ぼっちの俺にはラブコメは訪れないんですか?

最東 シカル

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第2章 ぼちお君、奮闘

第22話 自暴自棄な偏愛マン

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「あ、芦田くん。私は部活に行ってくるので先に図書室に行っててください」

「分かった」

 居心地の悪い視線を浴び続けながら授業を受け、やっとの思いで放課後になったと思ったら若山さんが声を掛けてきた。
 彼女は古瀬さんと念願であるお友達になったので、俺も必然的に若山さんと一緒に帰ることになるな。というか、若山さんに協力するなんて言ったが実際俺何もしてない気がする。『ボッチ同盟』なんてもの創ったくせに、同盟後3日で破綻の危機である。今回の件は一重に古瀬さんの成果だ。ほんと陽キャは凄いよ。
 
 そして毎度の如くスカスカのバッグを持ち(置き勉最強)、早速図書室へ向かおうとした時、


「ねーアッシー、さっきはごめんね?」

 首を傾げ、両手を合わせながらウインクする女子生徒。絶対謝罪の気持ちないよねそれ・・・

 彼女はこの学年のトップカーストであり、絵里奈といつも一緒に居る印象が強い女子生徒である。容姿はかなり可愛いくて、男子生徒から人気らしい。ちょっと化粧が濃くてギャルっぽいけど。
 
 彼女は先程、――あんたがえりっち泣かしたの!?あやまれ!陰キャの癖に調子に乗んなよっ!――と掴みかかる勢いで迫ってきた生徒です。正直メッチャ怖かったです。
 そしてそれに気づいた絵里奈が慌てて止めに入り、どうにか事なきを得た。だがそれよりも一番印象的だったのは、隣の席の西城が彼女の大声で吃驚ビックリし椅子から転げ落ちたことだ。あいつ絶対俺を笑かしに来てる。まじで吹きそうだった。
 
 あと、アッシーってなんなんですかね。あなたと話した覚えないんですが・・・
 
「いえ、全然気にしてませんよ・・・」

「もー同級生なんだから敬語じゃなくてもいいよ?それにもう私達友達なわけだし~」

 本能的に自分が下だと自覚してしまうんですよ、陰キャは。あと、いつ友達になったんですかね。話した瞬間から友達とか?もし、若山さんがこの場に居たら――え、えぇっ!?ど、どのタイミングで友達になったんですかっ!?――なんて、言っていただろう。あぁ、目に見えて想像できるのが彼女の面白いところだ。

「そうですか・・・」

「だから敬語はいいってばーアッシー」

 秒で友達になり、秒であだ名を付ける。これがトップカーストか・・・まずい、陽キャのノリが分からない・・どうすればいいのか教えてくれ、西条・・・・・・・ちらっ。

「・・・」

 未だに先程の醜態が恥ずかしいのか、足を組みながら本を読んでいる西条。誤魔化そうとしても無駄だぞ。しっかり赤面してますから。

 ◇



「すみません。少し遅れました・・・」

「いいえ。まだ5時なので全く問題ありませんよ?」

「そうですか」

「はい。寧ろ私がお願いしている立場なので、無理を言う方が烏滸がましいというものです」

 なんとか陽キャ網を潜り抜けた俺は、少し遅くなったがようやっと図書室に着いた。まぁ、遅れた理由はそれだけじゃないんだけど。しかしほんと、あの人たち時間さえあれば何時間でも喋ってそうだ・・・
 
 遅れたので少し心配だったが、何も起きていないようで安心した。まぁ、まだ生徒が何人か居るこの状況で行動を起こすほど、あいつも馬鹿じゃないか。自暴自棄になった奴ほどめんどくさいものはない。あいつがそうならない事を祈るばかりである。

「・・・今日もいますね」

「ええ・・・」

 だが一つ違うところを挙げるとするならば、それは席に座って読書をしている所か。こちら側に背を向ける形で本を読んでいるイケメン君は、傍から見れば何ら怪しい所は無いように見える。だがあいつはもう・・・立派な犯罪者である。

「・・・それじゃあ、俺も読書しときます」

「分かりました」

 古瀬さんにはもう、余り負担をかけられる余裕はない。彼女は誤魔化しているようだが、不安と緊張による疲れを隠しきれていない。常にストーカーという不安要素が付いてくるのだ。極度のストレスが溜まるのも無理はない。
 でこの件を引き延ばすのは彼女にとってはいい迷惑だ。

 もう、今日で終わらせよう。
 
 ◇◆


 読書席――
 
 本来なら読書をする場だが、整ったその顔を凄い形相に変え、俯きながら何かを考え込んでいる少年が居た。



 はぁ、くそっ、結局何も思いつかず6時になっちまった・・・どうせカメラには麻衣の弱みになるような事は映ってねーだろうし・・・どうするっ。考えろ考えろ考えろっ。
 もうこの図書室には俺以外に、麻衣、ヘナヘナ男に眼鏡を掛けた女の4人しか居ないのか・・・図書室に来たはいいが、どうすれば麻衣が俺のモンになるかが思いつかねぇ・・・
 もし、あのカメラの存在がバレれば不味いことになる・・・くそっリスクの割には麻衣のやつ・・・はぁ、今はゴタゴタ言っても埒が明かない。とにかく考えろっ俺っ。

「あのちょっといいですか?」

「っ・・・な、なんだよ・・・」

 なんだよヘナヘナ男か・・・

「聞きたいことが色々あるんですがいいですか?」

「あぁ?なんだ?」

 お前となんか話したくねーが、まあ気晴らしにはなるかもな。

「これ、分かります?」

「っ!!」

 ・・・な、なんで・・・・こいつが、カメラ、を・・・

「まぁ、別に聞かなくてもあなたの物ってことは知ってるんですけど」

「・・・あ”ぁ?何ほざいてんだテメぇ、こんなん知らねーよ」

「なんなら指紋でも調べます?そこの本棚に隠してる小型カメラ全部」

「っ!!」

「俺の知り合いの親に居るんですよ。警察官の親が。・・・あーでも出来ればあの親会いたくないなぁ・・・」

「っ・・・」

 なんなんだよこいつっ!なんで知ってんだよっ!くそがっ。陰キャの癖にっ!ふざけんじゃねえ”ぇっ!

 いつからバレてた?いつ知ったっ・・・くそっ

「・・・沈黙は肯定と受け取りますよ。では質問なんですが、なんでこんなことしたんですか?」

「・・・」

「あなたは古瀬さんから振られたと聞きました。それが理由ですか?」

「・・・」

「もしそれが理由なら、なんでこんな犯罪にまで手を出したんですか?」

「・・・ッせ・・」

「あなたはイケメンですし、女性には困らないでしょ?・・ぃぃなぁ・・・」

「・・・るっせぇ・・」

「俺は何故そこまで執着するのか知りたいんです。もしかして今までもこんな事してきたんですか?もしそうならそれは・・・・・・・クズですね」

「う”るっせぇ”ーって言ってんだろっ!!!!」

 ガタンっ! 椅子を勢いよく後方へ倒す少年。

「調子に乗ってんじゃねーぞクソがっ!しねっ!殺してやる!!」

「・・・」

「「芦田さん(君)!!!」」

 槻谷つきたには固く拳を握り、勢いよく芦田に飛び掛かろうとした、がその時。




 バタンっ!



 勢いよく開いたから、一つの人影が物凄いスピードで現れ、槻谷の元へと向かった。そして、

「せいやー!!ほいっ!」

 気の抜けた掛け声と共に槻谷は、文字通り”  ”。

「「っ!!」」

「・・・はぁ、やりすぎです・・・」

「はっはっ、なんのなんの、若さ溢れる高校男児。こんな程度じゃ、へこたれんっ!」

「・・・そうですか」

 その人物はやけに元気な声で、朗らかにそう言った。

「ああそうだっ、なんなら芦田も試してみるか?」

「結構です」

「「・・・・・那須なす・・先生・・・?」」

 未だ困惑してる女子2名の声が、修羅場に化した放課後の図書室に、儚く、響いた。
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