・・祐樹が投票してそうだな。あいつあんなもの書いてたしな。嫌な物を思い出した。
◇◆
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